2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ひとこと通信欄

  • (2017/4/23夜) お話もだけど、読みやすさとか、投稿サイトの使い方とか、いろいろ考え中。でも、ブログでの公開は、なくさないからね。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 竜に乗って(02) | トップページ | 作者より:「竜に乗って」 »

竜に乗って(03)

「おいおい、怖いものしらずだな!」
 ゴウタが呼びかけると、
「手本を見せてもらったのに、怖いはずがあるか」
と、ルークは朗らかに笑う。そんなに簡単なはずはないのだが、とゴウタは苦笑しながら、この頼もしい即席の助っ人に、本来の目的を思い出させることにする。
「さ、目的地に着くぞ! 白い花を探してくれ、ルーク」
 ゴウタが竜の速度を緩めると、ルークの竜もそれにならう。ゴツゴツした山肌に沿って、二頭の竜は、ゆっくりと回りを巡るように飛んだ。
「見つけたら?」
「竜を近くに止めて、花びらだけ採ってくれ。この季節にこの山で咲く白い花は、他にない。細くて小さくて見つけづらい花だが、よろし――」
「よし、下へ。そう、止まれ」
 ゴウタの話が最後まで終わらないうちに、ルークは竜を止めていた。青銅色の翼がバサバサとたたまれて、ルークは鞍に乗ったまま身を乗り出すように、見つけた白い花の花びらを採っている。ありあわせの布を出して包み、ゴウタのほうを見上げ、大声で、
「どれだけ必要なんだ?」
 尋ねて来るので、ゴウタのほうも叫び返す。
「10本分くらいだ。採りすぎないようにな!」
 聞いて、ルークは再び竜を飛び立たせ、少しずつ下に移動しながら、小刻みに竜を止めては、花を探しているようだ。
 ゴウタも1本見つけた。岩の影になる場所に、ひっそりと、山肌にへばりつくようにして咲いている、小さな白い花。よく効く熱さましの薬。竜から下りて花びらを採り、また竜の鞍に戻ったところに、ルークの竜が上がって来た。
「終わったぞ、ゴウタ」
「ええっ」
 耳を疑うゴウタに、ルークは不思議そうな顔をして、
「それとも俺、間違えたか? 確認してくれ」
 布の包みを放り投げて来るので、ゴウタは受け止めて、そっと中を覗いた。間違いない。小さな花びら、10本分。
「合ってる。すげえな、ルーク。じゃあ、せっかくだから、山の頂上に降りてみるか?」
「ああ!」
 二人は上昇し、山頂近くに竜を止めた。ルークは、竜を降りると頂上に駆け上がり、ぐるりを見渡して、ひゅうっと口笛を吹いた。嬉しそうに遠くを見て、指さした。
「海が見える!」
「ああ。たまに、あの海の上を飛ぶこともあるんだぜ」
「いいなあ!」
「何人かで隊を組んで、港に寄りながら、行き帰りでひと月くらいの旅をするんだ。今度、連れて行ってやろうか?」
 こぼれた言葉に、ゴウタは自分でびっくりした。ついさっき会ったばかりの余所者だぞ?
 ルークは、海に向けていた視線を、傍らのゴウタに移した。きらきらする目で、笑った。
「俺が二人いたら、一人は喜んで連れてってもらったな!」
「?」
「でも、俺は一人しかいないからさ。残念だ」
 二人は竜の背に戻り、飛び立った。翼を並べるようにして、ルークのいた草原に戻った。
「じゃあな、ルーク。おかげで助かった。ありがとな!」
「こっちこそ、すごく面白かった。ありがとう」
 ルークは竜を降り、青銅色の鱗を撫ぜてから、白馬の傍らへ。
 ゴウタと竜たちは飛び立って、やがてその後ろ姿は遠ざかり、見えなくなった。
 白馬はブルルと鼻を鳴らした。
「そうだな、帰ろう」
 そう言って、鞍に乗ったルークは、もはや「ルーク」ではない。
「すぐ戻ると言ったのに、遅くなった。セレンに叱られるぞ」
 笑いながら、金髪の王子は、愛馬の脇腹をトンと蹴って、草の海に馬を走らせる。
 旅の仲間たちのもとへと。

(完)

« 竜に乗って(02) | トップページ | 作者より:「竜に乗って」 »

コメント

月路さん今晩は〜。
小気味よく軽快でテンポ良くお話が進みましたね。
ルーク共々楽しませて頂きました。

十六夜の月の誘う
昼と夜の日の狭間の逢魔ヶ刻…
マンドラゴラに絶命時のディストレスコールを
発せさせずに
ドラゴンの飛翔で上手いこと
一気に引っこ抜くのかと妄想を膨らませていましたw

逢う人との縁で持ちつ持たれつのフィアと違い
何でも自力で出来てしまいそうなルークですが(今回もその片鱗が)

来たるべき闇の軍勢との決戦に
竜騎兵のドラゴンライダーが援軍に来てくれるといいなぁ…
ドラゲナィ♪ではまた

とり3さん、
コメントありがとうございます♪

軽快なお話であれ、と願いながら書いたので、ご感想がとても嬉しいですhappy01
マンドラゴラのお話も面白そうですね。
様々に言い伝えられている中から、私は白い花Ver.を採用しましたが(という設定)、マンドラゴラVer.も伝わっているかもしれません。
毎々思うことながら、とり3さんが異伝を編まれたらドラマティックな物語になりそうです…!

フルートはたぶん、仲間のもとに帰り着いて、ゼラルドの顔を見たときに、「しまった、珍しい花かもしれなかったのに、あの白い花びらを1枚分けてもらえばよかった」などと思いそうです。
何でも一人でできそうな彼ですが、そういう心配りについてはダメっぽいです。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/64157382

この記事へのトラックバック一覧です: 竜に乗って(03):

« 竜に乗って(02) | トップページ | 作者より:「竜に乗って」 »