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2015年5月

作者より:(海を映す庭)

みっちり書いたつもりでしたが、1日おいて読み返すと、急いで畳んだ雰囲気もあるような…sweat02
月が替わって忙しくなる前に終わらせようと思っていたので、つい焦っちゃったかもしれません。
応急処置的に、ほんのちょっぴりラストの記述を直してみたけど、あんまり変わらないか…。

なぜゼラルドが、呪いをまき散らす嫉妬深いユリアのことを、憎みきれないでいるのか。
そこを補完したくて書いた、兄妹の交流エピソードです。
「月の娘」も同じ役割を持ったお話ですが、あれは、ふたりの「始まり」なので。
このお話を書けて良かった、と思います。
微妙な色合いを表現できていれば良いのですが、いかがでしょう。

→ 目次に戻る

(海を映す庭)(02)

 姫君は、兄王子に向かい合うようにして石造りのベンチにかけ、話し始めた。
「ひとの命はみな大切なものだから、害することのないように・・・と、お兄さまはおっしゃいました。でも、わたくし、考えてみたのですけれど」
と、ユリアは、行儀よく膝の上で手を揃え、慎み深く目を伏せながら、熱心に言った。
「まず、わたくし自身の命は、すこしも大切なものではありません。たとえば、これまでにお兄さまと共に過ごした、どの一瞬のためにでも、何度でも喜んで差し出せるようなものです。そして、そうであることを思えば・・・」
 ユリアは、無邪気に、真剣に、熱っぽく、続けた。
「わが国の民の一人ひとりも、聖王家の正統な後継者であるお兄さまのために、何度でも命を捧げる覚悟がありましょう。ましてや、お兄さまのお心を少しでも悩ませたり、わずらわせたりしようとする者がいたならば、その者の命など、誰から見ても、大切なものであるはずがありません」
 ユリアは言い切ってから、遠慮がちに目を上げて、微笑んだ。
「お兄さまは、ご自身が貴い方でいらっしゃるから、他人もみな同じように貴いような気持ちになってしまわれるのではありませんか。でも本当は、お兄さま以外の誰の命にも、大した価値などありはしないのです。どうぞ、ご自身が特別であることを、もうすこし、ご自覚なさってくださいね」
 ゼラルドの胸は重くふさがった。もし彼が、言葉を尽くし、世の中の一人ひとりの命には価値があるのだと説くならば、ユリアは「兄から認められた人々」に嫉妬して、思い当たる一人ひとりを呪いにかかるだろう――というより、それはまさしく、彼が先日、一度犯した過ちなのだった。王子がユリアを説き伏せようとしなければ、苦しまないで済んだかもしれない、大勢の人々がいた。
「ユリアは」
と、王子は重い口をひらいた。そのとき急に降って来た言葉が、そのまま滑り落ちた。
「ユリアは――もうすこし、ユリア自身の命について、かけがえのないものであると学んだほうがよいだろうね」
 その言葉は、口にした王子自身を驚かせた。同時に、不思議と彼を納得させもした。母親が国王と再婚するまで、ひっそりと隠れるようにして暮らしていたユリア。自らの命の重さを適切に量ることができなければ、なるほど、他者の命の重さを量ることもできまい。
 ユリアは、不意を突かれたような顔をした。それから、何をどう受け止めたのか、頬を薄く染めてうつむいた。か細い声が、
「この世に、お兄さまと私の、ふたりだけしか、いなければいいのに」
と、言った。
「そうすれば、お兄さまは何者にも煩わされることはなく、私も心穏やかにいられるのに」
「・・・このように?」
 自らの真意を理解しかねながら、ゼラルドは空中に聖なる語句を刻んで、あずまやの中からだけ、その幻が見えるようにした。
 ユリアは、おずおずと顔を上げて、それを見た。
 ついさっきまであずまやを取り巻いていた白砂は、今は、青く果てしない海に変わっていた。穏やかに凪いだ水面が茫洋と続き、本来なら見えるはずの城は影も形もなく、その大海原の真ん中に、あずまやは、ぽっかりと浮かんで、兄妹ふたりだけを乗せているのだった。
 ユリアは、その光景に見入った。長い長い沈黙のあと、
「お兄さま・・・」
 ささやくように呼びかけた途端、幻は消えた。あとには、白い砂と、薄青い平たい花が、何事もなかったかのように広がっているばかり。
 ユリアは傷ついた顔をした。そして、あきらめた。
「・・・失礼いたします」
 落胆をにじませた声で退出の挨拶をした義妹に、ゼラルドは無言でうなずいた。

