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幻術の塔(01)

 夕暮れどき、旅の一行が宿にたどりついて扉を押し開けると、若い娘が叫ぶように言い募っているところに出くわした。
「父さんも母さんも、あたしがどれだけベリンダに助けてもらったか、よく知ってるじゃないの! ベリンダが診てくれなかったら、あたしの命なんて、とっくに無かったんだから」
 両親と思しき夫婦は、帳場の中にいるところを見れば宿の主人なのだろうが、客が入って来たことに気づいているのかいないのか、二人ともおろおろしており、母親のほうが娘を説得にかかっている。
「そうだけどね、スウ、おまえ、せっかく助かった命なのに。自ら進んで生贄になったら、元も子もないじゃないか。ベリンダだって、そんなことのためにおまえを助けたわけではないと、言ってくれるに違いないよ。ベリンダのことは気の毒だけど、これは公平なクジ引きだ。仕方のないことなんだ」
「仕方なくなんて、ない! ベリンダはこれから、立派なお医者さんになるんだよ。これからもたくさんの人を助けてくれるんだよ。あたしがもらった命は、今こそ役に立てなくちゃ。きっとそのために助かった命なんだから!」
 叫ぶ娘も、両親も、今にも泣き出しそうな顔をしている。
 割って入ったのは、ルークだった。彼にしては遠慮がちに、とはいえ、はっきり大きな声で、
「邪魔をして悪いけど、一晩泊めてもらえないか」
 宿屋の親子は、はっとしたように旅人たちを振り返った。
「あらまあ、お客さんたち! はいはい、ただいまご案内します。ええと、4名様ですね」
と、母親が応じた。目をごしごしとこすって、あいまいな笑顔を作り、夫と娘に指示をした。
「ほら、あんた、お客さんの荷物をお持ちして。スウは、ちょっと台所に行ってなさい」
 旅人たちは馬を預け、食事は外で食べるからと、すぐに外出した。酒場の端のテーブルで飲み食いしながら、それとなく情報を集めると、どうやら町は「今年のいけにえ」のことで持ち切りで、多くの人々が嘆き悲しんでいるのだった。
「町の東の外れに、年老いた魔法使いの住む塔があるそうだ」
と、しばらく席を離れていたルークが、戻ってきて言った。人懐こい金髪の若者に、町の人々はいろいろと話してくれたようだ。
「来るときは、暗くて見えなかったが。その塔は、年に一度だけ入口が開いて、いけにえの娘を要求する。応じなければ、町全体に災いが降りかかる。今年のいけにえは、医者の娘のベリンダで、まさに明日、塔に入らなければならないのだそうだ」
 話を聞きながら、ゼラルドが、なにげない様子でテーブルに聖札を3段ほど並べ、何枚かめくり、何事もなかったかのように片付ける。
「何かわかるのか、ゼラルド」
 ルークに問われて、黒髪の若者はちらりと目を上げ、静かに言った。
「塔などない。まやかしだ。だが、あると信じれば登れるし、てっぺんから落ちれば死ぬ」

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