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聖なる森(13)

 フルートは、ぎこちなく言い直した。
「もしも・・・ゼラルドが」
 口に出したその名の響きに、自ら戸惑うかのように視線を揺らして、ためらいがちに続けた。
「ゼラルドが、今も・・・いたとしたら。そして、あの国で、君を引き止めていたら。いまごろ、君はここにいなかったのだろうな」
「えっ」
 セレンはびっくりした。セレンもまた、そのひとの名によって落ち着かない心地がしていたが、ともかく、いつのまにか招いてしまっていたらしい、不思議な誤解を解くことのほうが先だった。
「フルート、それは色々おかしい」
「そうか?」
「そうだよ! まず、彼がぼくを引き止めるようなことがあったはずがない。そして、百歩譲って引き止めたとして、ぼくがそれで引き止められたはずがない」
「・・・」
 フルートは、じっとセレンを見たあと、ついと視線をそらし、あらぬほうを眺めながら、まるで違うことをぽつりと言った。
「もうすぐ、帰り着いてしまうね」
 そして、セレンは理解した。ああ、そうか。泉のほとりでセレンを待ちながら、フルートが奏でていた笛の音が寂しそうだったのは、そういうことだったのか。
「誓うよ」
 セレンは、さらりと言った。フルートの視線が戻って来るのを、しっかりと受け止めて、言った。
「ぼくは、国に帰ったあとも、君がやがて王位を継いだあとも。これから先、何度、君に剣を捧げ、衆目を浴びてひざまずこうとも。決して、君の臣下にはならず、友人でいよう」
 笑って、付け加えた。
「それを疑うのは、無しにしてくれないか」
「そうだな」
と、フルートも答えた。本当に近しい者だけが稀に見ることのできる表情で笑い、目を伏せて、
「ありがとう」
と、言った。
 その先、森を抜けるまで、ふたりはほとんど口をきかなかった。精霊たちの住む、夢のように美しい、神聖な森。ここを抜けて街に出て、青い髪の姫君と合流すれば、故国は、もう目の前なのだった。

 ・・・すでにおわかりのように、これは、帰り道の物語である。

(完)

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コメント

ドキドキしながら・・
ウルッとしながら・・
そうそう!とうなずきながら・・
読ませていただきました。
とても良かったです。
芯にあるものがとても好きです(=^・^=)✿

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

私の好きなお話が、うさパンさんにも気に入っていただけて、嬉しいですheart04
芯には、前向きなものをセットしているつもりです。
読んでくださる方が明日を生きるための助けとなれたら、幸いです。

雪村さん、こんにちは!
帰り道の物語ということで、その前の大局面で起こったであろう様々な事柄を自分なりに想像しつつ、読ませていただきました。
フルートとセレンの友情の形(距離感というか、在り方)が好きです。この先年を取って、おじさん、おじいさんになって、守るもの抱えるものが沢山増えたとしても、二人で話すときなどは、いつまでも「フルートとセレン」であってほしいなと願います。
精霊がいる聖なる森が舞台なだけに、神秘的な風景イメージが脳内に浮かぶお話ですが、個人的に今回は、美しい風景よりも、セレンやフルートの表情や声のほうがくっきりイメージとして浮き上がってくる感じでした。
このお話の中の二人は、頼もしいですね。まだ熟年の男性が醸し出す頼もしさではないけども(そこに暖かい微笑ましさも感じる)、「この子たちならきっと大丈夫!」っていう頼もしさを強く感じます。きっと、いろんな感情と向き合って、たくさん成長したんでしょうね。

旅の途中のお話も好きだけど、こうして読んでみると、帰り道のお話もいいですね~。いろんな想像が滾ります(*´ェ`*)
いつも、素敵なお話をありがとうございます♪

のんさん、
コメントありがとうございます♪

この二人について、この距離感を気に入ってもらえるのは、作者としてホッとするし、とても嬉しいことです。
読むひとによって、「ちょっとベタつきすぎでしょ」と思われる方も、逆に、「もすこし近くてもいいのに」と思われる方も、いらっしゃるのかもしれず。
それぞれ脳内でお好みの距離に書き換えてくださいね、と思いつつ、公式(笑)は、この距離だよー、という気持ちで書いています。
これからも見守ってやってくださいませ。いつもありがとうございます!

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