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聖なる森(01)

 その森の木々や獣を傷つけさえしなければ、あるいは、そこで強盗や人殺しを働きさえしなければ、別に、どうということはないのだ、と、村人たちは言った。ふつうの森と何ら変わりはない、と。しかし、そうは言いつつも、その森について語る者は、ひとりの例外もなく、おごそかな畏敬の念を顔に浮かべるのだった。
 果たして、その理由は、二人が実際に森に入ると、すぐ明らかになった。もちろん、掟を破って不正を働いた者には、今までに不思議な方法で罰が与えられて来たのだろうし、村人たちの心にも、罰を下した不可視の力に対する恐れが深く根付いていたのだろうけれども、そうしたことの何よりもまず、その森は、現実のものとは思えない神々しさに満ちていたのだ。
 重なり合う木の葉の、穏やかな風に揺れる色。愛らしい小鳥たちの、さやかに鳴き交わす声の響き。そして辺りの空気のたゆたい・・・。
「夢のように美しい、とは、こういうことを言うのだろうな」
 森に入ってまもなく、馬上に揺られながら、金髪の王子がそう言ったのも、だから、まったく無理からぬことだった。すぐ後ろに馬を続かせながら、セレンも肯定して、
「うん。でも、これほど美しい夢を見ることができるとも思えないね」
 賛嘆のためいき混じりにそう言いながら、こちらもすっかり周りの様子に魅せられてしまっている。
 しばらくの間、彼らは景色を楽しみながら、黙って馬の歩を進めていた。森を抜けないことには、目指す街に行き着けないのだ。
 森の空気は、ともすれば威圧感を覚えるほどに荘厳だったが、決して不快なものではなかった。ここでは、世間のあらゆるわずらわしさは、遠く縁のないものだった。早春であるにもかかわらず、春の盛りか、あるいは早い夏を思わせる、うららかな陽気がそこらじゅうに立ち込めていたが、それが一年中変わらないだろうことは、おのずと理解できた。時折、果物のたわわに実る木があったが、どれもみな、見たこともない種類のもので、かぐわしい良い匂いがした。もいでもかまわないことは、村人から聞いている。空腹になったら取らせてもらうことになるだろう。
 今までに森を通った、あまたの旅人たちの踏み固めた道が、ちょうど馬の通れるくらいの幅で、木々の間を縫い、迷いようもなく続いていた。村で聞いた話が正しいならば、このまま行くと、大きな泉に出るはずだった。どれほど美しい泉に出会えるのだろう、と、思わず期待に胸をふくらませながら、セレンはふと、故郷の森の、慣れ親しんだ小さな泉を思い出した。そう、もちろん、どのような素晴らしい情景に出会ったとしても、彼の心の中で、あの懐かしい憩いの場が色あせたりすることは決してないのだけれど。
 前方に、まぶしい光の反射が見えた。そして、木々はやがて唐突にひらけた。フルートの後について、その輝く泉のほとりに出たとき、けれどもセレンは、予想もしていなかった光景を目の当たりにすることになった。

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コメント

「聖なる森」いよいよ始まりましたね(=^・^=)!
1話目をワクワクしながら読み終え
今はドキドキしています。
全15話とても楽しみです。
よろしくお願いします✿

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

「聖なる森」は、私が気に入っているお話のうちの1つです。
でも、ここまで公開せずに来ました。つまり、それだけの理由があります。
「ええっ、まさか、そんな…」と言われてしまうような情報が明らかになるかも。
いえ、私が日和見して、書き換えてしまうかもしれませんが。
いずれにしても、書き始めたからには、書き上げるのみ。私もドキドキします。

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