2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

ひとこと通信欄

  • (2017/6/26夜) 「火の鳥」は、早割を使って、のんびりと印刷をお願いしたので、出来上がりは7/15頃です。オフセット印刷です。綺麗に刷れるといいな~。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 予告:「人魚の歌」 | トップページ | 人魚の歌(02) »

人魚の歌(01)

 旅の一行は、聖泉<真実の鏡>をあとにしてイルエン国まで戻り、晴れて王城におもむき、解呪の報告をした。
 城の人々はみな、フィリシア姫の呪いの解けたことを喜び、ささやかな祝いの席を設けてくれた。だが、喜んでばかりもいられない事情もあった。というのは、宮中の占い師たちが、いっせいに警告を発し始めたのである。
 あるものは、夜空の星の落ちるさまを見て。あるものは、祈りの炎に浮かぶ幻を見て。あるものは、託宣を得る獣骨のひび割れた形によって。凶兆に震えながら、彼らは口をそろえて言った――注意せよ、注意せよ。やがて大いなる闇の攻め寄せ来たらん・・・。
 そんな中、ゼラルドは人目を避けて素性を隠したまま、淡々と出発の準備を整えており、イルエンに戻ってから二日後の夜、仲間たちに別れを告げようとしていた。
「明朝、発とうと思う」
と、黒髪の王子は、仲間うちだけが集まった小さなサロンで、いつものように静かに言った。謎めいた黒い瞳で、フルート、フィリシア、セレンを順番に見つめ、しばし逡巡したあと、意を決したように口をひらいて、こう言った。
「君たちと共に過ごした時間は、ぼくにとって、とても幸福な時間だった。ありがとう」
 彼らしくない真っすぐな謝辞は、仲間たちを少しばかり戸惑わせた。そして、みなの視線は自然に、この旅を率いてきた金髪の王子に集まった。フルートは、友人たちの無言の要請に応えて、こちらも率直に言った。
「ゼラルド。君が帰国するのは、攻め寄せる<大いなる闇>とやらと関係があるのではないか? ぼくたちが少しでも君の力になれるなら、その戦いに、ぼくたちも同行したい」
「足手まといだ」
 黒髪の王子は、にべもなく断った。フルートは、ふっと笑った。
「君の占い札も、そのように言っているのか?」
「・・・」
 ゼラルドは、不意をつかれた顔をした。するりと愛用のカード一束を出し、切り交ぜて、何枚かめくり、驚いた顔で凝視して、さらに切り交ぜ、何枚かめくり、再び凝視した。しばし呆然としているようだったが、はっと我に返り、ちらりとフルートを見やって、軽くため息をついた。
「君のその自信は、いつもどこから湧いて出るのか・・・」
「返答は?」
「・・・たしかに、君たちもまた、鍵の一部らしい。非常に不本意だが・・・」
 ゼラルドの歯切れの悪さを見れば、彼が本当に、心底「不本意」に感じていることに疑いはなかったが、フルートは穏やかに言った。
「では、もうしばらく共に行こう。ぼくたちももう、出発の準備はできている」
 ゼラルドは物憂げにうなずいた。そうして、彼らは揃って発つことになったのだった。
 黒髪の王子が一度はあとにした祖国、神秘の国ウェルザリーンへ。

(今回のお話の中では、ウェルザリーンに着きません。)

« 予告:「人魚の歌」 | トップページ | 人魚の歌(02) »

コメント

月路さん♪

こんばんは^^
また新しい連載はじまりましたね、今度は人魚?
水にまつわるお話でしょうか、楽しみに拝見させていただきますねheart02

昨日、新作の冊子手元に届きました。
今回もまた美しい装丁ですね!ページを開くのが楽しみです。
じっくり味わいながら読ませていただきますね。

マーブルさんの話はどんどん長くなってしまって
来月の満月に間に合うかどうか・・・
ちょうど旧盆にかかりそうなので内容的には合うのですが。
気長にお付き合いくださいませhappy01

montiさん、
コメントありがとうございます♪

冊子、無事にお手元に届いて良かったです~。
ちょっと長いお話を冊子にまとめようとすると、章の区切りをどこにするか迷ってしまい、
「竜王の館」も、ずいぶん迷って、何度も見直すうち余計わからなくなって…sweat02
表紙絵に見合う品質のお話を収録できていればよいのですが、うーん、どうかなあ。
今後とも精進します…!

マーブルさんのお話は、味わいながら読ませていただいています。
お山の謎と、マーブルさんの秘密に、どきどきしていますheart04

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/63993586

この記事へのトラックバック一覧です: 人魚の歌(01):

« 予告:「人魚の歌」 | トップページ | 人魚の歌(02) »