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ひとこと通信欄

  • (2017/12/11朝)また休日出勤などあったので、本編進んでおりません…。ふえーん…。

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2016年9月

ひとやすみ:通販サイトを作ろうかな?

いま、boothという仕組みの通販サイトについて検討しています。

まず、おさらい。
今まで、私が印刷に出して作っている冊子は、次のような手順で希望者の方にお配りしていました。
1.希望する方にはブログにコメントしてもらって、こっそりメールアドレスを教えていただく。
2.そのメールアドレスに、私から切手送付先住所をお知らせする。
3.切手を買っていただく。
4.切手をミニレターか封筒に入れて送っていただく。
5.同時に、冊子のお送り先住所を教えていただく。
6.教えていただいた住所宛に、私から冊子をお送りする。

もっと簡単なやり方がないかしら、と、あれこれ考えていました。
そしたら、通販サイトを作る(自家通販型)という手があることに気づいたわけです。
通販の設定をすると、冊子の配布は、次のような手順に変わります。
1.商品ページで、希望する冊子のボタンをポチッと押していただく。
2.お支払い方法を選んでお支払いいただく(クレカ、銀行決済、コンビニ決済)。
3.冊子のお送り先住所を教えていただく。
4.教えていただいた住所宛に、私から冊子をお送りする。

通販のメリットは、いくつかあります。ざっと挙げると、
☆冊子を欲しい人が、ブログにコメントして取り置きを頼む手数が減る。
☆つまり、自分がどの読者か、ばらさなくても冊子を入手できる。
☆ブログにコメントしたことがない方も、気楽に冊子を注文できる。
☆メールアドレスを交換する必要もなくなる。
☆切手を買う手間もなくなる。
☆切手を送るときにお手紙書かなくちゃ、というプレッシャーがなくなる。
☆自家通販型なら、私からのお手紙は従来どおり付けられます。
☆私のほうも、切手の代わりに現金で精算できるので、何かと便利。
と、こんな感じです。

一方、デメリットもあります。
検討しているboothという仕組みだと、設定できる商品価格最安値が100円なので、
★従来だと費用は、切手180円+ミニレター代62円。通販にすると、送料180円+商品代金100円。つまり今までより38円、高くなっちゃう。
★表紙を描いてもらう際、無料配布用という契約で描いてもらっていたので、100円で販売する仕組みにするならイラストレーターさんに相談し、通販していいよと了解をもらう必要がある。
ということになります。

いかがでしょうか。
仮にイラストレーターさんから了解がもらえるとするならば。
今までより1冊あたり38円高くなっても、通販を導入するほうが簡単で良いかな?という気がしているのですが…、
読者様の立場から、「通販にしてほしい/してほしくない」という、何かご意見がおありでしたら、忌憚なくコメントをいただけたら嬉しいと思います。名無しでもいいですよ。

どうぞよろしくお願いいたします。

お知らせ:静岡文学マルシェのポストカードギャザリング

「静岡文学マルシェ」という、まだ出来立てほやほやの、創作文芸同人誌販売イベントがあります。販売対象は、一次創作=オリジナル創作のみ。
2016年6月に「第0回」が実施されて、次は2017年2月に「第1回」が開催されます。

「静岡文学マルシェ」には、「ポストカードギャザリング」という面白いコーナーがあります。
100円で綴じ具を買って(単語帳のリングみたいなの)、創作作品が書かれたポストカードを、あれこれ好きなだけ選んで綴じて持ち帰る、というコーナーです。
この「ポストカードギャザリング」、持ち帰る側も100円なので参加しやすいですが、ポストカードを出品するほうも、出品料がいらないので気軽に参加できます。
というわけで、ポストカードギャザリングの参加申し込みをしてみました!
既存作品からの抜粋を、ポストカードに仕立てて出品してみようと思います。
静岡の方のお手にとってもらえたらいいな。

それと。
ポストカードには、連絡先として、メールアドレスとかTwitterIDとか、記載することになっています。私も記載します。
けど、ブログで古くから見てくださっている読者の方々に、先に教えておかなかったら、なんだか不公平な気がして。
なので、サイドバーのプロフィール欄に、メールアドレスとTwitterIDを書いておくことにしました。お入用の方はご参照ください。

