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2016年2月

宝物:ムーンサークルさんのフィリシア姫

ムーンサークルさんからも、フィリシア姫の絵をいただきました!

こちらです!

Photo
わああ、なんと麗しい…!lovely

原画はハガキサイズで、お花の黄色いところは金色でキラキラしています。

ムーンサークルさん、ありがとうございます!

表紙ができたよ!「お姫様と猫・三つの果実」

お仕事が忙しいです…。
年度末が近づいてるし、きっと、忙しいのは私だけじゃないよね…。

さあ、そしたら、みんなで、この絵を見て癒されましょう。
なぎさんから頂いた絵。電子書籍「お姫様と猫・三つの果実」の表紙ができたよ!
どん!(クリックで拡大表示)

お姫様と猫眺めていると、気持ちがほぐれて、楽になります。
ありがとう、ありがとう、なぎさん…!

カップリングされている「三つの果実」についても、絵をいただきました。
こちらは電子書籍には未収録です。どん!

三つの果実
しゃくとりむしさん達のクオリティがやたらと高いのも、なぎさんらしいですshine
あ、 「お姫様と猫」や「三つの果実」がどんなお話だったか思い出せない方は、電子書籍を試してみてくださいね → こちら。無料です。

そしてね、なんとなんと、動くフィリシアも作っていただいちゃったの!
動いてる。笑ってる。かわいいheart

Photo

まだあるよ!
ゼラルドLOVEな読者様は、なぎさんのブログへ行ったら、いいもの見られるよ。猫耳フードをかぶってるのと、かぶってないのと。→ こちら
(猫耳付いてないほうの絵、栞にしたい…。)

というわけで、今回は、あれこれ山盛りの宝物をいただきました。
なぎさん、本当にありがとうございました。
おかげさまで、私、明日もがんばれます。

作者より:「憩いの時間」

ある意味、言葉で説明しちゃってる、ずるいお話。
フィリシアの口を借りなくても、フルートやゼラルドの人となりは、物語で説明しようよ!

…と、思われる危険性もありますが、でも、「フィリシアの視線」を書いてみたくて。
読者の皆様に見えている人物像と、フィリシアの目に映っている人物像は違っていて良いのですから、フィリシアの言葉に縛られないでくださいねwink

次回の記事は、「表紙ができたよ」の記事です。
「お姫様と猫」の表紙に、なぎさんの絵を使わせていただきました。
表紙絵の他に、おまけでいただいた絵もご紹介しますので、お楽しみに~☆

憩いの時間(02)

