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  • (2017/4/23夜) お話もだけど、読みやすさとか、投稿サイトの使い方とか、いろいろ考え中。でも、ブログでの公開は、なくさないからね。

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2016年8月

竜に乗って(01)

 走りたがる愛馬を、望むとおりに走らせてやって、草原の真ん中を人馬一体、風になった気持ちで進みゆく。久しぶりに駆け抜けがいのある、広い広い草の海だ。
 とはいえ、どのような海にも、果てはある。緑の絨毯が尽きて岩地へと変わり始めるあたりで、白馬は速度をゆるめ、やがて止まった。
「気が済んだら、帰るぞ」
と、金髪の王子は、鞍の上から馬に声をかける。白馬はブルルと鼻を鳴らす。
 王子は、行く手にそびえ立つ岩山を見やった。
「皆の進路は、こちらを避けて正解だったな。あの岩山を登れる馬は、きっとおまえくらいだ」
 そう言ったとき、視線の先で、岩山の中腹から何か大きなものが飛び立つのが見えた。それは、内陸ではあまり見かけることのなかった生きもの。
「竜までいるのか」
 翼を広げた赤銅色の竜は、どうやら人を乗せているようだったが、羽ばたきながら、どんどんこちらに近づいてくる。
 白馬が神経質に足踏みするのを、どう、どう、と鎮めながら眺めていると、竜は白馬のすぐ横を、かすめるように飛び過ぎて行った。すれ違う一瞬、竜に乗っている若者と、馬上の王子の、視線が合った。
 すると、一度はすれ違ったものの、竜は方向を変え、舞い戻って来た。落ち着かなげな馬の隣に、向きをそろえてバサバサと着地してみれば、竜と馬の大きさはちょうど同じくらい、乗り手の視線も自然にぶつかる高さだ。竜の乗り手は、栗色の髪をした若者で、こちらを強く見据えており、口をひらいた。
「おい、あんた」
「何だい」
「今、すれちがったとき、俺と目が合ったよな。そいで、俺がもし通りすがりに襲いかかったら、返り討ちにする気だったよな」
「すまない」
と言いながら、王子は――というより、身分を伏せて「ルーク」は――肩をすくめる。
 竜の乗り手は、いくらか慌てたようだった。
「ああ、いや、それを咎めようというわけじゃないんだ。ただ、よそから来た奴なのに、竜の飛ぶ速さを見切っていたから、ちょっとびっくりしてさ」
「ふうん?」
「それで、目がいいところを見込んで、頼んでみる気になった。いやなら断ってくれていいんだけどよ。実は、あの岩山で薬草を探してるんだが、いつも二人で組んでいる相棒がいなくて、難儀してるんだ。あんた、小一時間ばかり、手伝ってくれる気はないか」
「竜に乗せてもらえるなら、いいぜ」
と、ルークは、興味津々に青い瞳をきらめかせて、請け合った。

予告:「竜に乗って」

以前、「竜王の館」を書いたときには、東洋風の龍をイメージして題材としていました。
が、今度は西洋風の竜を書きたくなりました!

したがって、今回の「竜」は、翼のあるドラゴンです。
前に出て来た「竜王」やその一族とは関係がありませんので、あしからず。

ルークがメインの、短いお話です。全2回か3回。
よろしくお願いいたします♪

進捗状況報告 & トーナメント結果「聖者の護符」

会社はカレンダーどおりに通勤していますが、ブログのほうは夏休みをいただいておりました。
創作も進んでいなくて、順番からいって、次はフルート(ルーク)のお話を書きたいなあと思いつつ、本当にそうするかどうかは未定です。

フィリシアのお手製のおやつを、またフルートに食べさせてあげたい気がしています。
みんなを、うみたて卵が手に入る村あたりに連れて行こうかなあ。
でも、フルートひとりだけのお話も書きたいので。
どこかの街に、単身で行ってもらおうかなあ。

ブログ村の自作小説トーナメントに出品していた「聖者の護符」は、11作品中の3位(か、4位。3位決定戦がないのです)をいただきました。
続きもののお話なので評価されづらいだろうことを思えば、毎回健闘していると思います。
できれば、投票に参加する人がもう少し増えてくれたら嬉しいのですが、どうやって広めれば良いのやら…。

あと、先日から配布している「一角獣の角」と「竜王の館」、今回は希望者が少なくて、あれれ?になっているので、今からでも、どうぞご遠慮なくお声がけくださいね。
いつもどおり、送料のみでお分けしておりますよ~。

以上、とりとめのない内容のうえ、次回の更新内容もさっぱり決まっておりませんが、ひとまずご報告でした!

