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おかしな縁結び(02)

 こんな人里離れたところにある館には、さぞ世捨て人のような主が住んでいるかと思いきや、主人は若く朗らかな若者だった。旅人たちに食事をふるまうテーブルに、自ら姿を現して、彼はにこやかに歓待の意を表した。
「ようこそ、みなさん! この出会いは、きっと運命の導きです。あなた方をお迎えできて、とても嬉しい。さあ、存分に召し上がってください」
 食卓に出されているのは、黒パンとシチューだけだったが、旅人たちはめいめい礼を言って食べた。いくらもしないうちに、令嬢が、泣き出しそうな声で訴え始めた。
「どうして意地悪をなさるのですか? おなかが空いているのに、このパンの固さと来たら。とても人の食べるものとは思えません!」
 食卓に、しばし、気まずい空気が流れた。というのも、そのパンは庶民にはありふれた食べもので、そうと知っている他の3人にしてみれば、文句など言ったら失礼だと思われたからだ。
「ねえ、シチューに浸してみたらどうかしら・・・」
 フィアがおずおずと食べ方を教えようとしたとき、館の主人がパチパチと手を打った。なぜなのか、すこぶる上機嫌な様子だった。
「ふむふむ、そうでしょう、そうでしょう! では、あなたには今すぐ、柔らかなパンを持って来させましょう」
 彼が召使いに何か合図すると、召使いはいったん下がって、それから、1人分のごちそうを運んで来て、令嬢の前に置いた。令嬢の顔が明るくなった。
「ありがとう、わかってくださって。きっと本当は、お優しい方でいらっしゃるのね」
 にこにこしながら令嬢は食事を再開し、残り3人の客人は顔を見合わせた。自分たちも、文句を言えば白パンや葡萄酒にありつけるのだろうか? いや、そうかもしれないが、自分たちは黒パンを食べられるのだから、それでいいではないか。結局、3人は何も言わず、固いパンをシチューに浸して、残さず食べた。
 食事のあとは、ひとりずつ別の寝室に案内された。めいめいの部屋には、干し草にシーツをかけた即席ベッドが用意されていた。長かった1日が終わり、皆ほっとして、体を休めた。
 翌朝。
 館の主人は、朝食の席に再び姿を現して、楽しそうに旅人たちを見回した。
「ごきげんうるわしゅう、旅の方々。ゆうべは、よくお休みになれましたか」
 その視線がフィアの上で止まったので、フィアは笑顔で、よく眠れましたと答えた。主人は軽くうなずいて、次に令嬢の顔を見た。令嬢は、青ざめた顔で答えた。
「いいえ。寝床がでこぼこしていて、寝返りを打つたびにガサガサと音がして、とても眠るどころではありませんでした。とても疲れていたので、休みたかったのに。どうして、このようなひどい仕打ちをなさるのですか」
 じいやが慌てて、とりなそうと口を出した。
「お嬢さ、あいや、姪っ子は、我が家では贅沢をして羽根布団で寝ておりますゆえ。失礼を申し上げて、まこと申し訳ございませぬ。あとで、よく言ってきかせますから――」
 しかし、館の主人は、じいやの言うことなど聞いてはいなかった。
「あなたこそ、ぼくが探していたひとだ!」
 彼は令嬢のもとへと駆け寄って、その目の前にひざまずき、うやうやしく令嬢の手を押しいただいてキスをした。

あと1回あります~。

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