 ふたりは並んで寝台に腰かけ、仲良く寄り添った。フィリシアの涙はすぐには止まらなかったが、その表情は明るく和んでおり、やがて、青い髪の姫君は穏やかに話し始めた。
「あのね、レッティ。わたし、元気にしているし、毎日楽しいの、本当よ。いくらか不便だし、慣れないことも多いけれど、これほど自由に過ごしたことって、今までになかったもの。・・・ただ、少し、なんというのかしら。レッティに会えないときは、まわりがみな男の子だから、ちょっぴり居づらいと思うこともあって・・・、着替えたいときとか、お手洗いに行きたいときとか・・・、たぶん、そのせいで気が張りつめていたのだと思うの。自分でもよく分かっていなかったけれど、レッティの顔を見たら、とても、とても、安心したの。それだけのことなの。心配しないで、ね」
「そうだったのね」
 ミルガレーテは優しく言ってから、興味深げに付け加えた。
「ねえ、フィル。私、フルートとも、ゼラルドとも、それほどたくさんお話したことはないのよ。レティカの宝剣に選ばれたのだから、良い人たちだと信じているし、いざというとき頼りにもしているけれど、あなたから見たら、どういう人たち?」
「フルートはね、思い切りのいいひと!」
と、フィリシアは即答した。
「あのひとほど何事においても決断の早いひとを、ほかに見たことがないわ。ときどき乱暴なこともあるけれど・・・でも、改めるべきことは、折り目正しく改めてくれる。あと、華のあるひとだから、どこに行っても人気者で。私、あのひとのこと、すごいと思う」
「そうなのね。ゼラルドは?」
「ゼラルドは、いつも冷たい感じに見えるけれど、たぶん、本当は優しいひと。静かで、セレンと話すときだけ、少し口数が増えて、皮肉めいたことをよく言うの・・・そうそう、セレンと言えば、レッティは知っている? セレンも宝剣を持っているのよ」
「え? いいえ、誰からも聞いたことがないわ」
「鞘から抜くことができないのですって」
「では、正しい持ち主ではないわ。剣に選ばれていないのよ」
「でも、子供のときから持っているのですって。ねえ、この旅に集まった私たちが、それぞれに古代レティカの宝剣を持っているのは、天に導かれた縁があるのだと思わない? だから、セレンもきっと同じ運命の糸につながっているのだと、私にはそう思えるの」
「本当ね」
と、ミルガレーテは認めた。ぼんやりと考え込むようにして、
「そもそも、適切な持ち主であると剣が認めなければ、そう簡単に人に見つかるような剣ではないわ。しかも、それだけ長いこと手元にとどまっているのなら、そうね、きっと何か、縁があるのね・・・」
「それでも、レッティのことを隠しておかなければいけないかしら?」
「ええ、本当に選ばれているのかわからないひとに、姿を見られるわけにはいかないから」
「そう・・・残念ね」
 フィリシアは、少しがっかりして、しょぼんとなった。
「みんなで会っておしゃべりできたら、きっと楽しいのに」
「そうね、私も、隠れないでフィルと一緒にいたい・・・」
「せめて、こうして二人きりになれる場所では、たくさん話しましょうね!」
 ふたりの姫君は、そのあと、あれこれ話し、よく笑って、心休まるひとときを過ごした。

 部屋の扉の前を通った仲間たちは、姫君たちがおしゃべりに興じている笑い声を聞いて、微笑ましく思い、心和んだ。もちろん、「男の子」たちのほうにしても、日ごろ、紅一点の姫君に対して、「ともに旅する姫君の扱いは、これで良いのだろうか」と戸惑うことも多かったのだ。
 セレンひとりが、「フィリシアは誰と話しているのだろう?」と不思議そうにしていたが、彼は彼で、疲れていて早く休みたかったので、それ以上追求することはなかった。

 夜空には細い月がくっきりと浮かんでおり、風はやわらかで、春の匂いがしていた。

(完)

憩いの時間(01)

 旅に出てから、ひと月。
 田舎の小さな村や、何もない野原の中を通る日々がしばらく続いた後だったので、昨日から人通りがだんだん多くなり、今日、久しぶりに街らしい街に着いて、フィリシアはほっとした。人がたくさんいるというのは、これほどにも心強いことだったのか、と思う。
 旅の仲間たちの様子を見れば、安堵しているのはフィリシアだけではないようだった。皆どことなく表情がやわらいでいる。宿の前で、フルートとセレンは二言、三言、相談をして、フルートが振り返り、「3日くらい、この街でのんびりしようか」と言った。
 聞いた瞬間、気がゆるんで、疲労がどっと襲ってきた。フィリシアは、一も二もなく賛成した。ゼラルドもうなずいた。全員の意見が一致して、そういうことになった。

