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憩いの時間(02)

 ふたりは並んで寝台に腰かけ、仲良く寄り添った。フィリシアの涙はすぐには止まらなかったが、その表情は明るく和んでおり、やがて、青い髪の姫君は穏やかに話し始めた。
「あのね、レッティ。わたし、元気にしているし、毎日楽しいの、本当よ。いくらか不便だし、慣れないことも多いけれど、これほど自由に過ごしたことって、今までになかったもの。・・・ただ、少し、なんというのかしら。レッティに会えないときは、まわりがみな男の子だから、ちょっぴり居づらいと思うこともあって・・・、着替えたいときとか、お手洗いに行きたいときとか・・・、たぶん、そのせいで気が張りつめていたのだと思うの。自分でもよく分かっていなかったけれど、レッティの顔を見たら、とても、とても、安心したの。それだけのことなの。心配しないで、ね」
「そうだったのね」
 ミルガレーテは優しく言ってから、興味深げに付け加えた。
「ねえ、フィル。私、フルートとも、ゼラルドとも、それほどたくさんお話したことはないのよ。レティカの宝剣に選ばれたのだから、良い人たちだと信じているし、いざというとき頼りにもしているけれど、あなたから見たら、どういう人たち?」
「フルートはね、思い切りのいいひと!」
と、フィリシアは即答した。
「あのひとほど何事においても決断の早いひとを、ほかに見たことがないわ。ときどき乱暴なこともあるけれど・・・でも、改めるべきことは、折り目正しく改めてくれる。あと、華のあるひとだから、どこに行っても人気者で。私、あのひとのこと、すごいと思う」
「そうなのね。ゼラルドは?」
「ゼラルドは、いつも冷たい感じに見えるけれど、たぶん、本当は優しいひと。静かで、セレンと話すときだけ、少し口数が増えて、皮肉めいたことをよく言うの・・・そうそう、セレンと言えば、レッティは知っている? セレンも宝剣を持っているのよ」
「え? いいえ、誰からも聞いたことがないわ」
「鞘から抜くことができないのですって」
「では、正しい持ち主ではないわ。剣に選ばれていないのよ」
「でも、子供のときから持っているのですって。ねえ、この旅に集まった私たちが、それぞれに古代レティカの宝剣を持っているのは、天に導かれた縁があるのだと思わない? だから、セレンもきっと同じ運命の糸につながっているのだと、私にはそう思えるの」
「本当ね」
と、ミルガレーテは認めた。ぼんやりと考え込むようにして、
「そもそも、適切な持ち主であると剣が認めなければ、そう簡単に人に見つかるような剣ではないわ。しかも、それだけ長いこと手元にとどまっているのなら、そうね、きっと何か、縁があるのね・・・」
「それでも、レッティのことを隠しておかなければいけないかしら?」
「ええ、本当に選ばれているのかわからないひとに、姿を見られるわけにはいかないから」
「そう・・・残念ね」
 フィリシアは、少しがっかりして、しょぼんとなった。
「みんなで会っておしゃべりできたら、きっと楽しいのに」
「そうね、私も、隠れないでフィルと一緒にいたい・・・」
「せめて、こうして二人きりになれる場所では、たくさん話しましょうね!」
 ふたりの姫君は、そのあと、あれこれ話し、よく笑って、心休まるひとときを過ごした。

 部屋の扉の前を通った仲間たちは、姫君たちがおしゃべりに興じている笑い声を聞いて、微笑ましく思い、心和んだ。もちろん、「男の子」たちのほうにしても、日ごろ、紅一点の姫君に対して、「ともに旅する姫君の扱いは、これで良いのだろうか」と戸惑うことも多かったのだ。
 セレンひとりが、「フィリシアは誰と話しているのだろう?」と不思議そうにしていたが、彼は彼で、疲れていて早く休みたかったので、それ以上追求することはなかった。

 夜空には細い月がくっきりと浮かんでおり、風はやわらかで、春の匂いがしていた。

(完)

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