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聖なる森(05)

「ありがとうございます」
 セレンはほっとした。森の精霊を司る女王と思われるひとと、争わずに済んだのは幸運に思われた。すぐに、リーデアを連れて戻ることにしよう。
 女王は、セレンをじっと見た。
「よろしければ、お詫びのしるしに、おもてなしいたしたく思うのですけれども」
「お気持ちはありがたく存じますが、友人が待っておりますので、失礼させていただきます」
「どうぞ、そうおっしゃらずに」
 女王は言って、続けた。両の瞳に、慈愛の光を満ちあふれさせて。
「よろしいこと、もしも、あなたが望まれるなら。あなたがずっと、今日も明日もあさっても、その先もずっと、ここにいらしてくださっても、私たち、かまいませんのよ」
 セレンは思わず、まじまじと女王の顔を見つめ返した。女王は、そのたおやかなおもてに、心からの思いやりと深い思慮の色を浮かべ、セレンの目を覗き込んでいた。申し出を受ける気持ちはなかったが、セレンの胸は落ち着かない早鐘を打った。
 女王は視線を合わせたまま、微笑んで、静かに続けた。
「私たちの姿が見える方は、心やさしい方です。長いこと生きている間に、何人か、そのような方にお会いいたしました。中には、この森に留まることを選択なさった方もいらっしゃいました。そして、この森で安らかな一生を過ごされました。あなたは、どうなさいますか」
 セレンは礼儀正しく少しの間をおいてから、きちんと答えた。
「そのようなお声をかけていただけたのは、身に余る光栄と存じておりますが、さきほども申し上げましたとおり、友人が待っておりますので、やはりここで失礼させていただきたく存じます」
「お馬なら、娘たちに返しに行かせられますよ」
「いえ、そのことではないのです」
「ご友人が、馬ではなく、あなたを待っていらっしゃる、ということかしら」
「はい、陛下」
 女王はしかし、この不意の客人の心のうちを何もかも知ろうとするかのように、なおもセレンの目をひたと見据えていた。
「たしかに、あなたは、ためらってはいらっしゃらないようですけれど・・・、でも、あなたが、あなたの生きる場所のことで、ほかのひとに義理立てする必要はないのですよ」
「義理立てなどでは――」
「それでは、あなたは今、なぜ帰ろうとなさるのですか」
 女王はたたみかけ、叫ぶように言った。その瞳は、いつしか優しい涙に潤んでいた。
「ああ、つまり、私が言いたいのはこういうことなのです――人の世は、あなたには、つらすぎはありませんか!」

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