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誕生日の姫君(05)

 老婆の首は、猫なで声になった。
「かわいい姫様や。本当のところ、おまえはもう、ずっとずっと狂っていて、ただ、そのことを告げる者が今までいなかっただけなのさ。おまえは、ありもしない夢ばかり見て、みんなに迷惑をかけて、自分ひとり、いい気分で生きて来ただけだ。少しくらい、自分で、そう疑ってみたことはなかったのかね? 自分は狂っているかもしれないって?」
「・・・」
 王女は答えなかった。わからない。息が苦しい。
 老婆は続けた。
「おまえなど、いなくなればいいのにと、みんなが思っているよ。おまえがいなくなれば、さぞ喜ばれるだろう。そうと気づいていながら、どうして平気な顔で暮らしていられるのか、私にはわからないねえ」
「・・・」
 王女はうなだれた。そう、なのだろうか・・・。
「かわいそうな、アイリーンの娘」
と、老婆はニヤニヤ笑った。消え入りそうになっていた王女は、しかし、はっとした。老婆はさっきも「アイリーンの娘」と言ったが、よく思い出せないものの、母の名はアイリーンではないのだった。この人の言うことを、信じてはだめだ・・・。
 そのとき、窓の外から、聞き慣れない声がした。
「旅のおねえちゃーん、ケーキをありがとう!」
 ケーキ。
「フィアちゃん、起きてる? あのケーキ、大好評だったよ」
 そうだ、私、ケーキを焼いたわ。
「旅人のお嬢さん、ごちそうさま。誕生日おめでとう」
 誕生日。そう、今日は誕生日だ。こわいことを考えたくなかったから、一日中ケーキを焼いていたのだったわ。フルートがとても美味しそうに食べてくれて――。
 記憶がよみがえり、胸をひたした。呪縛は解け、フィリシアは顔を上げた。
「ここは、私の部屋ではありません」
「いきなり、何を言い出すんだね」
 老婆の首は、顔をしかめた。フィリシアは、気にせずに続けた。
「私は、大切な友人たちと旅をしています。誕生日は、ケーキを焼いて過ごしました。あなたは、あなたこそは」
 息を吸って、まっすぐに見つめて、告げた。
「もう、この世には、いない。そのことを思い出して!」
 老婆の首は、カッと目を見開いた。口を開け、ごぼ、と水を吐いた。ごぼ、ごぼ、ごぼ。そして・・・煙となって消え失せたのだった。
 王女は辺りを見回した。そこは元通り、異国の、田舎宿の一室だった。

すみません、あと1回。

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コメント

フィリシア・・記憶が戻って良かった。
もう大丈夫。仲間がいるから!
最終章を楽しみにしております。

追伸:メールをいただきありがとうございました(=^・^=)☆
    今後もまた綺麗な絵の冊子が・・と思うと楽しみが増えました。

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

このたびは、あれこれとお心配りをいただき、ありがとうございました。
お気に召したようで、とても嬉しいです。印刷にかけた甲斐がありました☆

小さい頃、中綴じの小さな冊子(日本の昔話とか)を集めるのが楽しかったことを思い出します。
お小遣いをやりくりして、無理のない範囲で、時々作れたらいいな、と思っていますwink

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