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憩いの時間(01)

 旅に出てから、ひと月。
 田舎の小さな村や、何もない野原の中を通る日々がしばらく続いた後だったので、昨日から人通りがだんだん多くなり、今日、久しぶりに街らしい街に着いて、フィリシアはほっとした。人がたくさんいるというのは、これほどにも心強いことだったのか、と思う。
 旅の仲間たちの様子を見れば、安堵しているのはフィリシアだけではないようだった。皆どことなく表情がやわらいでいる。宿の前で、フルートとセレンは二言、三言、相談をして、フルートが振り返り、「3日くらい、この街でのんびりしようか」と言った。
 聞いた瞬間、気がゆるんで、疲労がどっと襲ってきた。フィリシアは、一も二もなく賛成した。ゼラルドもうなずいた。全員の意見が一致して、そういうことになった。

 月が満ち行く時期だから、人目を避けられる場所さえあれば、友であるミルガレーテを呼ぶことができる。そのことも、フィリシアには嬉しいことだった。妖精を統べ、<光り姫>と呼ばれるミルガレーテは、新月を過ぎてから満月までの間しか姿を現すことができず、また、宝剣を持つ者以外の人間に姿を見られてはならない。
 フィリシアは夕食のあと、いそいそと自分の部屋に引き上げて、閂をかけ、荷物の中から黄金の剣を取り出した。鞘から少しだけ刀身を引き出して、そっとささやいた。
「ミルガレーテ、聞こえる? 私ひとりだから、よかったら遊びに来ない?」
 さらさらと時の砂の流れるような感覚とともに、空気から溶け出すようにして、<光り姫>はふわりと目の前に降り立った。いつものように、金色の髪はやわらかに光を放ち、なめらかな白いおもてには、夢見るような笑みがたたえられていた。
「こんにちは、フィル。ごきげんいかが?」
「レッティ! ああ、とても会いたかったの!」
 フィリシアは親友に抱き付いた。ミルガレーテは不思議そうに、
「どうしたの?」
 言いながら、自分もフィリシアの背に腕を回した。やさしく静かに、
「フィル、元気にしている? 旅は順調?」
「ええ、元気よ。でも、ずっと会いたかった。毎日楽しいけれど、少し・・・そうね、少し、疲れたから・・・」
「フィル、泣いているの?」
「え・・・? あれ・・・? 本当・・・?」
 言われて初めて、フィリシアは、ぽろぽろと両の頬をつたう涙に気がついた。友達から体を離し、手の甲で涙をぬぐって、つぶやいた。
「きっと、レッティに会って、ほっとしたのね」
 言ったとたん、堰を切ったように、もっともっと涙があふれて来た。フィリシアは当惑した。
「どうしたのかしら、私・・・。どうしたらいいのかしら・・・」
「がまんしないで泣いて」
 ミルガレーテは、華奢な手を伸ばして、フィリシアの青い髪をなでた。
「泣きたいだけ、ぜんぶ泣いて。落ち着いたら、お話しましょうよ」
「そうね!」
 フィリシアは笑って、流れ落ちる涙をハンカチでぬぐった。

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