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幻術の塔(05)

 それとも、魔法使い自身を狙うべきだろうか? いや、ゼラルドは言っていた、「まやかしの鍵となる道具がある」と。フィアは宝珠を的とした。きりきりと弓をひきしぼって解き放つと、飛び出した光の矢は、狙いあやまたずに宝珠を砕いた。
 宝珠の破片は四方に飛び散った。同時に、ごふっ、と魔法使いがむせた。黄色い目をぎらつかせて、うめくように、
「きさま、何を・・・、どうして武器を・・・」
 言いながら、その目が急速に光を失ってゆく。宝珠は魔法使いの命の源でもあったのだ。人の形をとっていた輪郭が、どんどんぼやけて、黒い靄になっていく。
 靄はそのまま、薄く広がり、やがて散ってしまった。同時に、足下の感覚が砂を踏むように頼りなくなった。塔が消えようとしているのだ。
 フィアは、急いで駆け降りようと踵を返したが、そこで言葉を失った。上って来た階段は、跡形もなかった。どれだけ見回しても、ただの床しかない。
「どうして!」
 何か仕掛けがあるのだろうか。揺れる塔の最上階で、フィアは膝をついて床を調べたが、何もなかった。降りられない!
 おそるおそる屋上の端まで行って塔の下を覗いてみれば、地上は遠くて、めまいがする。後ずさりしたとき、背後で物音がして、ぎょっとして振り向いた。
 驚いたことに、反対側の端で、ルークが体を引き上げていた。でこぼこした外壁を、ここまで登って来たのだ。
「ルーク! どうしてここに」
 ルークは、登り切って立ち上がり、笑った。
「来るまでもなかったか」
「私たち、降りられないわ!」
「手」
 ルークが差し伸べた手に、フィアは戸惑いながら自分の手を預けた。ルークはうなずいた。
「飛び降りるぞ。いち、にの」
「ええっ」
 見下ろせば、地上はやっぱり遠い、だがルークはおかまいなしだ。
「さん!」
 フィアは、ルークの手をぎゅっと握りしめて、覚悟を決め、一緒に飛び降りた。
 落ちる――。怖かったが、目をひらいていた。ルークの声が聞こえた。
「塔の外だ」
 地上に激突する寸前、ふわりと体が浮き上がって、フィアも理解した。そうか、塔の外に出たから、ゼラルドの力が届いて、支援してもらえたのだ。
 地面に降り立って振り返ると、まがまがしい黒い塔はぼんやりと透き通っており、すぐに跡形もなく消え失せてしまった。間一髪。全身の力が抜けるような気持ちがしたが、つないだ手の心強さのおかげで、なんとか立ったままでいられた。
 歩み寄って来たゼラルドは、いくらか眉をひそめていて、ルークに向かい、
「ぼくがいなかったら・・・」
と、言いかける。そんな彼に、フィアは「ありがとう」を言い、ルークのほうは、
「そのときはロープを使って、なんとかしたさ」
と、笑った。ゼラルドは軽くため息をついて、あとは何も言わない。
 少し離れたところで、セレンが馬たちの番をしてくれていた。スウも一緒にいて、出発する一行に向かって頭を下げた。
「ありがとうございました。もう少し皆さんがここにいてくれたら、きっと、町のみんなもすぐに来て、お礼を言いたがるだろうと思うんだけど・・・」
「ありがとう、でも行きます。元気でね」
「そう・・・、皆さんも、お元気で」
 旅人たちは馬に乗って出発した。フィアは時々振り返って、見送るスウに手を振った。
 まだ昼前なのだった。日暮れまでには、次の街に着けるだろう。

(完)

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コメント

面白かったです。
特に3,4、5話と読み進むにつれて、はっきりアニメーションが
浮かびました。
あー、本当に面白かった(^o^)

幻術の塔、後半はドキドキしながら
読ませていただきました。
最後はいつものみんなの雰囲気で
ふふふっ・・と♪(=^・^=)
パタパタと読んでしまったので
時間がある時にもう一度ゆっくり読もうと思います。

kayokoさん、
コメントありがとうございます♪

今回のお話は、なかなか更新できず、のろのろ進行だったので、途中で読者の皆様に見捨てられてしまうのではないかとハラハラしていました。最後まで読んでいただけて、ホッと一安心です。
そして、お気に召したようで良かった! アニメーションが浮かぶということは、kayokoさんの胸のうちにフィアやルークが生きているということだと思うので、とても嬉しいですhappy01shine
これからも一所懸命書きますので、どうぞよろしくお願いいたします☆

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

最近なんだかお忙しそうなのに、読みに来てくださって、ありがとうございますheart
旅の仲間たちの空気を感じ取っていただけて嬉しいです。さすが、うさパンさんnotes
これからも楽しんでいただけるように、頑張りまーす☆

月路さん今晩は〜。
執筆お疲れ様でした(^o^)/

今回はきっとマジックアイテムが出てくると踏んでいましたが『御霊の弓と宝珠』でしたか

分岐と謎アリ。ジェットコースタームービー的な
時限設定。
サスペンスタッチな畳み掛ける展開が新鮮でした。

メンズが最後ちょっと出番があって良かったです。
ルークは換えのきかない高貴な身なのに、まさか塔をフリークライミングとは!よくセレンの許しが出ましたね。

とり3的な妄想では
氷の塔じゃないので『AMULET OF FIREBIRD』は効果なし、今回は使えず…
魔法の御札を使用!呪文ドルドルで小さくなって
魔法ドリンク『スイスイ茶』で羽が生えて妖精化。
塔の下に舞い降りたら
魔法よ解けろドルドリッチ!の呪文の御札を使用。
分かる人には分かる魔法少女設定で
脱出成功かなw
と予想でした。楽しく拝読しました!

ではまた

とり3さん、
コメントありがとうございます♪

ゼラルドがいてもいなくてもルークは塔の壁を登ったに違いないのですが、とりあえず今回は、もし途中で落ちてもゼラルドがサポートしてくれるだろうという見込みのもと、セレンも黙っていたのだろうと思います。

火の鳥の羽は、皆さんが忘れたころに出てくる予定…なのですが、とり3さんは忘れそうにないですねえ。
魔法少女ごっこは、そのうちにまたやってみたいです。

楽しんでいただけたようで何よりです。
いつも丁寧なご感想をありがとうございます!happy01shine

こんにちは、雪村月路さん^^

あー、面白かったですhappy02

フィリシアが魔女を倒す時に迷ってるとこなんて、
彼女のドキドキが伝わって来るようで臨場感がありました!^^

次のお話も楽しみに待ってますheart02


弥沙さん、
コメントありがとうございます♪

読み返してみて反省点もありますが、「面白かった」というご感想に、救われて、力づけられます。
弥沙さんのように不思議な生い立ちの方に楽しんでいただけるのも、何かのご縁なのかなあと思います。
次のお話はまだ何も決まっていませんが、マイペースで頑張りまーすhappy01notes

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