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人さらいと馬(04)

 ルークは、追って来る者たちの姿を確認すると、男に言った。
「あんたは、人買いや人さらいを仕事にしている奴らとは違うようだ。面倒なことにならないうちに、もう行ったほうがいい」
「うむ。わかってもらえて嬉しい。おぬしからは逃げきれんようだからな」
 痩せた男は、ふたたび黒い馬の背に戻り、淡々と話した。
「黒影に追いつける馬はこの世に2頭しかいないと、占い師から聞いたことがある。いずれも神馬の血を引いて、1頭は北の国の王家に、1頭は内陸の国の王家にいると。多くは聞くまい、不思議な縁もあったものだ。健勝でな」
「あんたたちもな」
 男はうなずいて、さっきまで連れて行くつもりだった、鳶色の髪の子供を見下ろした。
「では、元気でな、アルト」
「うん。おいちゃんと、黒影もね!」
 真心のこもった声に、男は口元をほころばせ、もう一度うなずいた。そして、黒馬を走らせて、去って行った。
 ルークが振り返ると、橋の向こうには、追手ふたりの馬が辿り着いていた。どちらの馬も、橋を見ると怯えて、渡ろうとしない。片方の乗り手――少年の父親は、馬から下りて、橋の上を転げるようにして走って来た。
「アルト! アルト! 無事か!」
「父ちゃん・・・」
 少年も、やがて駆け出した。橋の上で、父親は息子をしっかりと抱きしめた。少年は、おそるおそる言った。
「父ちゃん。おいら、父ちゃんの子供?」
「当たり前だ、ばかやろう!」
 少年は口元を震わせて、泣きだした。それから、親子は手をつないで、橋を戻った。ルークと白馬も、橋を渡って戻った。目が合って、セレンがうなずいた。
 村まで帰る道すがら、親子は二人で同じ馬に乗って、いろいろと話しているようだった。家を追い出されたと感じた少年が、かっこいい黒馬に魅せられて村を出る決心をしたことを、おそらく父親は、なにがしか反省をしながら聞いているだろう。
「ゼラルドとフィアは?」
と、ルークが尋ねると、セレンが答えた。
「聖札をめくったら『無事に戻る』と出て、留守番をすると言ったから置いて来た」
「そうか」
 戻ると、話を聞いた村人たちが、みなで出迎えてくれた。フィアが、にこにこしながら、
「きっと取り戻して帰って来ると思ってたわ。ルークって、鞍も手綱もつけずに馬に乗れるのね。かっこいい!」
「リーデアだけだ。こいつとは一心同体だから。ほら」
と言って、ルークは、白馬の背の上で逆立ちをしてみせた。集まっていた村人たちは、もちろんアルトも、わあっと歓声を上げて、手をたたいた。
 あとで、人が散ってから、ルークは、馬の上で逆立ちしたことをセレンに叱られた――「君の将来は、大道芸人ではないのだから」。うるさいなあと聞き流しながら、王子は、愛馬に乗って橋を跳び越えたことは言うまい、と思ったのだった。

(完)

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