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星降る夜に(03)

 ミルガレーテは、ふと、泉を指さした。
「見て、そろそろ始まるわ」
 言われてみれば、泉はコポコポと軽やかな音を立てながら、水面に映る星影を揺らしており、その一方で、心なしか、揺れている星影は大きくなり、数を増しているようだった。
 そのきらめきに感嘆したフィリシアが、
「まるで、星の湧き出ずる泉のようね!」
と言うと、ミルガレーテはうなずいた。
「そうなの。とても珍しい光景なの。ほら・・・」
 指さす先で、揺れる泉からは、なんと、星影が浮かびあがって、柔らかな光を放ちながら、次々に空中へと漂い出ていた。セレンは思わず自分の目を疑い、蛍か何かと見間違えているのではないかと、よくよく見つめてみたが、どの光も、どう見ても「光の粒」そのもので、あまり目を凝らしすぎたら目を傷めてしまいそうなほど輝いているのだった。
 泉を飛び出した星影たちは、ゆらゆらと揺れ、ふわふわと広がりながら、空へと上って行った。幾らかは、空まで届くことができず、途中からゆっくりと下降に転じ、見上げている客人たちの上に舞い降りた。フィリシアやセレンの肌に落ちた星は、粉のように砕けて消えた。髪や服の上に落ちた星は、それより長く光り続けたが、指でさわれば、やはりシュンと消えてしまうのだった。
「フィルと一緒に見ることができて、良かった」
と、光降る中で、ミルガレーテが幸せそうに言った。
「フィルに見せたいなって、ずっと思っていたから」
「すてき・・・」
と、青い髪の姫君は言って、胸の上で両手を重ねた。
「レッティと一緒に見ることができて、私もうれしい。あまりにも綺麗で、泣いてしまいそう・・・」
 セレンが自らを無粋な者のように感じていると、ミルガレーテが彼を振り返った。
「セレンも。来てくれて、良かった」
 きらきらと目を輝かせて、続けた。
「もし、セレンがここにいなかったら、私はきっと、ああこの景色をセレンにも見せたかったなって、悔やんだと思うから。セレンと一緒に見られて、良かった」
 とても光栄だ、とセレンは思ったが、うまく言葉になりそうもなかったので、ただ微笑み返した。ミルガレーテはにこにことフィリシアのほうに向きなおり、フィリシアは空を見上げたまま、
「そうね、セレンも一緒に来られて、良かった。フルートにも、ゼラルドにも、見せてあげられたら良かったのに・・・」
「そうね」「そうだね」
 三人はそのまましばらく、そうやって星屑を浴びながら、そこで星を眺めていたのだった。

 そのあと、また一緒に宿まで戻ってきて、おやすみを言い合ってそれぞれ床について、翌朝、目を覚ましたセレンは、夢を見たような気持ちだった。光り姫の編んでくれた星屑の腕輪を、この手首に嵌めてもらったような気がしたけれど、あれは本当にあったことだろうか。
 けれど、彼が髪を櫛で梳いていると、ふわりと一粒、光の粒がこぼれ落ちた。
「あ・・・」
 ゆらゆらと揺れながら、天井に向かって上って行こうとする光を、思わず手をのばして捕らえようとして、指がふれた瞬間、光は砕けて消えてしまった。かすかな喪失感。
 ――だが、それでは、夢ではなかったのだ。
 今日も、ひとめ会うことができたら嬉しい。そう思いながら念入りに身支度を整えた彼は、呼んでも起きて来ないフィリシアを起こそうとして屋根裏への梯子を上り、さすがに遠慮がちに覗いてみたところ、そこに二人の姫君が眠っているのを見つけて、しばらく身動きできずにその様子を見つめたあと、声をかける勇気が出ずに、そっと梯子を下りたのだった。

(完)

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コメント

月路さんこんにちわ〜。(^o^)/
そそ、アルスラーンでした。
以前、銀河英雄伝説がお好きと伺った気がしますが
記憶違いで無ければ同じ作家さんですね…
銀河英雄伝説未読なのですが、虐殺シナリオで皆死んでしまうとの事でアルスラーンの十六翼は今後どうなるんだろ?と心配


記事は大増ボリュームかなりストーリー厚み増して
セレンががっかりしないエンディングでほっこりしました。

叶わぬ恋。普段は手練手管のセレンが想うだけから
髪を編んだり、一歩進展が出てきて気になる今後です…

ルーク&ゼルが光姫に興味示さないのは
意中の相手がいるからなのかなぁ?
本作中で、セレンがフィリーを憎からずと思っているのが
初めて判明。
いつも、兄目線かルーク遠慮か本音が見えずでした。

ふむふむ、なるほど〜w
ではまた

とり3さん、
コメントありがとうございます♪

アルスラーンの原作は、そうです、銀英伝と同じ作者さんです。
最初のほうを少し読んだこともあるのですが、アニメにしたら映えそう、というのが感想だったので、アニメ化と聞いて期待して、録りためています。

「星降る夜に」、楽しく読んでいただけたようで良かったです。
たまにはセレンも、このくらい役得があってもいいですよね。
いつも丁寧に読んでいただいて嬉しいです。ありがとうございます!happy01

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