 月が満ち行く時期だから、人目を避けられる場所さえあれば、友であるミルガレーテを呼ぶことができる。そのことも、フィリシアには嬉しいことだった。妖精を統べ、<光り姫>と呼ばれるミルガレーテは、新月を過ぎてから満月までの間しか姿を現すことができず、また、宝剣を持つ者以外の人間に姿を見られてはならない。
 フィリシアは夕食のあと、いそいそと自分の部屋に引き上げて、閂をかけ、荷物の中から黄金の剣を取り出した。鞘から少しだけ刀身を引き出して、そっとささやいた。
「ミルガレーテ、聞こえる? 私ひとりだから、よかったら遊びに来ない?」
 さらさらと時の砂の流れるような感覚とともに、空気から溶け出すようにして、<光り姫>はふわりと目の前に降り立った。いつものように、金色の髪はやわらかに光を放ち、なめらかな白いおもてには、夢見るような笑みがたたえられていた。
「こんにちは、フィル。ごきげんいかが?」
「レッティ! ああ、とても会いたかったの!」
 フィリシアは親友に抱き付いた。ミルガレーテは不思議そうに、
「どうしたの?」
 言いながら、自分もフィリシアの背に腕を回した。やさしく静かに、
「フィル、元気にしている? 旅は順調?」
「ええ、元気よ。でも、ずっと会いたかった。毎日楽しいけれど、少し・・・そうね、少し、疲れたから・・・」
「フィル、泣いているの?」
「え・・・? あれ・・・? 本当・・・?」
 言われて初めて、フィリシアは、ぽろぽろと両の頬をつたう涙に気がついた。友達から体を離し、手の甲で涙をぬぐって、つぶやいた。
「きっと、レッティに会って、ほっとしたのね」
 言ったとたん、堰を切ったように、もっともっと涙があふれて来た。フィリシアは当惑した。
「どうしたのかしら、私・・・。どうしたらいいのかしら・・・」
「がまんしないで泣いて」
 ミルガレーテは、華奢な手を伸ばして、フィリシアの青い髪をなでた。
「泣きたいだけ、ぜんぶ泣いて。落ち着いたら、お話しましょうよ」
「そうね!」
 フィリシアは笑って、流れ落ちる涙をハンカチでぬぐった。

予告:「憩いの時間」

お待たせしました。予告です♪

久しぶりに、フィリシアとミルガレーテ、二人のお姫様のひとときをテーマにします。
タイトルは、「姫君たちの憩いの時間」にしようかと思いましたが、それだと少し長いので、「憩いの時間」としてみることに。

まだまだ旅は序盤の頃のお話。ほっと一息、それだけの短いエピソードです。
全2回になると思います。
どうぞよろしくお願いします。

ひとやすみ:なぎさんの絵と、キルフェボンのタルト

いつも優しい絵を描いてくださる、なぎさんが、ご自身のブログで「お姫様と猫」の絵を描いてくださいました。こちらです→ ここをクリック

そして、ご厚意により、この絵を電子書籍の表紙に使わせていただけることになりました。
ありがとうございます!lovely

「お姫様と猫」は、「三つの果実」とカップリングして電子書籍化しましたが、表紙をつけるなら優しい雰囲気に、と思っていたので、願いが叶って嬉しいです。
できあがったら、またお知らせしますねheart04

---

今日は日中、出かけていましたが、キルフェボンという、タルトで有名なお店に行って、テイクアウトのタルトを買って帰りました。カフェスペースもあるのですが、日曜日の午後3時頃だったので、待ち時間が150分もあって。どうやら、先に予約だけして整理券をもらってから他所に行けば良かったらしいです。

で、テイクアウトしたタルト。たしかに美味しかった!
私の買ったのは、ベリーとチョコプリンのタルト。
下手な写真で申し訳ありませんが、こんなふうでした。ぺろっと食べちゃった。

20160214
次回のブログ更新では、次のお話の予告を出すつもりです。
ちょっとずつ書いてます。短いお話です。上手にまとめられますように。

お姫様と猫(トーナメント参加用)