こぼれ話:時系列順(ご参考)

本編を時系列順に並べたリスト(暫定版!)です。
ざっと並べてみましたが、ところどころ間違っている可能性もあります。

本編のみを並べたため、登場人物たちの過去のお話が混ざらないので、正式な目次としては採用しません。
過去のお話を混ぜながら読み進めていただきたいからです。

それでも、時系列順に並べたリストがないと不便なときもあると思い、頑張ってまとめました。
お入用なときにご活用いただければ幸いです。

***

プロローグ:
 始まりの物語

旅立つ前~旅立ち:
 第1話 ← まだ書いていません。当分先になります
 訪問者
 旅へ

春:
 小人のお茶会
 お姫様と猫
 野に休む
 憩いの時間
 化身の魔女
 人さらいと馬
 石の大蛇
 甘い、すっぱい
 赤い小鳥の姫君
 金の砂の塔
 ゆがんだ城
 竜王の館(前編)
 竜王の館(後編)
 夢のような

夏:
 誕生日の姫君
 大道芸人の賭け
 見えない守り手
 花園の夢
 勇者パックス
 命令の指輪
 雨やどり
 雨の日の窓辺で
 夜を越えて
 おかしな縁結び
 救出の報酬
 暗殺者
 火の鳥
 髪を編む
 朝の鈴
 花嫁候補
 夏の日の青い空
 空色のドレス

秋:
 クルミの行方
 風に揺れる花の中で
 星降る夜に
 邂逅
 泥より出でしもの
 さまよう人形
 黄昏色の旋律
 華飾の街
 夢の牢
 にじむ闇
 笑わない娘
 辻占い
 幻術の塔
 霧の中
 暖炉
 一角獣の角
 滝遊び

冬:
 数える…
 金と銀の翼
 真実の鏡 ← 解呪の話はここに位置する予定
 人魚の歌
 人魚の歌の次に来る話 ← 当分先になります

再びの春:
 あかずの扉
 聖なる森

聖者の護符(トーナメント参加用)

 話に聞いていたとおり、荒れ野の中に、一軒ぽつりと宿屋があった。遠くからでも宿屋とわかるのは、大きな看板が出ているからだ。がっちりした体つきの、宿の主人らしき男が、夕焼け空の下で、旅人たちに向かって手を振っている。
 一行が馬で近づくと、主人は笑顔で声をかけて来た。
「こんばんは、みなさん。今日はここに泊るのがよろしかろうよ。どこかで聞いて来ただろうけども、ここらは夜になると、あやしげなものがウロウロするからね。ともかく、屋根のある所にお入んなさい」
「ありがとう、世話になるよ」
と、4人を代表して、金髪の若者が、こちらも笑顔で返した。あたりを見回しながら、
「それにしても、本当に何もないところだな。宿を続けるのは大変じゃないか?」
「やあ、それでも、ここらに一軒泊まれる場所がないと、旅の人たちは皆さん困るだろうから」
 宿の主は誇らしげに、
「幸い、うちには、旅の聖者様からいただいた、ありがたい御守りもある。何を恐れることもなく、商いを続けていけるよ。さ、どうぞ」
 一行は、馬を馬小屋につないだ後、ひとりずつ中に入った。しんがりになった黒髪の若者は、軒先に吊るされた護符を見て、足を止め、しげしげと眺めた。銀の細工にまじないを彫り込んだものが、いくつも組み合わされて吊り下がり、揺れている。彼の視線に気づいた主人が、
「ああ、それが聖者様の護符だよ。何と書いてあるのかは分からないけども、ご利益は確かだ」
「・・・手を触れても?」
「いいとも」
 ゼラルドは護符に触れて、そっと、裏返したり、透かしたり、揺すったりした。宿の主人は何度もうなずいて、
「護符というものに詳しいひとは、皆さん感心なさるようだよ。わしには、何が何やら、さっぱりだがねえ」
「・・・これほど見事な護符を初めて見た」
 ゼラルドはつぶやいて、何かを問うように、視線を宿の主人へ向けた。主人は、いくらか戸惑った顔をしたが、
「それをくださった聖者様は、荒れ野の中に行き倒れていたんだ。文無しでね。連れて帰って、何日か泊めて食べさせたら、元気になって、金がないから代わりにと言って、これを置いて行かれたのさ」
「・・・」
 何かを懸念するかのように黒い瞳を揺らしたゼラルドは、しかし、何も言わずにうなずいて、その場を離れた。

