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あかずの扉(01)

 青い髪の姫君は、ひとり、ぼんやりと馬車に揺られていた。日の暮れるころ、馬車が止まったので、宿に着いたのだろうと思った。
 ところが、侍女たちの言うことには、どうやら一行は道に迷ったらしかった。今どこにいるのかわからないまま、日が暮れてしまったのだと言う。ただ、警護の者が、近くに見える大きな館を訪ねたところ、館の主人が親切にも、一行を泊めようと申し出てくれたそうだった。
 フィリシア姫は、侍女たちが疲れていることも考えて、館の主人の厚意に感謝し、大きな館に泊めてもらうことにした。あるじ夫妻は玄関に並んで、姫君を迎えてくれた。
「お気の毒に。このあたりの土地では、年に数回、道に迷いやすくなる時期があるのです」
と、夫妻のうち、夫のほうが、すまなそうに言った。燃えるように赤い髪をした、背の高い美丈夫だった。
 妻のほうは、明るい金色の髪を結った、細面の女性で、遠慮がちに言葉を足した。
「数日もすれば、元に戻ります。夜空に星が戻るので、それと分かります」
 言われて、一行が暮れゆく空を確かめると、中空には欠けゆく半月が皓皓と浮かんでいたが、なるほど不思議なことに、星はひとつも見えないのだった。
 星が戻るまで何日でもご滞在ください、と言われて、フィリシア姫は厚く礼を述べ、この不思議な土地に滞在させてもらうことにした。姫君と、身の回りの世話をする2人ばかりは、2階の部屋を使うことになった。残りの侍女と警護の者たちは、1階の部屋を使うことになった。
 次の日、あるじ夫妻は、フィリシア姫に赤銅色の鍵を1つ渡してくれた。
「2階の北側にある庭園の鍵です。お気を紛らわせるのに、どうぞお使いください。ただし、庭園の一番北にある扉は、魔物を捕えた部屋の戸ですから、けして開けないと約束してください。また、魔物に何を言われても、けして言葉をかけないでください」
 姫君は約束し、鍵を借りた。2階の北側にある扉を開けて入ると、中は花の咲き乱れる庭園だった。姫君は1日、花を愛でて過ごした。一度だけ、北の端にある禁じられた扉から、小さな男の子の声が聞こえたように思った。
「誰かいるなら、ここを開けておくれ。開けてくれたら、何でも願いを叶えてあげる」
 フィリシア姫は、黙って首を横に振った。少年の声は、それきり何も言わなかった。
 翌日も、あるじ夫妻は、フィリシア姫に同じ鍵を貸し与え、同じ注意を繰り返した。姫君は、再び1日、花を愛でて過ごした。一度だけ、北の端にある禁じられた扉から、小さな女の子の声が聞こえたように思った。
「誰かいるなら、ここを開けておくれ。開けてくれないと、その身に不幸が訪れるよ」
 フィリシア姫は、黙って首を横に振った。少女の声は、それきり何も言わなかった。
 3日目も、あるじ夫妻は、姫君に同じ鍵と、同じ注意を与えた。姫君は、ためらったが、了承した。庭園で過ごしていると、北の端にある扉から、今日はこんな声が聞こえた。小さな男の子と女の子の声。
「誰かいるなら、ここを開けておくれ。どうか助けて。ぼくたち、私たち、閉じ込められたまま、殺されてしまう」
 フィリシア姫は、北側の扉をじっと見つめた。そして、禁を破って、声をかけた。
「あなたがたは、誰なの。どうして、つかまっているの」
「ぼくたちは、私たちは、星の子供。砕いて食べると美味しいから、人間にねらわれるの」
「・・・外に出しても悪さをしないと、約束してくれる?」
「わかった、わかったわ、約束する。出して、出して!」
 青い髪の姫君は、扉に鍵をさしこみ、ガチャリと回して、扉を開けた。

結局、1回では終わりませんでした…。

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