 王女が去ったあと、王子もまた去った。
 それでも、ふたりの心の中に、その日の海は、しっかりと焼き付いたのだった。

(完)

(海を映す庭)(01)

 海辺の大国ウェルザリーンの城には、いくつかの庭があった。散策して楽しむための、花の咲く庭。眺めを愛でるための、孔雀のいる庭。そして、物思いにふけるための、静かな砂の庭。
 砂の庭は、城の敷地の外れにあった。風に舞わぬようまじないをかけた白砂を広く敷き詰め、白壁に青いタイルを嵌めた小さなあずまやを配した、簡素な庭だ。砂の下に土があるため、1年を通して、そこかしこに薄青い平たい花が咲いた。何代か前の王が好んで訪れたという静寂の庭を、ゼラルド王子はことのほか気に入っているようで、天気の良い日の昼下がりには、しばしば、あずまやの中に黒髪の王子の端正な姿を見ることができた。
 王子はそこで、護衛や従者を遠ざけて、書物を書き写したり、聖札をめくったり、あるいは単に思索したりしていた。おひとりでは危険なのではないか、と言う者もあったが、とにかく周りは開けた砂地である。もし不遜な輩が近づこうとしても、王子に気づかれずに済むとは思われないし、また、王子は優れた<月の力>の使い手だ。したがって、心配は無用であろうというのが、大勢の見方なのだった。
 義妹のユリア王女が、あずまやにいる王子を訪ねて来ることもあった。王女も、この場所ではお付きの者たちを遠ざけるのだが、こちらも<月の力>を縦横に駆使する聖者であるから、あえて押しとどめる者もない。聖王家の兄妹が、小さなあずまやの中、ふたりきりで何を語らっているのかについては、良からぬ憶測をする者もないではなかったが、表だって口に出されることはなく、それというのも聖王家、ことに王子について陰口を叩けば、原因不明の体調不良を患うことになると、皆が暗黙のうちに了解していたのだった。

「ごきげんよう、お兄さま」
 ユリア姫は、いつもと同じように、あずまやの入口で愛想よく言って、優雅にお辞儀をした。丹念にくしけずってある、つやつやした黒髪が揺れた。むろん、兄王子のほうは、庭を横切って近づいて来る妹姫に早くから気づいていたが、声をかけられてから初めて顔をそちらに向け、妹が頭を上げるのを待って、無言で頷いた。彼には、妹を迎えるときに掛けるべき言葉というものが、よく分からなかった。彼に近しい者たちが次々と病に伏す原因が、妹の嫉妬による呪いなのだと知っているから。そして、やめるように何度言っても逆効果なのだと、暗く苦く悟っているから。
 だが、それでも、不思議なことに、彼は、他の場所ではなくこのあずまやでなら、妹と過ごすひとときを、それほど嫌いではなかった。他者に聞かれる心配なく、思うままを語らうことのできるこの場所で、いつか自分の言葉が相手に届く日が来るのではないかと、心のどこかで期待しているのかもしれない――違うのかもしれない、よくわからない。
「ねえ、お兄さま」
と、ユリアは、尊敬と憧憬をこめたまなざしで兄を見つめて言った。
「わたくし、お兄さまに以前言われたことについて、考えました。聞いてくださる?」
 わけもなく胸のざわつきを感じながら、王子は静かに、「話してごらん」と答えた。

おそらく全2回。

予告:(海を映す庭) & ヨコハマハンドメイドマルシェ2015

順番からいってゼラルドの番だなあと思い、また、ちかごろ番外編を書いていないなあと思いました。
というわけで、次のお話は、ゼラルドとユリアのお話になります。静かな、短いお話です。
あさって月曜の夜にスタートの予定です。よろしくお願いいたします。

---

ひとやすみ。ヨコハマハンドメイドマルシェに、遊びに行ってきました。
今年(2015年)は、5/23(土)・5/24(日)の2日間、パシフィコ横浜での開催です。
雑貨やアートや食品など、手作り品のお店がいっぱい!
手作り品を見るのが好きで、てくてく歩くのが大丈夫な人には、すごく楽しいお祭りです☆

おみやげに、陽だまり工房さんのシフォンケーキを買って帰りました。
試食して一番好きだった、苺のシフォンケーキ。
水を使わずに、素材の水分と油分で作っているんですって。ふわっふわ!happy02

あと、何か記念にと思って、F:chocaloさんのクリアファイル2種を購入しました。
とても素敵な絵。嬉しくて、にこにこしちゃう。ネットショップでも買えるみたい → F:shop lovely

Photo
ちょっと疲れたけど、とても楽しかったですnote

ひとやすみ:謎解きカフェ「なぞともカフェ」に行きたい!