 客室は3つあったので、フィアがひとつ、ゼラルドがひとつ、残りのひとつをルークとセレンが使うことにした――と言いながら、実際には、ルークは夜遅くまで台所にいて、宿の主人と世間話をした。話題は自然と、「夜になると荒野をうろつく怪しいもの」のことになった。
「お客さんも、もう少ししたら、窓の外を覗いてみたらいい。白くてぼんやりした、なんだか気味の悪いものが、いっぱい出て来るから。あれは何なのかねえ、亡くなった人の魂なのかねえ・・・」
「悪さもするのか?」
 金髪の若者が尋ねると、主人は、うん、と頷いた。
「するよ。人を襲う。昔からそうだったけども、ここ何年かで、ますますひどくなった。まあ、護符のおかげで、ここには近づけないようだがね」
 そんなことを話していると、黒髪の若者が部屋から出て来た。マントを羽織り、外出用のいでたちをしている。
「ゼラルド? 珍しいな。まだ起きていたのか」
 ルークが問いかけると、ちらりと視線を投げて寄越した。
「聖札を見た。外にいるあれを排除するのが、ぼくの役割だ」
 ルークは立ち上がり、窓のそばに寄った。果たして、外には、宿を遠巻きにするようにして、宿の主人が言ったとおりの、「白くてぼんやりした、なんだか気味の悪いもの」が、いくつもモヤモヤと飛来していた。それらは宙を漂いながら、ふたつの目とおぼしき黒い穴を伸び縮みさせており、心の寒くなるような光景を作り出していたが、その真っただ中に、ゼラルドの言う「あれ」がいた。ひときわ大きな白い靄が、はっきりと人のかたちに凝って、目と口とおぼしき黒い穴を、虚ろに開いたり閉じたりしていた。
 ルークは振り返った。世間話の続きのような口調で言った。
「手を貸そう。剣で切れるよな?」
「切れるだろうが、手を借りる必要などない」
「勝手についていくさ」
「お客さん! ふたりとも、何を言ってるんだね。やめたほうがいい」
 宿の主人が驚いて声をかけると、
「心配いらない」
 金髪の若者は、戸口に向かいながら振り返り、にこっと笑った。
「かなわないと思ったら、とっとと逃げて来るからさ」

