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誕生日の姫君(04)

 ――何が起こったのか、よくわからない。ただ、気がついたら、「自分の国の、自分の城の、自分の部屋」に、ひとり佇んでいた。見慣れた天井。見慣れた壁。見慣れた調度品。
 フィリシアは青ざめた。だめ、ここにいては、いけないのに――。
 いきなり、足元から、しわがれた女の笑い声がした。
「ひっひっひ」
 フィリシアは声をのんで後ずさった。床には、しわくちゃの老婆の首が転がっており、その首は歯を剥き出して、ニタニタと笑っていた。
「それじゃあ、いまいましいアイリーンの子供は、この年まで、のうのうと生き延びたわけだね。だけども・・・ひっひっひ。今度は逃げられないよ。おまえはね、自分の国の、自分の城で、気がふれて死ぬ。そういう運命なのさ」
「ちがいます」
と、王女は言った。
「私、そうならないように、旅に出たのだもの――」
「夢だよ。それは、おまえが見た、夢だ」
 老婆は、ケタケタと笑った。
「夢である証拠に、おまえは今、その旅のことを何ひとつ思い出せない。そうだろう」
「そのようなことは・・・」
 言いかけて、フィリシアは絶句した。本当だった。何も思い出せない。旅・・・、誰と、どこへ。何もかも、霞がかかったようにぼんやりして、つかみ出せない。
「けっけっけ。な、思い出せないだろう? それから、おまえは、おまえが大切に思う者のことを、ぜんぶ忘れる」
「大切に思うひとのこと・・・」
 仲間と思う人たちがいた、ような気がするのだが、気のせいだったろうか。待って。それでは私は、家族とともに、ずっと城に・・・いいえ、家族って、誰のこと?
 記憶を奪われたフィリシアは、混乱した。老婆の首は、憐れむように言った。
「かわいそうにねえ。おまえはもう、とっくに狂ってるんだよ。いま自分がどこにいるか、わかるかい?」
「私の部屋・・・」
「ひひひ、そう、ここは、おまえの部屋。おまえの国の、おまえの城の、おまえの部屋」
 扉の外で、誰かの声がしたような気がした――「フィリー、ここを開けてくれ」――が、老婆がすかさず、
「おまえは、大切に思う者の言葉が、耳に入らなくなる」
と言うと、すぐに聞こえなくなった。
 自分の国の、自分の城で、ひとりぼっち。気がふれているから、ひとりなのかしら? たしかに、誰のことも思い出せないなんて、正気とは思えないわ・・・。

あと1回かな?

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