お話の予告を出そうかと迷ったのですが、その前にもう1個、ひとやすみの記事。
謎解きのできるカフェ、というものの存在を知ったので。
新宿と渋谷にあるという、「なぞともカフェ」。・・・行きたい!

「なぞともカフェ」には、謎解きのできる小部屋がいくつかと、カフェスペースがあるそうです。
小部屋にはそれぞれ違う謎が入っていて、一定期間で新しい謎に入れ替わるそうです。
謎解き料金は、ひとり1プレイ1080円。
それぞれの謎の制限時間は、765秒。(ナムコの施設なので…)
ひとつの小部屋には4人まで入れます。協力してチャレンジできるってことですね。
手ごろで、気軽で、面白そうじゃない?lovely
おみやげに、カップ麺ならぬ、カップ謎(1個500円)というのもあるんだって。

新宿店は、歌舞伎町のドン・キホーテ7階にあるそうです。公式サイトは → こちら
渋谷店(2号店)は、カラオケ屋さんのビルに入っているようです。公式サイトは → こちら
営業時間は、平日は16:00~23:00、土日祝日は10:00~23:00。勤め人に優しいですheart04

そのうちに行ってみるね。そしたら、また記事を書くね。
楽しみ~happy01notes

ひとやすみ:国際バラとガーデニングショウ(2015年)

週末に、西武プリンスドームで開催されている「第17回 国際バラとガーデニングショウ」を見に行って来ました。
庭を持たない私は、ガーデニングにはそれほど興味がないのですが、お花を見るのは好きですtulipshine

やさしいピンクのバラがあって、気に入ったので、パチリ。↓

ピンクのバラ

バラでいっぱいの一角もあり、圧倒されて、パチリ。↓

バラがいっぱい

ガーデニングの展示スペースでは、こんな展示や・・・。↓

展示1

こんな展示など・・・。どの展示も力作です。↓

展示2

午前中に行って、1時間くらい見て回りました。
お客さんが、たーくさん来ていました。
物販コーナーでは、苗木の他、雑貨や、食品も売られていました。

お昼ごはんは、西武プリンスドームから徒歩20分くらいのところにある、イタリア料理店「ナチュール」で。
ピザもパスタも美味しかったのに、お料理の写真を撮り忘れちゃった。
人気があるお店なので、予約して行くほうが安心です。とりわけガーデニングショウ期間中は混雑するようです。

ガーデニングに興味のある方なら、展示も物販も、さらに面白く感じるのだろうな、と思いつつ。
週末の遠足、楽しかったですnotes

こぼれ話:きれいな手

「手をつなぐ」お話が書きたいな、と、ふと思いました。
誰と誰が、というのは特になくて、どんな組み合わせでもいいのですけれど。
ただ、なんとなく日常パートのお話になりそうなので、すぐに書くかどうかは未定。
「誰と誰が」というリクエストがあったら、今のうちですよ!

みんなの「手」については、いくつかのお話で書いて来ています。
たとえば、「髪を編む(ルーク編)」によれば、フルートの手は「武骨な手」。「ゆがんだ城」によれば、セレンの手は「白く細い、女のような手」。
でも、つらつら思うに、手が荒れてないのは誰かと言ったら、
 (ミルガレーテは別格) > フィリシア = ゼラルド > セレン > フルート
じゃないかと思いました。
いえ、見た目の女らしさから言ったら、
 (ミルガレーテは別格) > フィリシア > セレン > ゼラルド > フルート
なのでしょうけれども。

セレンの手は、華奢ではあっても、なんだかんだ言って、剣を修めている手だと思うのです。
フィリシアは、お姫様としてはやんちゃで、木登りもするし、弓も射るし、お料理もできるし。
ゼラルドは、短剣こそ使うけれど、基本的には「剣よりも術式」だから。手の造りは男子らしくても、きっと荒れてなくて、すべすべな気がするんだ!

