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滝遊び(02)

「大丈夫だよ、フィリシア。命にかえても、落としはしないから」
 穏やかな声に力づけられて、フィリシアは思い切って踏み出した――踏み出せた。特に何かを踏みしめた感じはなかったが、落ちることもなかった。もう一方の足もそろえた。これで、フィリシアも宙に浮いている!
 フィリシアは、手をつないだまま、ゆっくりと緊張をほどいた。ふと、フルートとセレンのほうを振り返ってみると、フルートはこちらに背を向けており、セレンとは目が合った。軽く咎めるような視線で見られたが、文句は言われなかった。
 傍らのゼラルドを見上げると、静かな黒い瞳に見つめ返された。何か話しかけたい気がしたが、自分が何を話したいのか、よくわからなかったので、ただ頷いた。ゼラルドが、
「下りてみよう」
と言って、何か唱えると、二人は、水の流れ落ちるすぐそばを、ゆるゆると下降し始めた。
 フィリシアは、つないだ手とは反対の手を伸ばし、水しぶきに触れた。つめたい。さらに下りて、滝の中ほどのところまで来ると、突き出た岩に水がはね、虹が出ていたので、歓声を上げた。
「見て、虹!」
 服が濡れないように距離を取りながら、滝つぼまで下りきると、あちらにも、こちらにも虹が出ていて、フィリシアは大喜びだった。
「フィリシア、ごらん」
と言って、ゼラルドが楽しそうに指さした先を見ると、滝の裏に、人が入れそうな岩棚がある。滝の横から回り込むようにして、二人で中に入ってみると、水のカーテンに区切られた、秘密の場所に遊んでいる気持ちになった。ごうごうと水音の轟く中で、フィリシアはゼラルドを見上げた。このようなときには、やっぱり、兄ができたかのように思えるのだった。
「ありがとう、お兄さま!」
 ゼラルドは何も言わずに頷いたが、優しい瞳をしていた。きっと故国では、こんなふうにして、本当の妹姫に接していたのだろう、と、フィリシアは思った。今だけは、私も、二番目の妹でいさせてください。
「では、戻ろうか」
「はい」
 元の場所に戻るのは、一瞬だった。気がつけば、崖の端に立っていた。ぼんやりしていると、静かに言われた。
「フルートに見られたくないなら、もう手を離さないと」
 はっとして、つないでいた手を離した。えっ、いえ、見られて困ることはないけれど・・・。
 ゼラルドが、小さく、くすりと笑った。フィリシアは何か言い返そうとしたが、セレンが向こうから、出発するよと声をかけて来たので、なんとなく言いそびれた。
 よく晴れた秋の日のこと。
 旅の目的地は、少しずつ、近づきつつあった。

(完)

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