 大きくて賑やかな街の外れにある、小さくて静かな宿で、フィリシア姫はぼんやりと目覚めた。あまり体調がよくない。まだ眠いし、出かけることを考えると憂鬱だ。
 目覚める場所が城の自室でないことには、もうだいぶ慣れた。旅の毎日も、わくわくして楽しい。でも、弱っている日には、少しだけ城が恋しくなる。こんな日は、自分の部屋で、静かに丸まっていたい・・・。
 それでも、彼女は心を奮い立たせて、起きて、部屋の窓を開けた。すがすがしい朝の陽射しを浴びると、ほのかに気持ちが明るくなった。できるだけ頑張ろう。ただ、旅の仲間たちには、今日はあまり移動しないように、お願いしてみよう。
 波打つ青い髪を丁寧に梳き、いつもよりゆっくりと身支度をして、ドアを開けて部屋の外に出てみると、廊下には、月色の髪をした若者が立っていた。フィリシアを見て、セレンは、にこ、と笑った。
「おはよう、お姫様」
「おはようございます、セレン。もしかして、私を待っていらしたの?」
「そう。確かめようと思って。君は今日、本当は出かけたくないよね?」
「えっ」
 フィリシアはびっくりした。それから、ためらいがちに、うなずいた。
「ええ・・・その・・・そうなの。・・・どうして?」
「昨日から調子が悪そうだったから。女性との付き合いが多いせいで、なんとなく分かるんだ、そういうの。いやだったら、ごめんね」
 やさしい口調で、さらっと言われた。こんなふうなら、別に、いやではない。フィリシアがそう言って礼を述べると、セレンはほっとしたようだった。
「よかった。そうしたら、無頓着な王子様たちには、ぼくから話しておくよ。ゆっくり休んで。食事、いま持って来てあげる。そんな顔しないで、大丈夫だよ」
 ふんわり笑ってくれたセレンの言葉に甘え、フィリシアは部屋に引きこもることにした。
 運んでもらった食事は、ゆっくり食べた。あまり食欲はないけれど、食べておいたほうがいいだろう。パンと、ミルクと、シチューと、サラダ。ふと視線を感じて窓のほうを見ると、ひらいた窓のところに、きれいな白い猫がいて、金色の瞳でこちらを見ていた。
 フィリシアは、小さな声で「にゃおん」と呼びかけた。白い猫はフィリシアを見つめながら、可愛らしい声で「にゃおん」と返事をした。フィリシアは思わず微笑んだ。
「猫ちゃん、ミルク飲む?」
 コップに入っていたミルクを皿にあけて床に置き、顔を上げると、猫は窓枠からこちらを見たまま、「にゃあ」と言って、動かない。
「何か気に入らない? ごめんなさい、私、猫の言葉は話せないのよ」
 フィリシアが言うと、白い猫は、可愛らしい声で、
「あら、そうなの?」
と言った。窓枠から、しなやかに飛び降りて、ミルクの皿の前まで歩いて来た。
「それじゃ、私が人の言葉で話すわね。特別よ。ミルクはいただくわ。ありがと」
 おいしそうにミルクを飲む白い猫を、フィリシアはしげしげと眺めた。猫が流暢に人の言葉をしゃべったような気がしたが、夢でも見ているのだろうか。
 白い猫は、ミルクの皿を空にすると、満足そうに目を細めてグルグルと喉を鳴らした。フィリシアは、おそるおそる聞いた。
「どうして、人の言葉が喋れるの?」
「そりゃあ、人と一緒に長いこと暮らしているもの」
と、猫は何でもないことのように、
「あなただって、猫と一緒に長いこと暮らしたら、猫の言葉が話せるようになるわ。それと同じことよ」
 そうかしら?とフィリシアは考えてみたが、よくわからなかった。それで、
「人の言葉を話す猫に会ったのは、あなたが初めてよ」
と言ってみた。白い猫は前足を舐めながら、
「みんな、話せないふりをしているのよ。そのほうが、何かと都合がいいから」
「あなたが私と話してくれるのは、どうして?」
「ちゃんと猫の言葉で、こんにちは、って言ってくれたから。ミルクも分けてくれたし。あなたのような人を探していたの。実は――」
 言いかけて、猫は口を閉ざし、扉のほうを見た。トントンと控えめなノックの音がした。
「・・・フィリシア?」
 静かな声は、ゼラルドのものだ。フィリシアは、重い体を引きずって、ドアを開けた。
「休んでいるところを、すまない。妹が障りのときに飲んでいた薬があったから、渡しておく。少し眠くなるが、楽になるだろうと思う」
 黒髪の若者が、薬を一包みくれて立ち去ったあと、猫はフィリシアを見上げた。