 ふたりの若者が外に出ると、月明かりの下で、靄のような亡霊たち――としか思えないもの――は、遠巻きにしながら、ゆらゆらと飛び回った。その真ん中で、くっきりと白く浮かび上がっている亡者は、口のように見える虚ろな穴から、しゃがれた声を無理やり押し出すようにして、しゃべった。
「そ、れ、を・・・、よ・・・こ・・・せ・・・」
 ゼラルドは、軽く首をかしげて、尋ねた。
「寄越せとは、何をだ」
「見、え、ぬ・・・、が・・・、近、く・・・」
 亡者は、ほうっ、と白い息を吐き、のろのろと片手をあげて、ゼラルドを指さした。
「寄越さ、ぬ、なら・・・我、は、ルイー、ラ・・・名に、お、いて・・・命じ、る。・・・滅、ぼ、せ!」
 言い終えたとたん、まわりの靄めいた亡霊たちは、いっせいに飛び上がって、こちらに向かってきた!
 剣を抜こうとしたルークを、ゼラルドは手で制した。その口元には、妖しく冷ややかな微笑が浮かんでいた。
「名には、名を。我はゼラルド・ルインドゥーラ・ルーズヴェルン。この名において、汝らに命じる」
 黒髪の王子が片腕を動かすと、銀の腕輪が重なり合ってシャランと鳴った――と同時に、靄のような霊たちは、てんでに飛びかかろうとした形のまま、ぴたりと動きを止めた。まるで、時間と空間が、一枚の絵に凝り固まってしまったかのような光景だった。中央の亡者だけが、のろのろと伸び縮みして、かすれた声で呻いた。
「ルイン、ドゥー、ラ・・・」
 ゼラルドは、かまわずに淡々と続けた。
「死霊たちよ、聞け。汝らを絡め捕えた鎖は、すでに断ち切られた。汝らをこの地に縛るふるき主を討ち、あるべき場所へ帰れ」
 ゼラルドは、腕を伸ばして、白い亡者を指さした。止まっていた時間は再び動き出し、靄たちは、ねじれるようにして方向を変えると、亡者に向かって飛びかかって行った。
「お・・・お・・・お・・・!」
 幾多の靄が亡者のまわりに集い、渦を巻き、そして、どこへともなく飛び去った。曇りなく冴えかえった夜空の下、さっきまで白い亡者のいたところには、1体の骸骨が転がっていた。骸骨は、カタカタと歯を鳴らしてしゃべった。
「よこせ・・・、よこ、せ・・・、護、符・・・」
「護符。これに触れれば、汝が滅びるだろうに」
と、ゼラルドは言いながら、何を考えたものか、宿の軒先に吊るされていた護符をシャラシャラと取り外した。骸骨へと歩み寄り、突き付けた。
「これが、汝の望みか」
「お、お・・・」
 骸骨は、怯む様子を見せたが、ぶるぶると震えながら骨だけの腕を伸ばし、聖者の護符に触れた。そして、音もなく崩れた。
 骸骨であったものは、いまや、ひとつかみの灰だった。そして、その灰は、直後に吹いた風にさらわれて、散った。
 ひとり立つゼラルドの隣に、ルークが歩み寄った。
「たしかに、何の手助けもいらなかったな」
 ゼラルドは答えず、ただ、手の中の護符を見つめていた。
 ルークも護符を見た。護符は月明かりを受けて銀色に輝いていたが、亡者が触れたせいなのだろう、最下部が欠けてしまっていた。
「哀れな末期だ」
「ルーク・・・気づいていたのか」
 ゼラルドが目を上げる。金髪の若者は、答えるともなく、
「護符の話を聞いたときに思った。魍魎の行き交う荒野で、行き倒れた旅人を守ったのは、もとより所持していた護符の力ではないのか。その護符を手放したあと、旅人は無事に目的地に辿りつけたのか、と」
「・・・」
 ふたりの若者は黙り込む。彼らはおそらく、すでにその答を知っている。
 かの聖者は思ったのだろう。「あのとき譲り渡してしまった護符が、この手にあったならば」と。その念が、亡骸を荒野へと帰らせたのだ。
「・・・あの亡者は、この地に古くから住む悪しきものに、取り込まれてしまっていた」
 言いながら、ゼラルドは月の女神の印を切った。
「いまは自由だ。安らかに眠れ」
 ルークも、片手を胸にあてて、短く祈った。安らかに眠れ。

