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こぼれ話:「気にしない」

 旅先で、フィリシア姫がパーティーに呼ばれて、フルート王子は呼ばれない、ということが、ないわけでもない。そんなときは、フィリシアのパートナーとして、セレンが付き添って行く。また、そういうパーティーに参加している人々は、えてして、フィリシアの祖国クルシュタインのことは知っていても、フルートとセレンの祖国リーデベルクのことには疎く、リーデベルクで一番の大貴族であるディア家のことも、その跡継ぎ息子のセレンのことも、よく知らないのだった。そうして、仕方のない成り行きなのかもしれないが、とりわけ長髪の男性が珍しいような地域では、彼らはわざとセレンに聞こえるように、「髪など伸ばして、いかにも軟弱だ」などと悪口を言うことがあって、フィリシアはそのたびに心を痛めていた。
 けれども、フィリシアが見たところ、神経質なところのある割に、セレンはその手の当てこすりには、まるで動じなかった。慣れているのかしら、と思いながら、フィリシアは、少し不思議に思っている。たとえば、セレンが話し上手・聞き上手を発揮すれば、その場の一同に彼の価値を認めさせることができるだろう、が、必ずしもそうしているわけでもなくて、むしろ、単にフィリシアに静かに付き添い、何も聞こえませんというふうに、澄まして微笑んでいることのほうが多いのだ。

 それで、あるとき、フィリシアは尋ねてみることにした。少し大きな館のバルコニーで、ふたり、夜空にかかった三日月を眺めながら。
「ねえ、セレンは、いやではないの? さっきも嫌味を言われていたでしょう」
「髪のことなら慣れているし、線が細く見えるのも本当のことだし」
と、フィリシアの予期したとおりにセレンは答えて、月と同じ色の髪をかきあげながら、にこ、と笑った。
「そう言う君は不服そうだね、優しいフィリシア」
「不服というか・・・悲しいし、腹が立つわ。あなたは、そう感じないの? 慣れたから?」
「ふふ、はっきり物を言うお姫さまだね」
 セレンは、くすくすと笑ったが、どうやら少し気が向いて、丁寧に答えてくれる気になったようだった。
「ええとね。子供の頃、気になって、フルートに相談したことがあるんだ」
「相談?」
「そう。髪が長いという、ただそれだけの理由であれこれ言われるのは不愉快だから、切ろうと思うのだけれど、フルートはどう思うかって」
「・・・それで切るのも、何だか癪にさわるわ」
「ふふ、そうだね。そうでなければ、ぼくも、相談などせずに切ってしまっていたかもしれないけれど。それでね、フルートが言うことには、彼はぼくの、この綺麗な長い髪がとても気に入っているのに、『友達のぼくが言うことより、悪口を言う奴らの言うことを気にするなんて、セレンはどちらが大切なんだ』と言うんだ」
「・・・」
「ね、フィリシア。君も、ぼくの髪を褒めてくれたことがあったよね」
「ええ。キラキラして、さらさらして、とても綺麗だもの!」
「うん。そうしたらね、君と一緒にいるとき、誰かがぼくの髪のことを悪く言っても、ぼくは、そいつよりも、君のことが大事だから。君が褒めてくれた髪だから、悪口なんて気にしない。わかる?」
「・・・ええ」
「そういうこと。さあ、広間に戻って、踊りませんか、お姫さま」

(完)

創作のような、 こぼれ話のような。

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コメント

この話、なんだかとっても好きですhappy01

ブログを読む時間がとれなーいと思いつつ
気が付いたら読んでます。
今年も楽しみにしておりますです。

kayokoさん、
コメントありがとうございます♪

このお話を気に入ってくださる方がいらして、嬉しいですhappy01
セレンに共感するひとも、しないひとも、いらっしゃることだろうと思いますが、
ひとつのエピソードとして楽しんでいただけたらいいな、と思っています。

最近、落ち着いて創作に取り組めていないのですが、どこかで巻き返したいものです。
本年も、どうぞよろしくお願いいたします!

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