などと思いました。どうでもいいことかもしれませんが。
これからも少しずつ、お話の中で書いて行こうと思います☆

名探偵コナン鳥取ミステリーツアー:行程案(首都圏発2泊3日)

名探偵コナン鳥取ミステリーツアー(2015年)」関連の記事を読みに来てくださる方が多いようです。
ぶっちゃけ、小説を読みに来てくださる方より、ミステリーツアー関連記事のお客様のほうが多いくらいですsweat02
が、まあ、そういうことであれば、首都圏発、2泊3日のスケジュール案をメモしてみようかしら、と思いました。行き帰りとも飛行機を使う想定で組んでいます。
コナンのミステリーツアーは、西日本での開催とあって、なかなか首都圏発のモデルコースが見つからないので。
そういうのを探していらっしゃる方の、何かのご参考になればいいなあと思います。

以下は、鳥取に行ったことのない管理人が、自分用に作っている行程案、飽くまでも「案」です。
不備があっても責任は負いません。ご了承ください。
(2015/06/21追記:行ってきました!記録と感想は→こちら

---

※ツアーキットについては、JR西日本から「鳥取ミステリーツアーきっぷ」を電話で購入し、郵送してもらう前提です。
※☆印は観覧ポイント、赤字はミステリーツアーのチェックポイントです。
※2日目については、プランA「三徳山コース」と、プランB「青山剛昌ふるさと館コース」があります。

【1日目:飛行機で米子へ→三朝泊】

 羽田空港~米子空港(飛行機) AM着

 米子空港~米子駅(空港連絡バス)

 米子駅~とっとり花回廊(花回廊シャトルバス)

  とっとり花回廊&昼食(約2時間半)

 とっとり花回廊~米子駅(花回廊シャトルバス)

 米子駅~倉吉駅(快速とっとりライナー)

 倉吉駅~三朝宿泊施設(宿泊施設の送迎車) 18:00頃着

  余力あれば、陣屋の館にも(徒歩)

 三朝泊

【2日目(プランA・三徳山コース):三朝から出発→鳥取泊】

 宿泊施設周辺(8:00頃)~三徳山(バス)

  三徳山にお参り&昼食(約2時間半)
  ※よほど登山に自信がある人でなければ、投入堂まで登る時間はなさそう。

 三徳山~倉吉駅~倉吉パークスクエア(バス)

  なしっこ館(約1時間)

 倉吉パークスクエア~赤瓦・白壁土蔵(バス)

  白壁土蔵観光案内所

  大岳院

 赤瓦・白壁土蔵~倉吉駅(バス)

 倉吉駅~鳥取駅(とっとりライナー)

 鳥取駅~宿泊施設 徒歩・18:00頃着

 鳥取泊

【2日目(プランB・青山剛昌ふるさと館コース):三朝から出発→鳥取泊】

 宿泊施設~倉吉駅(宿泊施設の送迎車)

 倉吉駅(9:00発)~倉吉パークスクエア(バス)

  なしっこ館(約1時間)

 倉吉パークスクエア~赤瓦・白壁土蔵(バス)

  白壁土蔵観光案内所(約45分)

 昼食

  大岳院(約50分)

 赤瓦・白壁土蔵~青山剛昌ふるさと館(循環バス)

  青山剛昌ふるさと館(約1時間半)

 青山剛昌ふるさと館~由良駅(シャトルバス)

 由良駅~鳥取駅(快速とっとりライナー)

 鳥取駅~宿泊施設 徒歩・18:00頃着

 鳥取泊

【3日目:鳥取から出発、羽田へ】

 宿泊施設(8:30発)~鳥取駅(徒歩)

 鳥取駅~砂の美術館前(バス)

 ☆ 砂の美術館(約1時間)

 ☆ 鳥取砂丘(約1時間10分)

 昼食(約1時間)

 鳥取砂丘~鳥取駅(バス)

 鳥取駅~鳥取空港(シャトルバス)

 鳥取空港~羽田空港(飛行機) 夕方着

---

時刻表を見ながら、よくばりに詰め込んだら、こんな感じになりました。
これを参考に計画を立てる場合は、必ず各種時刻表と照らし合わせてくださいね

良い旅を!