 若者たちが宿に戻ると、窓から一部始終を見ていた主人が、驚きとねぎらいの声をかけてくれた。一方で、話し声は全く聞こえなかったらしく、「聖者様の護符が、化け物の親玉を滅ぼしてくれた」と、欠けた護符に感謝を捧げているようだった。
「しかし、お客さんたちが化け物を返り討ちにするとはねえ! あの気味の悪いものたちは、もう戻って来ないかね?」
「あれらは戻らないが、また別の異形が寄り付かないとも限らない。護符は、明るくなってから、ぼくが直そう」
 そう言ったゼラルドは、翌日、出発前に、約束どおり護符を直した。欠けた部分を補うために、自分の腕輪をひとつ外して繋ぎ合わせ、小さな声で何か唱えながらあれこれ試した末に、ようやく納得できる形になったらしく、元通りに軒先に吊るして下げた。
「正確には再現できなかったが、欠けているよりは良いだろう」
「おお、ありがとう。前と同じに見えるよ。十分だ」
 みなで外に出て、馬の準備をしながら、風になびく青い髪を押さえたフィアが、口にした。
「今日はあたたかくて、風がやわらかい・・・」
「ああ」
 同意したルークが、ふと気づくと、黒髪の若者は、ゆうべ骸骨が灰と化したあたりを見つめていた。まるで、そこに誰かが立っているかのようだった。ルークの視線に気づいて、ゼラルドは振り返った。
「この土地は、新しい加護を得た」
 それだけ言って、彼は馬の準備に戻った。
「そうか」
とだけ、ルークも応じた。宿の主人が見送りに出て来たので、にこっと笑って声をかけた。
「じゃあな、おやっさん。元気で」
「お客さんたちも、元気で」
 ほどなく、旅の一行は出発した。
 宿の主人が立って見送る傍らでは、新しく銀を接がれた護符が、陽光を受け、きらきらと光っている。

(完)

第19回 自作小説ブログトーナメントに参加しています。約4,085字。
よろしければご感想をお聞かせください。

ひとやすみ:名探偵コナン×ライブミステリー 洋上の迷宮に行ってきた!

予定を変更して、イベントの感想を少し。

「名探偵コナン×ライブミステリー 洋上の迷宮」に行ってきました。
舞台の上で事件が起こり、観客が謎を解くというイベントです。
公式ホームページは→ こちら

「名探偵コナン」と、推理イベントの老舗「E-Pin企画」とのコラボイベントですが、ストーリー的には、ほとんどコナンには関係ないお話でした。

でも、舞台の内容は、完成度が高くて、とても面白かった。

謎解き難易度は低めなので、推理イベントが初めての方にもおすすめできます。
んー、推理上級者さんには、少し物足りないかも…。
(E-Pin企画さんならではの、「目からウロコ」の鮮やかトリックは期待しないほうがいいと思います。)

子供向けには、推理の内容を書いて提出する「逮捕状」の書式が別になっていて、特別ヒントももらえるなどの配慮がありました。
こういうイベントに、親子で行くのも良いと思います!

***

本日のおやつ。
バニラアイスとバナナとクルミを乗せてキャラメルソースをかけたワッフル。
美味しかったlovelyrestaurant

Photo

作者より:「人魚の歌」

あらかじめ進捗状況でお知らせしていたとおり、今回は旅の終盤の、シリアスなお話を書かせていただきました。
「えっ、このお話、ここで終わりなの?」と思われた方も多いかと思いますが、すみません、この続きを書くのは当分先になります。
さしあたっては、何事もなかったかのように時間を巻き戻して、旅の序盤や中盤を埋めていく予定。
ただ、これまでに書いてきたお話を時系列順に並べた記事を、近々書こうと思っています。3つめの目次になるかも?

さて、「人魚の歌」は、お気づきの方もいらっしゃるかと思いますが、人魚姫の童話をうっすら透かして書きました。
人魚姫の童話の中で、人魚姫は声と引き換えにして足を手に入れ、人魚姫の姉妹たちは長い髪と引き換えにしてナイフを手に入れます。もし人魚姫がそのナイフで王子を刺し、その血を浴びることができれば、人魚姫は元通り、人魚に戻れるのです。
結局、人魚姫はそのナイフを使うことができなかったわけですが。
白い人魚は、人魚姫と一番仲の良かった姉妹なら、というイメージで書きました。

フィリシアが白い人魚に贈ったガラスの人魚は、どこから出て来たのかと首をかしげる読者の方もいそうですが、遠い記憶を手繰り寄せていただいて、「華飾の町」で宿屋の主人からフィリシアが受け取ったガラス細工です。ああ、そんなこともあったね!

