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人魚の歌(05)

 フィリシアは、そのガラス細工について説明した。
「以前、ある町でいただいたものなの。夜だからわかりづらいけれど、薄紅色なの。私より、きっと、あなたが持っているほうがいいと思って、持って来ました」
 フィリシアは言いながら、岩の上の人魚を見上げた。白い人魚は食い入るようにしてガラスの人魚を見つめていた。ガラスの人魚は、優しい顔立ちで、歌を歌っているように見える。白い人魚の目に、涙が浮かんだ。
 フィリシアは、穏やかに続けた。
「あなたと一緒に行くかどうか、私、とても迷いました。でも、会えないひとを想いながら歌い続けるあなたに、私の痛みを託します。もし、本当に・・・本当に、私の友達の行方をご存じなら、どうか私を連れて行ってください」
 白い人魚は、フィリシアのほうを見て、言った。
「このガラス細工を、もらってしまって、いいの?」
「ええ。そのために持ってきたのですもの」
「ありがとう」
 白い人魚は、両手でガラスの人魚を包み込み、涙を一粒こぼして、ためいきをつくように言った。
「ごめんなさい。わたし、あなたのお友達の居場所を、本当は知らないの。ゆかりのある魔女に頼まれただけ。わたしが歌えば、あなたがきっと来る、そしたら、あなたを沖へ連れ出して、海の底に沈めてしまうようにと。でも、わたしには、できない」
「・・・そうだったのね。本当のことを教えてくれて、ありがとう」
 青い髪の姫君は、半ば予期していたかのように、さびしげに微笑んだ。白い人魚は、また一粒の涙をこぼした。
「ごめんなさい。わたし、あなたがどんなひとなのか、知らなかったから」
「気にしないで。いつか、あなたの悲しみが、あなたを傷つけない日が来ますように」
「ありがとう。わたしも、あなたが大切なひとと再び会えるように祈るわ。さようなら」
「さようなら」
 白い人魚は、ガラスの人魚をしっかりと胸に抱えて、海に飛び込んで去った。
 フィリシアも、館に戻ろうとして向きを変えた。
 背中で、しわがれた老女の声がした。
「ああもう、役に立たない人魚だね! ひひ、ちょいとお待ち、フィリシア姫」
 ぞわぞわと鳥肌が立った。危険だ、足を止めてはいけない。フィリシアは振り向かず、乾いた砂浜を目指して歩いた。
「これ、お待ちと言っているだろう」
 そう言われたのと同時に、足元の砂がえぐれて、引く波に足を取られて転んだ。体が濡れたが、気にしてはいられない。逃げなくては!
 濡れた砂に膝をつきながら、「誰か」と言いかけた姫君の上に、大きな波がかぶさった。
「ひひ、あいにくだが、さらわせてもらうよ、フィリシア姫。<光り姫>の友人たちは邪魔になると、<闇姫>様がおっしゃっていたのでね。あんたたちに直接触れることができなくとも、なに、始末する方法など、いくらもあるのさ」
 魔女が呪文を唱えると、姫君の体は、波にのまれて海の中へ消える。魔女はケタケタと笑いながら、自分も海の中へと消える。

 あとに残ったのは、月に照らされた静かな浜辺。
 寄せては返す、波ばかり、波ばかり。

(完)

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コメント

月路さん今晩は〜。

えっ?魔女の亡霊…フィリシア誕生日に
もう滅んだんじゃ無かったの?
闇姫と呪いの魔女には繋がりあるんだ…

ええっ?拉致されたところで終わるの??

色々と予想外な展開でメルヘンタッチか
艶っぽい恋バナかと思ってたので
ビックリな展開です。

光と闇は表裏一体
昔『小説聖書』がベストセラーになった時
読んだら聖地にはデビルの間(闇の間)というものが設けられていて得心したものです。

この続きが次のお話なのかなぁ?
ドキドキしながら待ってま〜す!
ではまた(^o^)/

とり3さん、
コメントありがとうございます♪

この魔女とあの魔女は、たぶん違うと思います。
おっしゃるとおり、フィリシアに呪いをかけた魔女は、もういないと思うので。
体はマデリーンに滅ぼされて、魂はフィリシアに滅ぼされて。
違う魔女だとわかるような描写があるといいですね。課題として検討します。

そして、このお話はフィリシアがさらわれたところで終わりますが、これの続きを書くのは、かなり先になると思います。
一方、こうして過去と未来を行ったり来たりすることで戸惑う方も多いだろうと思うので、さすがにそろそろ、お話を発生順に並べた記事をひとつ作ろうと思っています。

へんてこな進行ですみませんが、よろしくお願いいたしますsweat01

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