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誕生日の姫君(03)

 翌日、フィリシアは本当に日の出とともに起きて来て、本当に牛の世話を手伝っており、本当に乳絞りが得意だった。フルートとセレンは、今日は1日、姫君から目を離すまいと決めていたが、おかげで巻き込まれて、水やら牛乳やら牛のエサやらを運ぶ羽目になった。
「どうして、ぼくたちまで・・・」
と、セレンがぶつぶつ言うので、フルートが笑いながら、
「馬の世話と、そう変わりはないと思えばいいだろう」
と、たしなめていると、宿のおかみが寄って来て、
「あんたがた、よほど何かわけがある身の上に見えるけども、いい子たちだねえ」
と、しみじみ言った。
「青い髪の娘さんも。このへんじゃ、あんまり見かけない髪の色だけど、ほんとに、いい娘さんだ。今日が誕生日というのも何かの縁、あたしも喜んで、お祝いさせてもらうよ」
 そのあと、朝食になった。ひとつだけある小さなテーブルを、姫君と3人の若者が囲んで、お祝いを言いながら食事していると、宿のおかみが来て、フィリシアに笑いかけた。
「誕生日おめでとう、フィアちゃん。準備できたよ、台所。好きに使っておくれ」
 フィリシアは――いつものとおり「フィア」と名乗っていたが――、にこにこしながら「ありがとう!」と言って、若者たちに向かって説明した。
「今日はね、わたし、ケーキを焼くわ! セレンが昨日買ってきてくれた果物と木の実を使うの。おかみさんが、水とか粉とか、分けてくれるって言うから」
 セレンは、驚いて聞き返した。
「ケーキ? 焼くの? 君が?」
「そうよ! あ、ううん、クリームとか使わないの。村のお祭りで配るようなケーキ。あなたの口に合うかわからないけど、でも、わたしが思うには、そこそこ美味しいわよ」
 ふふ、と、楽しそうに笑う。宿のおかみは、うなずいて、
「いくらでも焼いておくれ。今日はお祭りみたいなもんだと思うことにするからね」
「ありがとう! そしたら、村のひとたちに配れるくらいに焼くわね!」
 そんなわけで、この日は1日、姫君のお菓子作りの日になった。混ぜて、こねて、かまどで焼いて。小さな宿は、甘い幸せな香りに包まれた。匂いに誘われてやって来る村人たちに、姫君はケーキを一切れずつ分けた。もちろん、フルートもセレンもゼラルドも、焼き立てのケーキを食べた。干した果物と、蜂蜜漬けの木の実が焼きこまれたケーキは、素朴だったが、とても美味しかった。
 そうして、1日は無事に、あわただしく過ぎて行った。ケーキを焼き続けた姫君は、気持ちよく疲れて、夕食のあと、早く休むことにした。寝室の前まで、フルートが送った。
「おやすみ、フィリシア。何事もなくて良かった」
「ありがとう。おやすみなさい」
 フィリシアは安心して寝室に入った。夢も見ずに眠れそうだと思った。
 だが――。

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