「あなた、具合が悪いのね。そういえば、顔色が悪いわ。気付かなくて、ごめんなさい」
「大丈夫よ。何を言いかけていたの」
「その前に、薬、お飲みなさいな」
 猫の声が優しかったので、フィリシアは水差しの水で粉薬を飲んだ。猫は話を続けた。
「今日、何匹かの猫が、あなたを訪ねてやって来るわ。あなたが寝ていたら、起きるまで待つわ。あなたは、私に話しかけたのと同じように、一言、話しかけてあげてほしいの」
「同じように?・・・にゃおん。って?」
「そう! すばらしいわ。きっとよ。お願いね」
 白い猫は、嬉しそうに念を押し、ひらりと窓枠を跳び越えて、行ってしまった。フィリシアは、薬が効いて眠くなったので、ベッドに横になり、丸くなって、うとうとと眠った。
 ときどき目を覚ますと、部屋の中に猫がいて、床に座ってフィリシアを見ていた。猫は、黄色かったり、黒かったり、ぶちだったり、縞模様だったりしたが、そのたび、フィリシアは「にゃおん」と声をかけた。猫はみな、「にゃおん」と返事をしてから、はっとしたようにピンと耳を立てて、ひらりと窓枠を跳び越え、外に出て行くのだった。
 夕方頃、フィリシアが目覚めると、部屋には、あの白い猫がいて、金色の瞳でフィリシアを見つめていた。フィリシアが体を起こすと、猫なりに姿勢を正して、可愛らしい声で、
「どうもありがとう。必要なことは、全部済んだわ」
と言った。
「そうなの? お役に立てたなら良いのだけれど」
「すごく役に立ったわよ! それでね、きっと明日、あなたに来客があるわ。その人は何か私の話をするかもしれない。でも、私が人の言葉を喋れることは、内緒にしておいてね」
「わかったわ」
 フィリシアが頷くと、白い猫は笑って、窓枠を跳び越えて去って行った。
 翌朝。
 前日より体が楽になったので、食堂の朝食を食べに行くと、陽光色の髪をした王子がいた。
「フィリシア。もう、その、大丈夫なのか? すまない、ぼくは、まったく気づかなくて」
 ぎこちなく言われると、こちらも気まずいのに、と思いながら、
「ありがとう、フルート。昨日よりだいぶ良いのだけれど、もし叶うなら、もう少し――」
「もちろん! 体調が良くなるまで、ゆっくり休んでくれ」
 食事のあと、姫君が部屋に引っ込むと、じきに、セレンが呼びに来た。
「ごめんね、フィリシア。君を訪ねて、来客があるんだ。出られそう?」
「どのような方?」
「身分の高そうな美人が、宿泊中の『青い髪の姫君』に会いたい、と。心当たりはある?」
「少しだけ。着替えて行きます。お客さまに、お待ちいただいてください」
 フィリシアは、荷物の中から、おとなしい藍色のドレスを取り出して着替えた。宿の外に出て行くと、見るからに高貴な女性と、数人の従者がいて、皆が「おお」とどよめいた。
 フィリシアは、その人々に面識がなかったので、「はじめまして」と挨拶をした。高貴な女性、おそらくは異国の姫君も、挨拶を返した。
「はじめまして。でも、本当は、お会いするのは初めてではありません」
 異国の姫君は微笑んで、続けた。
「私たちは、ひと月ばかり前に、南の国から旅をして、この街を通りかかりました。街の入口で、白い猫に会い、従者が棒で追い払いました。祖国では、猫は災厄を招くと言われていたので・・・。猫は、何かニャーニャーと遠くから鳴きたててから去って行きました。気が付くと、私たちは、自身が猫の姿になっていました。
 魔法を解くには、人間から、猫の言葉で『こんにちは』を言ってもらうことが必要でした。私たちにはそれが分かりましたが、人間の言葉を忘れ果て、誰にも伝えることができません。そうこうするうち、元は人であったことさえ、夢と思われるようになりました。
 そうしたら、きのう、あの白い猫が現れて、この宿に泊まっている青い髪の姫君を訪ねるようにと言うのです。私たちは、あなたの部屋を訪ね、あなたから猫の言葉で『こんにちは』をいただいて、自分たちが人であったことをはっきり思い出しました。
 おかげさまで、今朝の日の出とともに、みなが人間に戻ることができました。1人も欠けてはおりません。みな、あなたのおかげです。どうもありがとうございました」
 姫君と従者たちは、フィリシアに向かって、深々と頭を下げた。そして、ひと月の空白を取り戻すべく、急いで旅立っていった。