***

次回の記事は、恒例ブログ村トーナメントへのエントリー記事です。「聖者の護符」を出してみようと思っています。
その次の記事は、作品を時系列順に並べた「こぼれ話」、になるか「目次」になるか、だと思います。作者にも位置づけの難しいお話がありそうなので、暫定版になりそうです。

毎日暑い日が続きますが、皆様しっかり水分補給してお過ごしくださいね。

人魚の歌(05)

 フィリシアは、そのガラス細工について説明した。
「以前、ある町でいただいたものなの。夜だからわかりづらいけれど、薄紅色なの。私より、きっと、あなたが持っているほうがいいと思って、持って来ました」
 フィリシアは言いながら、岩の上の人魚を見上げた。白い人魚は食い入るようにしてガラスの人魚を見つめていた。ガラスの人魚は、優しい顔立ちで、歌を歌っているように見える。白い人魚の目に、涙が浮かんだ。
 フィリシアは、穏やかに続けた。
「あなたと一緒に行くかどうか、私、とても迷いました。でも、会えないひとを想いながら歌い続けるあなたに、私の痛みを託します。もし、本当に・・・本当に、私の友達の行方をご存じなら、どうか私を連れて行ってください」
 白い人魚は、フィリシアのほうを見て、言った。
「このガラス細工を、もらってしまって、いいの?」
「ええ。そのために持ってきたのですもの」
「ありがとう」
 白い人魚は、両手でガラスの人魚を包み込み、涙を一粒こぼして、ためいきをつくように言った。
「ごめんなさい。わたし、あなたのお友達の居場所を、本当は知らないの。ゆかりのある魔女に頼まれただけ。わたしが歌えば、あなたがきっと来る、そしたら、あなたを沖へ連れ出して、海の底に沈めてしまうようにと。でも、わたしには、できない」
「・・・そうだったのね。本当のことを教えてくれて、ありがとう」
 青い髪の姫君は、半ば予期していたかのように、さびしげに微笑んだ。白い人魚は、また一粒の涙をこぼした。
「ごめんなさい。わたし、あなたがどんなひとなのか、知らなかったから」
「気にしないで。いつか、あなたの悲しみが、あなたを傷つけない日が来ますように」
「ありがとう。わたしも、あなたが大切なひとと再び会えるように祈るわ。さようなら」
「さようなら」
 白い人魚は、ガラスの人魚をしっかりと胸に抱えて、海に飛び込んで去った。
 フィリシアも、館に戻ろうとして向きを変えた。
 背中で、しわがれた老女の声がした。
「ああもう、役に立たない人魚だね! ひひ、ちょいとお待ち、フィリシア姫」
 ぞわぞわと鳥肌が立った。危険だ、足を止めてはいけない。フィリシアは振り向かず、乾いた砂浜を目指して歩いた。
「これ、お待ちと言っているだろう」
 そう言われたのと同時に、足元の砂がえぐれて、引く波に足を取られて転んだ。体が濡れたが、気にしてはいられない。逃げなくては!
 濡れた砂に膝をつきながら、「誰か」と言いかけた姫君の上に、大きな波がかぶさった。
「ひひ、あいにくだが、さらわせてもらうよ、フィリシア姫。<光り姫>の友人たちは邪魔になると、<闇姫>様がおっしゃっていたのでね。あんたたちに直接触れることができなくとも、なに、始末する方法など、いくらもあるのさ」
 魔女が呪文を唱えると、姫君の体は、波にのまれて海の中へ消える。魔女はケタケタと笑いながら、自分も海の中へと消える。

 あとに残ったのは、月に照らされた静かな浜辺。
 寄せては返す、波ばかり、波ばかり。

(完)

人魚の歌(04)

