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人さらいと馬(02)

 さて、ルークのほうは、林をすぐに通り抜けて荒野に出ると、飛ばせるだけ馬を飛ばせた。もとより、神馬の血を引くと言われている馬だ。今は馬具も付けていないから、ことさらに、風のように速く走る。ルークはただ、白馬のたてがみを軽くつかんで、馬に任せているだけだ。
 やがて、人さらいと思しき後ろ姿が、遠くに小さく見えて来た。ルークとは対照的に漆黒の馬を駆っており、濃灰色のマントをひるがえして、さらった子供は前に抱いているのだろう、後ろからはよく見えない。連なる丘を上ったり下りたりするたび、ちらちらと見え隠れする人馬の姿は、思ったよりも遠くを走っており、追いつくには時間がかかりそうだった、が、徐々に距離を詰めている。
 あちらの馬も尋常でなく速いようだが、と気づきながら、ルークはいくつめかの丘を越えた。人さらいの行く手に、大地の裂け目と、木でできた橋が見えた。あれが、少年の父親の言っていた「橋」か。橋の向こうは、じきに森になっているようだ。森に入ったら、視界が悪くなるうえ、速度も出なくなるだろう。なんとかして橋の手前で追いつきたいが、ぎりぎり追いつけるか、追いつけないか。
「馬2頭が同時に渡ったら落ちそうな橋だぞ」
と、ルークは馬に聞かせるかのように、声に出して言った。
「向こうの馬が橋を渡り始めたら、俺たちは橋の手前で、みすみす見逃すようだな」
 言葉がわかったのかどうか、白馬はぐんと速度をあげた。
 彼我の距離は、いっそう縮まって、もういくらも離れてはいない。だが、橋ももうすぐだ。あと少しのところで、前方の黒馬は、橋を渡り始めてしまった。仕方ない。
「リーデア、止まれ。橋の手前で待たないと、双方が谷に落ちる」
 ルークは声をかけながら馬を止めようとしたが、ふだんなら言うことをきく白馬が、今日は従わなかった。軽快に突き進むその様子は、まるで――
「おい。まさか、跳ぶ気か?」
 ルークは驚いて言ったが、無理には止めなかった。果たして、白馬は橋の手前で、地を蹴って跳躍した。並の馬には跳び越えられるはずもない、ぽっかり裂けた大地の上を。
 ルークは、こわいもの知らずにも、跳び越えながら真下の谷を見下ろした。そして、さしもの彼も、少々、肝を冷やすことになった。切り立った崖の下は、まさしく、奈落。
 白馬は、橋を跳び越えて、ゆうゆうと着地し、再び駆けた。前を行く黒馬は、橋を渡ったときに速度を落としたらしく、すかさずルークは馬を並べる。
「おい、おっさん! 止まれよ! 子供を返せ!」
 ルークが声を張ると、人さらいは振り返り、ほう、と驚嘆したようだった。
「黒影に追いついたのか。たいしたものだ。いいだろう、止まれ、黒影!」
 二頭の馬は、速度を落とし、やがて止まった。人さらいは馬の向きを変え、ルークに向き直った。痩せて背の高い男で、体の前に少年を抱いており、少年は不安そうな顔でルークを見ている。

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