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誕生日の姫君(06)

 閂をかけてあった部屋の扉が、大きく性急な音を立てて叩かれていた。
「フィリー? 無事か? 壊して入っても――」
「待って! いま開けるわ」
 フィリシアは、あわてて駆け寄って、扉を開けた。フルートは、フィリシアを見て、さらにその背後の部屋を見て、いくらか安心した顔をした。
「魔女を追い払ったのか。良かった」
「聞こえていたの?」
「ああ、聞こえていた。こちらからもずっと呼んでいたが、聞こえなかったか」
「ええ。ただ、窓の外から、村の人の声が聞こえたわ」
「セレンとゼラルドが、おかみさんに頼んで呼んでもらった。部屋の中に声をかけてくれ、と。だが、君には言いたいことがある」
 フルートの視線に、責めるような色が混じったので、フィリシアはびっくりして、
「え?」
「もし、ぼくが君のことを忘れてしまったら、君は、ぼくのことを、この世から消えてしまえと思うのか?」
 フィリシアは驚いて、かぶりを振った。
「いいえ! いいえ、どうして、そのようなことを」
「同じことだ。もし君が、ぼくたちのことをみな忘れて、正気を失ってしまったとしても、ぼくは君に生きていてほしいし、笑っていてほしい。弱気になる必要など無い。忘れるな」
 真顔で言われて、フィリシアは返す言葉を失った。
「フルート・・・」
「それだけ言いたかった」
 表情を和らげて、フルートは、部屋の窓を指した。
「君を呼んでいる人たちに、姿を見せてあげたらいい」
 フィリシアはうなずいた。窓辺に歩み寄り、窓を開けると、外には老若男女の村人たちが集まっていた。手に手に灯を持ち、口々に叫んでいた。
「ケーキをごちそうさま!」
「おねえちゃん、ありがとう!」
「お誕生日おめでとう!」
 フィリシアも、大きな声で返した。
「ありがとう!」
 わあっと村人たちは手をたたき、フィリシアも笑顔で手を振った。
「本当にありがとう!」
 宿の中では、外から戻ったゼラルドが、同じく戻ったセレンと、フルートに話していた。
「残念だが、魔女の怨念を退けたところで、呪いは解けていない。つまり、彼女は、解呪が成るまで、自分の城に戻ってはならない。戻れば気がふれて死ぬ、そういう呪いだ」
 フルートはうなずいて、きっぱりと言った。
「予定どおり、聖泉<真実の鏡>を目指す。必ず、フィリシアの呪いを解く」

 夜空には、明るい月が昇っていた。外で、誰かが、乙女の誕生日を祝う歌を歌いだし、それは次第に大合唱となって、いつまでも響いていた。

(完)

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コメント

強さと優しさのあるお話・・とても好きなお話・・
でした(=^・^=)✿

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

そう言っていただけると、ほっと安心します。
あれこれ反省する出来ですが、大事な芯の部分を書けているといいな、と思います。
励みになります。いつもありがとうございますconfident

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