 それでは、やはり、歌われていたのは<光り姫>のことではなかったのだ。フィリシアは、残念に思いながらも得心し、会いたいひとに二度と会えない白い人魚に、自身の境遇を重ねた。まさかミルガレーテにもう二度と会えないなどということはないだろう――ないだろうけれども、不安で心が曇る。思えば、ミルガレーテと知り合った当初は、月が痩せゆく時期に入るたび、もう会えないのではないかと心配したものだ。大丈夫、月が満ちゆく時期にはまた会えるのだと、積み重なる経験が不安をぬぐってくれたけれど、では、いま会えないのは、なぜ。
「妹さんは、どのような方だったの」
「とても優しい子だった。薄紅色の鱗が、それはそれは綺麗だった。あの子の命が失われないように、私たちは手を尽くしたわ。でも、だめだったの・・・」
 人魚の瞳が翳った、ように見えた。その瞳でフィリシアをじっと見つめながら、続けた。
「ねえ。あなたも、会いたいひとに、会えずにいるのよね?」
「・・・ええ。そうなの」
 フィリシアは認めた。人魚は、迷うように言葉を重ねた。
「それなら、もし・・・、もし・・・、私が、あなたの探しているひとの居場所を知っていて、そこに案内できると言ったら、あなたは私と一緒に、来る?」
「えっ」
 フィリシアは息をのんだ。人魚は目を伏せて、さらに言った。
「すこし、準備が必要なの。決心がついたら、明日の晩、また、ここに来て。ただし、ほかの誰にも、私のことは言わないで。話されたら、魔法がきかなくなるから」
「・・・わかったわ。明日までに、心を決めておきます」
「では、また明日」
 人魚は体をひるがえし、岩から海に飛び込んで、いなくなった。

 翌日、フィリシアは、白い人魚の言ったことを一日考えていた。誰にも相談はできなかった。薄紅色の鱗をしていたという妹人魚のことにも、思いを馳せた。
 夜、みなが寝静まったころ、歌が聞こえ始めたので、フィリシアは荷物の中から取り出しておいた布の包みを持って、そっと館を抜け出して海岸に行った。白い人魚は、きのうと同じ場所で、同じように歌を歌っていた。
 青い髪の姫君を見ると、人魚は歌をやめた。気のせいか、昨日より沈んだ表情で口をひらいた。
「来てくれたのね。決心はついた?」
「これを受け取ってくださる?」
 フィリシアは、白い人魚に近づいて、布の包みを渡した。人魚はけげんそうに受け取って、包みをひらき、現れたものを見て、小さな声で「あっ」と言った。それは、ガラスでできた小さな人魚だった。

あと1回あります。

人魚の歌(03)

 海辺の館で、その晩、フィリシアは、波の音が気になって、なかなか寝付けなかった。生まれ育った内陸のクルシュタインは南東に湾があったから、完全に海のないリーデベルク出身のフルートやセレンよりは、彼女のほうが少しは海に親しいはずだった、が、こんなに近くで、こんなに長く、寄せては返す波の音にさらされたのは初めてで、遠い異国にいることをしみじみと感じつつ、気持ちが乱れて、眠れなかったのだった。
 耳を澄ますと、どこかから、聞きなれない節回しの歌声も聞こえてくる。この館の誰かが歌っているのだろうか。とぎれとぎれに聞こえる女性の声は、こんなふうに歌っていた。
(かのひとの ゆるく波打つ長い髪は 黄金を紡いで絹に変えたよう)
(白く滑らかな そのひたい 透きとおる桃色の頬)
(きらめく瞳は 虹の色 かの人の いずこにあるや)
 偶然だろうけれど、まるで、ミルガレーテのことを歌っているかのようだ。今頃、どこでどうしているのだろう。いずこにあるや、私も知りたい。
(われに尋ねよ われこそは ひろき海原 わたりゆくものなれば)
(われのみは かのひとの 涙のそそぐ果てを知る)
 違うひとのことだと思う。ただの、はやり歌の歌詞なのだと思う。思うけれども、そう歌われると、尋ねに行きたくなる。その方はどこにいらっしゃるのですかと。
 フィリシアは思い切って起きだして、寝間着の上に外套を羽織った。歌声の主を探し出し、すこし言葉を交わせば、気も休まって、眠れるようになるだろう。歌が外から聞こえているようだったので、裏口から出てみると、歌声が大きく聞こえるようになった。月明かりの中を、フィリシアは声のほうに歩いた。海のほうだ。
 波打ち際を歩いてしばらく行くと、大きな岩がいくつか連なった場所があり、声の主は、その岩のひとつに座っていた。それは、白い人魚だった。いや、昼間に見れば白ではないのかもしれなかったが、少なくとも今は、月明かりを浴びて、髪の色も、肌の色も、鱗の色も、真っ白に輝いているように見える。
 そういえば昼間、ゼラルドが、「人を海に引きずり込む人魚」の話をしていた。と、思い出したフィリシアは、少し離れたところで立ち止まった。人魚は、フィリシアに気づいて、歌をやめ、真剣な目で、じっとフィリシアを見つめた。
「こんばんは」
と、フィリシアは微笑んで挨拶をした。
「こんばんは。本当に来てくれたのね」
と、白い人魚は、緊張した面持ちで言った。フィリシアはうなずいた。
「歌詞が気になったから。誰のことを歌っていらっしゃるの」
「私の妹のこと」
と、白い人魚は言って、目を伏せ、つぶやくように言った。
「もうずっとずっと前に、泡になって海に還ってしまった妹のこと。もう会えない。悲しくて歌うの。海の底で歌い続けていたら、いつのまにか、私、こんなに白くなってしまったの」