なお、どの作品をポストカードにするかは、まだ決めていません。
以上、お知らせでした~☆

作者より:「三本角の怪物」

読み終わったとき、不思議な余韻が残る感じに仕上げたい。と、思いながら書きました。いかがでしたか?
筋立ては、まあまあ思うように書けたのですが、情景描写がいまひとつ冴えなかった、と反省しています。
またしばらく時間を置いて、振り返って見直して手直しできれば、と思います。

ストーリー的には、ゼラルドか、もしくはフルートでも成り立つお話のように思いつつ、ゼラルドバージョンを採用しました。
冒頭、彼がにべなく断ったという「無理難題」は、そこをふくらませるのも面白そうでしたが、ひとまず読者の皆様の想像にお任せすることにしました。
(なんとなく、色っぽい話のような気がするんだ、私は。でも、違うかもしれない。)
ともかく、様々に言い伝えられていそうなお話、です。

三本角の怪物(02)

「話せるとも。我はその昔、人と親しく暮らしていたのだからな」
 怪物は、ゆっくりと話した。怪物が口を開けるたび、鋭い牙が見え隠れした。
「我は、裏切られたのだ。我は、快適な住まいを与えられるはずであった。だが、実際に与えられたのは、この暗く湿った迷宮であった。どういう魔術なのか、あるいは我が愚かなだけか、ともかく、我はここから出ることが叶わぬ」
「なるほど。では、この迷宮を人が通り抜けることについては、どう思っているのか」
「無事に通り抜けてほしいと願っているとも。その手助けもしよう」
 その言葉を聞いて、迷える人々は、おお、とどよめいた。ゼラルドは冷静に会話を続けた。
「手助けとは」
「天井に穴の開いた場所がある。そこまで案内しよう。地揺れがあったときにできた穴だ。我には届かない高さの、我には小さすぎて通れない穴だが、人の子ならば、我の背に登って脱出できる。今までにも多くの客人を、その穴から見送ったものだ」
 ゼラルドは少し考えて、納得した。今までこの迷宮に入れられた者が逃れ出た試しはないと聞いていたが、怪物が別の秘密の抜け穴から虜囚を逃がし、その穴が別の街につながっているとしたら。虜囚は元の街には戻るまい。話のつじつまは合う。
 怪物は向きを変え、のそり、のそりと歩き始めた。人々はおそるおそる、後に続いた。
 彼らは、またしばらく歩き続けた。小さな子らが、もう歩けないとベソをかくと、怪物は子供たちを背に乗せてくれた。果たして、ようやく怪物が立ち止まったとき、その真上には人ひとりが通れるほどの穴があって、外から光が差し込んでいた。
 怪物は、進んで人間たちの踏み台になった。とらわれた人々は、喜んで怪物の背に登り、次々に穴から外に出て行った。ゼラルドは、怪物の傍らで静かに人々を見守っており、ついに彼ひとりが残されると、怪物が不思議そうに聞いた。
「なぜ、おぬしは登らないのだ」
「最後のひとりを逃がす気はなかろう。気づかぬふりで殺されてやるわけにもいかない」
「・・・」
「その牙は、肉を食らう牙だ。また、食らわねば、生きてはおられまい」
「・・・そのとおりだ。ここには他に食べるものがない」
 怪物は認めた。ゼラルドは、じっと怪物の目を見つめて、言った。
「試してみる気があるなら、私が、そなたを迷宮から出そう。そなたは、現在の領主が他の食べものを差し出すかどうか、見定めたらよいだろう」
 怪物は目玉をギョロギョロと動かして、答えた。
「聞かぬぞ。人間が再び我をだまそうとしても、そうはゆかぬ。逃がすものか」
「そうか」
 怪物は牙の生えた口を大きく開けて迫った。ゼラルドはトンと地を蹴って、術の力でふわりと浮かびあがると、金色の長剣を抜き放ち、怪物の首を一息に切り落とした。
 三本の角を持つ獣の頭が、ごろりと地面に転がった。何かを言おうとするように顎がもぐもぐと動いたが、すぐに動かなくなった。