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こぼれ話:お話の色分け

「遥かな国の冒険譚」は、中学生の頃に書き始めた物語ですが、当初から、「いろんな色のお話」というイメージで書いていました。
当時、原稿はルーズリーフに手書きでしたが、本編は普通の白い用紙に、番外編は色付き用紙に書いていました。
森の中で、少年時代のセレンとルークが初めて出会う「夏の訪れ」は、緑色の紙に。
海岸で、幼いゼラルドが生母とひとときを過ごす「海辺にて」は、水色の紙に。
長じたゼラルドが、義妹であるユリア姫の凶行に悩む「凶宴」は、紫色の紙に。
というふうに。

実は、今も、それぞれのお話の主役が誰であるかによって、こっそり色分けしています。
ミルガレーテはちょっと脇に置いておいて、主要登場人物は、フルート、フィリシア、セレン、ゼラルドの4人。
これに対して、ブログランキングの小バナーが、ちょうど4色あるので、対応させています。
フルートがメインのお話のときは、赤いバナーを添えています。→ 
フィリシアがメインのときは、青いバナーを添えています。→ 
セレンがメインのときは、緑のバナーを添えています。→ 
ゼラルドがメインのときは、灰色のバナーを添えています。→ 
サイトを立ち上げて4年以上経ちますが、このことに気づいている方は、どのくらいいるかしら?
ちなみに、特に誰がメインともいえない場合には、「中心人物をひとりだけ選ぶなら、解呪の当事者であるフィリシア」と思っていることから、青いバナーを使用しています。

また、最近は電子書籍を作っていますが、表紙の色が4色選べるので、これも使い分けています!
 フルートがメインの本は、橙色の表紙。
 フィリシアがメインの本は、水色の表紙。
 セレンがメインの本は、緑色の表紙。
 ゼラルドがメインの本は、焦げ茶色の表紙。
そうだっけ?と表紙を確認するなら、こちらからどうぞ(現在6冊)。→ 電子書籍の一覧

色の順番でいったら、「さまよう人形」の次はゼラルドのお話にするのが順当ですが、「さまよう人形」が怪談ぽい話だったので、んー、どうしようかなあ…。考え中です。

作者より:「さまよう人形」

連載中、多忙な月末月初を迎えてしまい、途中で間があいてしまって申し訳ありませんでした。
また、短いお話なのに初回から最終回まで時間がかかってしまったことで、書く側もバランスを取りづらくて。
物語の展開は意図したとおりになったものの、幕引きの書きかたなどは、そのうちに再考するかもしれません。

人形自体が魂を持ったのか、イレーヌの霊が人形を動かしたのかについては、お好みで。
いずれにしても力の弱い存在なので、たぶん、フルートやゼラルドのような「強いもの」の所には出て来られなかったのではないかと思います。
ゼラルドがフィリシアを魔除けで守ったため、消去法で、セレンの所に出て来るしかなかったんじゃないかなあ。

次に何を書くかは未定です。
しばしお待ちください~☆

→ 目次に戻る

さまよう人形(04)

 背筋の寒くなる思いで、セレンが辺りを見回すと、そこは小さな墓地だった。こんな夜更けに、墓地にいるとは! 冗談ではない、さっさと戻ろう。
 人形を置いて行くかどうかで、彼は少し迷った。だが、装飾品を付けたまま放置するのは気が引けたし、かといって、装飾品を引き剥がすのは、もっと気が引けた。結局、あちこち綻んでいる人形を、その身を飾る品ごと持ち帰ることにした。
 早足で、というより、ほとんど小走りに、セレンは部屋まで一息に駆け戻った。窓から入って、机の上に人形を置き、何度も何度も見直して、それが動き出さないことを確かめてから、ようやく眠りについた。そして、人形の抱えていた問題を解決したと信じることができたせいか、夜中に風が窓を鳴らしても、それほど怖いと思わずに、朝まで眠った。
 翌朝、出立するときに、セレンは最後に残って、門番に人形と装飾品を手渡した。門番は、渡されたものを一目見るや、驚いて硬直した。
「なんとまあ! これをどこで手に入れなさいましたか、お客様」
「人形は部屋の中で。装飾品のほうは、そのう、あちこちにあった。うちひとつは、イレーヌというひとの墓所にあったよ。何か心当たりはある?」
「イレーヌ。実は・・・この館の持ち主のご家族に、お嬢様がひとり、おありになって」
 もぐもぐと言いよどむ門番に、セレンは問いを重ねた。
「そのお嬢様の名前が、イレーヌ?」
「いえいえ! お嬢様はマチルダというお名前で、まだ生きておいでですよ! ただ、マチルダお嬢様がまだうんと小さくて、ご家族の皆様がここに滞在なさっていた頃、お嬢様が、奥様から贈られた装飾品を持ち出して、なくしてしまわれたので。その言い分というのが、イレーヌという子と友達になって、一緒に人形遊びをするのに使って、そのままプレゼントしてしまったのだと。ですが、近所にそのような名前の子供はおりませんでした。さよう、裏の墓地に、古い古い墓が見つかっただけでして。奥様は、怒ったり、気味悪がったりして、結局、皆さんこちらにはお運びにならなくなってしまいました。では、イレーヌ様は、マチルダお嬢様に、装飾品を返してくださった・・・のですかねえ」
「もしそうなら、本当は、お嬢様に直接返したかったのかもしれないけれどね」
 セレンが言うと、門番は寂しそうに笑った。
「そう言いましても、マチルダお嬢様は、もうご結婚なさって、遠くの土地に行ってしまわれましたので。最後にお会いしたときには、もう、イレーヌというお友達のことなど、覚えてはいらっしゃらなかったですよ」
「そう・・・」
 忘れられたことを察したから、贈りものを返したのかもしれない、と、セレンは思った。
「その人形は、どうするの」
「さあて。ちょっときれいに直してやってから、装飾品と一緒に、マチルダお嬢様にお送りしてみますかねえ」
「うん。そうだね、それがいいね」
 セレンは同意して、門番と人形に別れを告げた。
 「マチルダお嬢様」は、人形と装飾品を見て、小さいとき一緒に人形遊びをした友達のことを、思い出すかもしれないし、思い出さないかもしれない。だが、思い出してくれたらうれしい、と、思った。

