2017年12月
          1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31            

ひとこと通信欄

  • (2017/12/11朝)また休日出勤などあったので、本編進んでおりません…。ふえーん…。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 幻術の塔(02) | トップページ | 幻術の塔(04) »

幻術の塔(03)

 町はずれにある塔は、塔が見える者の目に映るところでは、でこぼこした黒っぽい岩で組みあがっており、外壁のところどころに、煤のように見える不思議な植物がからまっていた。その植物がもやもやと茂って揺れているせいで、まるで塔のあちこちから黒い瘴気が立ち上っているように見えるのだった。
 塔の周りには、人が誤って近づかぬよう、ぐるりと柵がめぐらしてあった。柵につけられた扉には、大きな鉄の錠がしっかりと嵌まっていたが、スウが錠前に鍵を挿してガチャガチャやっているところへ、フィアが追いついた。フィアは、スウの手を押さえて、息を切らせながら、必死に止めた。
「待って! 中に入っては、だめ!」
「放して! ・・・あなた、誰? ・・・ゆうべ、うちに泊まったお客さん?」
 スウは、こちらも息を切らせながら抗ったが、相手に気づくと動きをゆるめ、けげんそうな顔をした。
「どうして止めるの? お客さんには関係のないことでしょう」
「・・・人がいないのは、どうして?」
 フィアは、このぶんならスウを止められるのではないかと、加勢を求めて辺りを見回したが、誰もいなかったので、思わず尋ねた。スウは、素直に答えた。
「儀式はできるだけ遅い時間にしようって、みんなで決めたからよ。今年いけにえに選ばれたベリンダの家は、町の向こう側。今頃、町の人たちはベリンダの家に集まって嘆いているわ。だから、今のうちに私が塔に入ってしまえばいいの。塔の入口は、女ひとりなら誰をでも呑み込んでしまうんだから。塔の鐘が鳴れば、みんなも気づく。今年のいけにえは、もう済んだんだって」
「鐘・・・」
「いけにえは、塔のてっぺんまで登って、鐘を鳴らすのよ。そのあと何が起こるのかは、誰も知らない。でも、誰も行かなければ、恐ろしいことが起こる」
 塔のてっぺんにある、鐘。もしかしたら、その鐘こそが、塔を生み出す魔法の中心かもしれない。そう思いつつ、フィアはさらに尋ねる。
「恐ろしいことって、どんなこと?」
「塔から、三つ首の巨大な獣が何頭も出てきて、町を襲うの。十年ほど前に、実際にあったことよ。あたしは子供だったけど、戸を閉め切った家の中にいても、町をうろつく魔獣の唸り声がずっと聞こえていたわ・・・」
「ねえ、聞いて」
 フィアは、スウの手をぎゅっと握った。スウが目を上げる。その視線をしっかりと見つめ返して、
「この塔は、壊すことができるの。塔のてっぺんに、何かあるはずなの。その鐘かもしれないし、近くにある何か別のものかもしれない、それを壊せば、塔も消えるの」
「・・・どうして、そんなことがわかるの」
 スウは、驚いたように目を見開いて尋ねる。
「わかるひとに教えてもらったのよ。ただ・・・」
 フィアが言い淀むのを、スウは不思議そうに眺めて、それから気がついて、言った。
「塔が消えたら、自分は落ちるわね。あの高さから」
 スウが塔を見上げる。落ちれば助からない。フィアも、共に見上げる。
「わからない。降りてくる時間があるかもしれない」
「そうなのね・・・わかったわ。そしたら、手を放してくれる? あたし、行くわ。あなたのことも信じる。もし助からなくても、恨んだりしない」
「・・・」
 フィアは、ゆっくりとスウの手を放した。スウは、鍵を回して錠前を開けた。ふたりは柵の中に入って、塔の入口の前に立った。スウは、青ざめた顔で笑った。
「ここまででいいわ。この入口は、女ひとりにしか開いてくれないの。あなたはもう、引き返して」
 フィアは、きゅっと唇をかんだ。それから、
「ごめんなさい」
と言って、スウを突き飛ばした。スウが地面に転がると、フィアの前で、塔の入口が開いた。
「私が行きます」
と告げて、フィアは塔に入った。追いすがろうとするスウの目の前で、入口は閉ざされた。

あと1回かな。

« 幻術の塔(02) | トップページ | 幻術の塔(04) »

コメント

月路さん今晩は〜。
ええ〜!まさか、お供のナイトも付けず
フィリー姫単独行シングルプレイですか?

瘴気立ちこめる禍々しい塔の黒き顎門に
呑み込まれしヒロインの運命や如何に…
初めての展開。と、思ったけど
そう言えば、誕生日に魔女の亡霊を退けてましたね。

ピタゴラスイッチな塔の仕掛け発動と脱出劇。どうなるのか?
ゼルの遠話の遠隔サポはあるのかな?

ちょっと予想外なストーリー展開に脱線の妄想しつつ
クロージングをワクワク楽しみにしてます。

ではまた(^^)/

とり3さん、
コメントありがとうございます♪

フィリシアとしても、「助かる道があるのなら、私か、仲間たちが見つけてみせる」くらいには、仲間たちのサポートを期待していると思うのですが。
今回は、塔の内側にゼラルドの力が届かない設定です。でも、まあ、ほら、ね、です。

いつもありがとうございます。励みにして頑張ります!

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/63736336

この記事へのトラックバック一覧です: 幻術の塔(03):

« 幻術の塔(02) | トップページ | 幻術の塔(04) »