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聖なる森(07)

 女王は、激情からややさめて、その目に面白そうな光を浮かべた。
「それはまた、本当に矛盾したおっしゃりようですことね。でも、それでは、あなたはその生きるのに不向きなあなたご自身を、いまになって安らがせようとはお思いにならないの」
「心休まる静穏な暮らしは、常にわたくしの憧れでございます、陛下」
 セレンは言って、続けた。
「けれども、わたくしは、静けさを求めるために生きているのではございませんし、逆に申し上げれば、いかに穏やかで安らいだ生活であろうとも、わたくしが満たされるためには十分ではありません」
 自分の言葉が通じているかどうか、セレンはいくらか心配した。しかし、
「そうですか・・・よくわかりました。けれど、それなら、あなたがいま生きておいでになれるのは、一体なぜだとおっしゃるのですか」
 賢い女王は、彼の言いたいことをちゃんと理解してくれていた。セレンは安堵して、フルートがこの場にいないことに感謝しながら、答えた。
「わたくしには、類まれな気高い友人が一人あるのです、陛下。わたくしは、自分が少しでも彼の役に立てることを知っておりますので、今まで生きてまいりましたし、今も帰りたいと願うことができるのです。今わたくしが待たせているのは、その友人なのです」
「それでは、失礼ながら、その方がお亡くなりになったあとは、どうなされるのです」
 死、という言葉は、まだ新しい心の傷に、分かちがたく結びついていた。死。それは、きのうまで同じ世界にあった命が、今日は欠落し、存在しないということ。もう二度と、会うことも、言葉を交わすこともできず、その不在は永遠に埋まらないということ――。
 けれども、この友の死についてなら、それが誰よりも親しい友であればこそ、彼はいつでも覚悟ができていた。
「彼の遺志を執り行うために尽くすつもりでございます、陛下」
 セレンは、ためらうことなく言い切った。女王は、穏やかな、しみいるようなまなざしで、彼を見つめた。
「そうですか・・・その方は、あなたのご主君でもおありのようですね、ちがいますか」
 セレンは少し笑った。
「さあ、どうなのでしょう。それを簡単に認めては、叱られてしまいます」
「良いご友人ですわね」
 女王は、そっと言った。そして夢見るように続けた。
「ずっと昔、わたくしの申し出を受けずに去って行かれた最初の方は、故郷に家族と恋する人とを残して来ていらっしゃいました。長い年月が経って、次にそうなさったのは、ご主君と同志のお仲間に、戦の報告をするために戻って行かれた方でした。そしてまた長いことあって・・・あなたは3人目の方なのですわ」
 女王はしばし沈黙し、そののち晴れやかに声を張った。
「お話できて、本当に楽しゅうございました。長々とお引き止めいたしましたけれど、お許しくださいましね。さあ、おまえたち、この方をお送りしておあげ」

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