 数日後、フィリシア姫も、仲間たちとともに街を発った。
 街の門を出て、ふと振り返ると、門のところに白い猫が座っていた。フィリシアを見ると、ゆっくりまばたきして、「にゃあ」と鳴いた。
 フィリシアも、ゆっくりまばたきして、「にゃあ」と言った。フルートが驚いたようにフィリシアの視線を追い、フィリシアと猫を見比べながら、「知り合いか?」と真顔で言った。
「そうよ、知り合いなの」
 フィリシアが言ったのが聞こえたのだろうか、白い猫は笑ったようだった。
 そして、猫は、満足そうに、街の中へと戻って行った。

(完)

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第13回 自作小説ブログトーナメントに参加中です。約3,750字。
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進捗状況報告(2016/02/07)

2月の自作小説トーナメントが始まったので、「お姫様と猫」か、「一角獣の角」の、どちらを出品しようか考えています。
それを出品したあと、次のお話の予告を出したいと思います。

どうやら次に書くお話は、フィリシアとミルガレーテがおしゃべりする話になりそう。
まだ旅の序盤のエピソードです。
最近、そろそろ行程表をまとめないと各話の前後関係が把握しきれなくなるのでは、と思い、まとめてみたところ、序盤のお話が少ないとわかったので、ちょうどよいです。

また、お話を発生順に並べてみた結果、若干数、「これはここに入るお話かな? それとも、こっちかな?」と、作者にも定かでないエピソードがありましたが、おおむねはスムーズに並べることができました。
需要があるかもしれないので、そのうちに記事にしてみようかなあ、と思います。

進捗状況報告(2016/02/03)

会社が忙しくて…。
自分がもうひとり欲しい…。

何かこう、パッと華やかな冒険譚を書けたら、気持ちいいだろうなと思いつつ。
そういうのを書けるエネルギーが、現在、全くありません。
静かに語らうようなのだったら、なんとか書けるかも。
組み合わせは、えーとね…。

と、いうわけで。次のお話は、
フィリシアとミルガレーテのお話、「姫君たちの憩い」か、
フィリシアとセレンのお話、「やさしい雨」の、
いずれかになる可能性が高いです。
どちらになっても、会話がメインのお話になると思います。

あ、その前に、今月の自作小説トーナメントが来るのか。
何を出品しようかな。

作者より:「おかしな縁結び」

また、へんてこなお話を書いてしまいました。
こういうお話をどれくらい楽しんでいただけるのか、よくわかりません…coldsweats01
「エンドウ豆の上のお姫様」という有名な童話があって、その変形と言えなくもないです。

フルートは王子様モードのときも率直だけど、「ルーク」のときは容赦ないな、と思います。
ここから読み始めた人がいたら、ルークの正体が王子様だとは信じられないかも?
ともあれ、思いがけず結んだ縁について、ルークとフィアが後からどんな感想を語りあったか、よろしければ想像してみてください。

「お嬢様」には名前が欲しかったな、と、書き終わってから思いました。
折を見て、名前を書き加えてあげようと思います。
お嬢様、私に名前を教えてね。

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