2017年6月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30  

ひとこと通信欄

  • (2017/6/11夜) 「火の鳥」を印刷所さんに入稿する準備をしていたら、ブログの更新間隔が空いてしまいましたー。すこーしお待ちくださーい。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 人魚の歌(01) | トップページ | 人魚の歌(03) »

人魚の歌(02)

 さて、そうは言っても、フィリシアだけは早めにクルシュタインに帰国させたほうが良いだろう、と、若者たちは考えていた。せっかく死の呪いが解けたのだから、これ以上あぶない目にあわせたくはない。だが、青い髪の姫君がしょんぼりと、
「戦になったら、力の弱い私が足手まといになることは自覚しています。でも、私もローレインをひとめ見たいの。お願い、私も連れて行って」
 そう願うのを聞いては、戦の始まらないうちから断るわけにもゆかず、ひとまず連れて行くことになったのだった。
 また、一行がローレインに向かうにあたっては、大きな問題がひとつあった。すなわち、イルエンとローレインの間には当然のように<大境界>があり、しかるべき関所を通らなければローレイン側には入れないのであるが、それぞれの関所にはおそらく、出奔した第一王子を暗殺すべく命を受けた術者たちが、もしゼラルド王子が生きて戻るようなことがあったら見つけしだい排除しようと、目を光らせているに違いないのだった。
 これについては、黒髪の王子に何か考えがあるようだった。国を出るときに通れなかったが戻る際には通ることのできそうな関所が、1か所あるのだという。ついては、心配せずに、しばらくの間、ひたすら南を目指そう、と。
 かくして、旅する一行は、天候を見ながら10日ほど南下を続けた。
 ある夕方、ゼラルドが言った。
「ここより先は、陸地を行くと見つかってしまうだろう」
「陸地でなければ、いったい?」
 フルートが尋ねると、
「海を行く」
という答が返った。時機を計るため、2日ばかり、海の見える場所に滞在することになった。
「人を海にひきずりこむ人魚や妖もいるかもしれない。ぼくがいないとき、君たちだけで海に近づきすぎないよう、気を付けてほしい」
 ゼラルドは言いながら、セレンとフィリシアのほうを見た。
「ことに、不安や悲しみを抱えているものは、誘われやすくなるから・・・」
「余計なお世話だ」
と、機嫌の悪いセレンが言った。フィリシアのほうは憂い顔で、
「気を付けます」
と応じた。この二人の抱える不安とは、ほかでもない、月が満ちゆく時期に入ったのに、ミルガレーテが一向に姿を見せないのだった。
 あの解呪の日、<真実の鏡>でセレンに助けられながら、悲鳴を残して消えてしまった姫君のことを、二人は心から案じていた。解呪は満月の日であったから、月が痩せゆく間、やきもきしながら我慢して待っていたのだが、いざ新月を過ぎ、月が満ちゆく時期が来てみると、フィリシアが宝剣を抜いていくら懇願して呼びかけても、妖精を統べる<光り姫>は、まだ一度も現れていないのだった。

« 人魚の歌(01) | トップページ | 人魚の歌(03) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/64003758

この記事へのトラックバック一覧です: 人魚の歌(02):

« 人魚の歌(01) | トップページ | 人魚の歌(03) »