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聖者の護符(04)

 ルークも護符を見た。護符は月明かりを受けて銀色に輝いていたが、亡者が触れたせいなのだろう、最下部が欠けてしまっていた。
「哀れな末期だ」
「ルーク・・・気づいていたのか」
 ゼラルドが目を上げる。金髪の若者は、答えるともなく、
「護符の話を聞いたときに思った。魍魎の行き交う荒野で、行き倒れた旅人を守ったのは、もとより所持していた護符の力ではないのか。その護符を手放したあと、旅人は無事に目的地に辿りつけたのか、と」
「・・・」
 ふたりの若者は黙り込む。彼らはおそらく、すでにその答を知っている。
 かの聖者は思ったのだろう。「あのとき譲り渡してしまった護符が、この手にあったならば」と。その念が、亡骸を荒野へと帰らせたのだ。
「・・・あの亡者は、この地に古くから住む悪しきものに、取り込まれてしまっていた」
 言いながら、ゼラルドは月の女神の印を切った。
「いまは自由だ。安らかに眠れ」
 ルークも、片手を胸にあてて、短く祈った。安らかに眠れ。

 若者たちが宿に戻ると、窓から一部始終を見ていた主人が、驚きとねぎらいの声をかけてくれた。一方で、話し声は全く聞こえなかったらしく、「聖者様の護符が、化け物の親玉を滅ぼしてくれた」と、欠けた護符に感謝を捧げているようだった。
「しかし、お客さんたちが化け物を返り討ちにするとはねえ! あの気味の悪いものたちは、もう戻って来ないかね?」
「あれらは戻らないが、また別の異形が寄り付かないとも限らない。護符は、明るくなってから、ぼくが直そう」
 そう言ったゼラルドは、翌日、出発前に、約束どおり護符を直した。欠けた部分を補うために、自分の腕輪をひとつ外して繋ぎ合わせ、小さな声で何か唱えながらあれこれ試した末に、ようやく納得できる形になったらしく、元通りに軒先に吊るして下げた。
「正確には再現できなかったが、欠けているよりは良いだろう」
「おお、ありがとう。前と同じに見えるよ。十分だ」
 みなで外に出て、馬の準備をしながら、風になびく青い髪を押さえたフィアが、口にした。
「今日はあたたかくて、風がやわらかい・・・」
「ああ」
 同意したルークが、ふと気づくと、黒髪の若者は、ゆうべ骸骨が灰と化したあたりを見つめていた。まるで、そこに誰かが立っているかのようだった。ルークの視線に気づいて、ゼラルドは振り返った。
「この土地は、新しい加護を得た」
 それだけ言って、彼は馬の準備に戻った。
「そうか」
とだけ、ルークも応じた。宿の主人が見送りに出て来たので、にこっと笑って声をかけた。
「じゃあな、おやっさん。元気で」
「お客さんたちも、元気で」
 ほどなく、旅の一行は出発した。
 宿の主人が立って見送る傍らでは、新しく銀を接がれた護符が、陽光を受け、きらきらと光っている。

(完)

大変お待たせしました!

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コメント

月路さん今日は(^^)/
執筆お疲れ様でした…

三話目以降は
どういうクロージングになるのか
まさか店主が山賊?
でも真実を見抜くルークが
疑わしそうな素振りしておらず…

偽聖者パターンとか
ダークサイド落ちの聖者とか
色々展開を妄想していました…

件の聖者は
FFなら算術士や薬師的な立ち位置の
どちらかというと学者肌の一芸系の聖者で
万能型のゼルとは対照的ですかね

取り込まれた状態で自滅したという事は
結果的に聖者は魔物の親玉を自らの護符で
倒した事になるのかな…
なかなか感慨深い結末でしたね。

ワクワクと楽しく拝読致しました。
ではまた(^o^)/

とり3さん、
コメントありがとうございます♪

や、とり3さんの妄想のほうが、私の書くものより面白そうです!
でも、あれこれ妄想していただけたこと自体が、とても嬉しいです!

聖者が宿に置いて行った護符は、聖者自身が渾身の一品を作ったのかもしれず、
あるいは誰か細工師のような人から旅の餞別にもらった物かもしれず、
はたまた誰か相棒のような人と自身が限界に挑戦した合作であったかもしれません。
いずれにしても、そうですね、魔物の親玉を倒したことにはなると思っています。

ゼラルドをごひいきにしてくださる方に、わくわく楽しんでいただけたなら何よりです♪
書いて良かった。ありがとうございますhappy01

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