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幻術の塔(02)

「えっ」
と言ったのはセレンで、
「それはつまり、塔が見える者と見えない者がいるということ?」
「この町に住む者には全員に見えるだろう」
と、ゼラルド。ルークも尋ねて、
「塔など無いと信じさせれば、因習から解放できるのか?」
「通りすがりの旅人が何を言っても無駄なことだ」
 返答はそっけない。最後に青い髪の乙女が、
「では、どうすれば、まやかしは消えるの?」
と尋ねると、黒髪の若者は淡々と、
「まやかしの鍵となる道具があるはずだ。おそらく、塔の」
「てっぺんに?」
 フィアが言ってみると、ゼラルドは、黒い瞳にいくらか興味の色を浮かべた。
「そう、てっぺんに。勘が良いね」
「以前、似たようなことがあったから。そのときは、塔を登り切ったところに本がひらいてあって、それを閉じたら、塔が崩れて・・・」
「ありそうな話だ」
「ねえ、ゼラルド。あなたなら」
 フィアは、控えめに、だが期待を込めて、尋ねた。
「もしかして・・・もしかして・・・そのまやかしの鍵となるものを、外から壊すこともできるのではないの?」
「残念だが、否だ」
 ゼラルドは、あっさり答えた。補うように言葉を足した。
「この町の塔は、魔法の産物だ。魔法は、聖者のことわりとは異なる法則で動く。塔の内側に対して、ぼくは何の手出しをすることもできない」
「そうなの・・・」
 青い髪の乙女は、悲しそうな顔をした。一行は、しばしの間、どのようにしたら塔の呪縛を解くことができるかについて考えたが、良い案は思い浮かばなかった。
 翌朝。旅のしたくをして宿から出た旅人たちは、町はずれのほうを見て、めいめいが、思い思いのことを口にすることになった。
「あの塔が、まやかし? 本当に?」と、疑い深い口調でセレンが言って、
「まがまがしい塔・・・」と、フィアが身震いする。
「ぼくには見えない」と、ゼラルドが静かに言い、
「ぼくにも見えない。あると信じれば見えるのか? ・・・ああ、見えた。なるほど」と、ルークが独り言のように言う。
 ゼラルドが、驚いたようにルークを振り返った。
「見たり見なかったりを切り替えられるのか」
「ああ。そういうものなのだろう?」
「いや、違う。・・・君らしい」
「みんな、見て! 向こうに走っていくのは、スウじゃない?」
と、フィアが言った。ゆうべ見かけた、スウと呼ばれていた娘の、決然とした後ろ姿が遠ざかっていく。
「止めなくちゃ。スウのことも、ベリンダという人のことも。誰も、あんな塔に入ってはいけないわ!」
 そう言いながら、青い髪の乙女は、自分も走り出していた。

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