人魚の歌(02)

 さて、そうは言っても、フィリシアだけは早めにクルシュタインに帰国させたほうが良いだろう、と、若者たちは考えていた。せっかく死の呪いが解けたのだから、これ以上あぶない目にあわせたくはない。だが、青い髪の姫君がしょんぼりと、
「戦になったら、力の弱い私が足手まといになることは自覚しています。でも、私もローレインをひとめ見たいの。お願い、私も連れて行って」
 そう願うのを聞いては、戦の始まらないうちから断るわけにもゆかず、ひとまず連れて行くことになったのだった。
 また、一行がローレインに向かうにあたっては、大きな問題がひとつあった。すなわち、イルエンとローレインの間には当然のように<大境界>があり、しかるべき関所を通らなければローレイン側には入れないのであるが、それぞれの関所にはおそらく、出奔した第一王子を暗殺すべく命を受けた術者たちが、もしゼラルド王子が生きて戻るようなことがあったら見つけしだい排除しようと、目を光らせているに違いないのだった。
 これについては、黒髪の王子に何か考えがあるようだった。国を出るときに通れなかったが戻る際には通ることのできそうな関所が、1か所あるのだという。ついては、心配せずに、しばらくの間、ひたすら南を目指そう、と。
 かくして、旅する一行は、天候を見ながら10日ほど南下を続けた。
 ある夕方、ゼラルドが言った。
「ここより先は、陸地を行くと見つかってしまうだろう」
「陸地でなければ、いったい?」
 フルートが尋ねると、
「海を行く」
という答が返った。時機を計るため、2日ばかり、海の見える場所に滞在することになった。
「人を海にひきずりこむ人魚や妖もいるかもしれない。ぼくがいないとき、君たちだけで海に近づきすぎないよう、気を付けてほしい」
 ゼラルドは言いながら、セレンとフィリシアのほうを見た。
「ことに、不安や悲しみを抱えているものは、誘われやすくなるから・・・」
「余計なお世話だ」
と、機嫌の悪いセレンが言った。フィリシアのほうは憂い顔で、
「気を付けます」
と応じた。この二人の抱える不安とは、ほかでもない、月が満ちゆく時期に入ったのに、ミルガレーテが一向に姿を見せないのだった。
 あの解呪の日、<真実の鏡>でセレンに助けられながら、悲鳴を残して消えてしまった姫君のことを、二人は心から案じていた。解呪は満月の日であったから、月が痩せゆく間、やきもきしながら我慢して待っていたのだが、いざ新月を過ぎ、月が満ちゆく時期が来てみると、フィリシアが宝剣を抜いていくら懇願して呼びかけても、妖精を統べる<光り姫>は、まだ一度も現れていないのだった。

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