(完)

さまよう人形(03)

 もし、直前にゼラルドと話していなかったら、おそらくセレンは、人形を反射的に叩き落としていたことだろう。というのも、彼が今までに耳にした、恐怖を遠ざけてくれそうな言葉の中で、もっとも印象に残っているのは、何年か前にフルートから言われた「目に見えないものは気にならないし、目に見えるものなら倒せばよいだけだ」という言葉だったからだ。
 だが、ゼラルドと言葉を交わしたことで、セレンは、いま目の前に浮かんでいる人形が、自分に害をなさないだろう見込みについて思いをめぐらせた。だから、ドアに背を付けたまま、かすれがちな声を励まして言った。
「な、何か・・・、ぼくに、伝えたいことがあるのか・・・?」
 人形は、宙に浮いたまま、ぴょんと跳ねた。それから、招くように片腕をあげて、ゆっくりと後ずさった。セレンが動かずにいると、腕を下げたり上げたりしながら、また戻って来ようとする。ぞっとしない光景だったが、勇気を出して、セレンは人形のほうに歩いた。
 すると、人形は、導くように、ふわふわと窓のほうに飛んで行き、音もなく開いた窓をくぐって、中庭に出て行った。セレンが窓際まで来て様子をうかがうと、少し先に浮かんで、しきりに再び、おいでおいでを繰り返している。
 1階なので、窓から出られないことはない。セレンはしばし躊躇したものの、腹をくくって、灯を持ち、窓枠を乗り越えた。どのみち、伝えたいことというのを聞いてやらないことには、安眠は訪れてくれそうにない。人形は、中庭の隅のほうへと飛んで行く。
 レンガで囲まれた、草ぼうぼうの区画の上で、人形はカクカクと上下に揺れた。
「ここに、何かあるのか・・・?」
 セレンは見下ろしたが、暗くて、よくわからない。片手で灯を持ち、片手で草をかき分けるようにすると、灯に照らされて、何かが光った。
「・・・これか?」
 拾い上げてみると、短めのペンダントだった。人形を見ると、セレンのほうに頭を差し出している。セレンは、そのおさげ髪の頭に、ペンダントをかけてやった。
 これで、奇妙な夜の散歩は終わりになるのだろうか。そう思いながら見守っていると、人形は頭をあげて・・・おいでおいでをしながら、また飛び始めた。セレンはがっかりしながら後を追った。
 人形は、渡り廊下を越えて、館の離れと思しき建物の前で、また止まった。そこには、1対のブレスレットが落ちていた。セレンは拾い上げて、人形が突き出している両腕にかけてやった。さらに、人形は建物の裏に回った。示された場所で髪飾りを拾い上げ、おさげ頭の後ろに留めつけてやると、人形は急に、力尽きたように落ちた。
 セレンがかがんでみると、人形は石版の上に倒れて、風雨にさらされたように、ぼろぼろになっていた。両目のボタンは、どちらも取れかけて、ぶらぶらしている。
 セレンが人形を拾い上げると、石版に刻まれた文字が読めた――「イレーヌの墓」。

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