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さまよう人形(04)

 背筋の寒くなる思いで、セレンが辺りを見回すと、そこは小さな墓地だった。こんな夜更けに、墓地にいるとは! 冗談ではない、さっさと戻ろう。
 人形を置いて行くかどうかで、彼は少し迷った。だが、装飾品を付けたまま放置するのは気が引けたし、かといって、装飾品を引き剥がすのは、もっと気が引けた。結局、あちこち綻んでいる人形を、その身を飾る品ごと持ち帰ることにした。
 早足で、というより、ほとんど小走りに、セレンは部屋まで一息に駆け戻った。窓から入って、机の上に人形を置き、何度も何度も見直して、それが動き出さないことを確かめてから、ようやく眠りについた。そして、人形の抱えていた問題を解決したと信じることができたせいか、夜中に風が窓を鳴らしても、それほど怖いと思わずに、朝まで眠った。
 翌朝、出立するときに、セレンは最後に残って、門番に人形と装飾品を手渡した。門番は、渡されたものを一目見るや、驚いて硬直した。
「なんとまあ! これをどこで手に入れなさいましたか、お客様」
「人形は部屋の中で。装飾品のほうは、そのう、あちこちにあった。うちひとつは、イレーヌというひとの墓所にあったよ。何か心当たりはある?」
「イレーヌ。実は・・・この館の持ち主のご家族に、お嬢様がひとり、おありになって」
 もぐもぐと言いよどむ門番に、セレンは問いを重ねた。
「そのお嬢様の名前が、イレーヌ?」
「いえいえ! お嬢様はマチルダというお名前で、まだ生きておいでですよ! ただ、マチルダお嬢様がまだうんと小さくて、ご家族の皆様がここに滞在なさっていた頃、お嬢様が、奥様から贈られた装飾品を持ち出して、なくしてしまわれたので。その言い分というのが、イレーヌという子と友達になって、一緒に人形遊びをするのに使って、そのままプレゼントしてしまったのだと。ですが、近所にそのような名前の子供はおりませんでした。さよう、裏の墓地に、古い古い墓が見つかっただけでして。奥様は、怒ったり、気味悪がったりして、結局、皆さんこちらにはお運びにならなくなってしまいました。では、イレーヌ様は、マチルダお嬢様に、装飾品を返してくださった・・・のですかねえ」
「もしそうなら、本当は、お嬢様に直接返したかったのかもしれないけれどね」
 セレンが言うと、門番は寂しそうに笑った。
「そう言いましても、マチルダお嬢様は、もうご結婚なさって、遠くの土地に行ってしまわれましたので。最後にお会いしたときには、もう、イレーヌというお友達のことなど、覚えてはいらっしゃらなかったですよ」
「そう・・・」
 忘れられたことを察したから、贈りものを返したのかもしれない、と、セレンは思った。
「その人形は、どうするの」
「さあて。ちょっときれいに直してやってから、装飾品と一緒に、マチルダお嬢様にお送りしてみますかねえ」
「うん。そうだね、それがいいね」
 セレンは同意して、門番と人形に別れを告げた。
 「マチルダお嬢様」は、人形と装飾品を見て、小さいとき一緒に人形遊びをした友達のことを、思い出すかもしれないし、思い出さないかもしれない。だが、思い出してくれたらうれしい、と、思った。

(完)

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コメント

思い出してくれて大切にしてくれたら・・
わたしもうれしいです。
(=^・^=)

そうですね、
きっと思い出しますよ。
でも、苦しかった思い出だけでなく
楽しかった事も面白かった事も
きっとあったはず。

コメントありがとうございます♪

>うさパンさん

イレーヌちゃんがどのような子だったのかについて、本文では明らかにしていませんが、「マチルダが思い出してくれたらうれしい」って、うさパンさんに思っていただけたことが、作者として嬉しいです。
ありがとうございますheart04

>きなこ団子さん

マチルダお嬢様がどのような子だったのかについて、本文では明らかにしていませんが、イレーヌと遊んでいたマチルダの心情を思いやってくださる、その優しさに感激しました。
ありがとうございますheart04

---

マチルダが、イレーヌとの思い出を取り戻すことで、子供時代に感じていた色んなものを取り戻すことができたらいいなあ、と思っています。

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