 その日、迷宮の出口で番兵たちの守る扉から、初めて人が現れた。迷宮を通り抜けた若者は、三本の角がある獣の首を引っさげており、あわてて駆け付けた領主が、
「そんなばかな。あの迷宮の出口は・・・」
と、動転して口走りかけるのへ、物憂げに、
「今日より、あの迷宮には出口がある。迷宮のぬしは、このとおり、もういない」
 そう言って、怪物の首を置いて立ち去った。若者を引き留める者はなかった。
 ――怪物の首は、目を閉じて、笑っているように見えたという。

(完)

三本角の怪物(01)

 地中深くの迷宮には、角の三本ある巨大な怪物が棲むと伝えられた。100年ほどの昔、この迷宮を造って怪物を封じ込めることに成功したのは、当地の領主の先祖だったという。以来、代々の領主の怒りに触れたものは、老いも若きも、この迷宮に送り込まれた。また、貧しさゆえに盗みを働いた孤児や、想う相手と駆け落ちしようとして捕らえられた娘など、哀れな罪人もすべて、怪物への生贄とされた。もし、怪物に捕まることなく出口にたどり着き、外へと逃れ出る者がいるならば、その者は罪を赦されて放免されることとなっているのだが、常に見張りの立つ出口から、生贄が一人でも出て来たことはなく。つまり、まだ怪物は迷宮の奥に生きていて、ささげられる贄たちを貪り食っているのだ。
 ――と、そのような説明を受けて、黒髪の若者が迷宮に閉じ込められたのは、たまたま宿泊先で土地の有力者に目を付けられ、無理難題を持ちかけられて、にべなく断ったからだった。もっとも、呼び集められた衛兵たちは、若者が何かを一言二言つぶやいただけで体が言うことをきかなくなり、縛りあげることはおろか、触れることすらできなかったのだが、若者のほうは、迷宮のことを聞かされると、軽く首をかしげ、「いいだろう」と独り言のように言って、むしろ自ら進んで迷宮へと案内され、閉じ込められるままになったのだった。
 このとき、幾人かの力弱き罪人も、共に迷宮に放り込まれた。それは、領主の不興を買った娘たちや子供たちで、これらの生贄たちは、陽の射さない地下の迷宮の中、頼りないカンテラの灯を掲げて震えた。黒髪の若者――ゼラルドは、彼らを顧みることなく無言で歩き出し、結果、おのずと先導の役割を担うことになった。通路はじめじめしており、よほど地中深くに掘られていると見えて、上方を照らしても闇があるばかり、天井を見定めることはできなかった。
 ゼラルドのあとを歩きながら、生贄たちは、互いに声をかけて励ましあった。半日ばかり、くねくねした道をたどり、時間の感覚をなくしてしまったころ、紛れもない獣のにおいが鼻をつくようになった。やがて、彼らの目の前に立ちはだかったのは、毛の長い大きな獣。
 ゼラルドがカンテラの灯を掲げて、怪物の巨体を映し出すと、後方の女子供は悲鳴をあげた。灯の中には、人間の倍ほども背丈があり、大きな目を爛々と光らせ、頭部に三本の太い角を生やした、四足の怪物がいた。弱きものたちが恐怖に駆られて散り散りに逃げようとする気配を察して、ゼラルドが、
「みな、離れるな!」
と、声を張った直後、別の、くぐもった声が、
「恐れる必要はない・・・」
と言った。しばし、沈黙が落ちた。その声が怪物から発せられたのだと理解した生贄たちが再び騒ぎ出すより前に、ゼラルドは会話を試みていた。
「人語を話せるのか」

予告:「三本角の怪物」

ゼラルドがメインの、短いお話になります。
全1回で終わるか、2回に分けるか、どっちになるかなあ。
こんなに短いのに、なかなか書き終わらず、まったく筆が遅いことです。
でも、自分の気持ちいいペースで書くと決めているので…、
これで良しとさせてくださいconfident

リリースは明後日の月曜日を予定しています。
とはいえ、連休中は用事もあるので、更新日がずれたらご容赦ください~。

進捗状況報告 & トーナメント結果:「髪を編む」

ゼラルドがメインの、短いお話を書こうと思っています。
着手はしているのですが、まだモヤモヤと展開に迷っているので、もう少しお待ちくださいね。

トーナメントのほうは、今回、初戦敗退でした。
というか、いささか場違いなお話を出品したことは自覚していたので、これはこれで。
心づもりとしては、トーナメントから見に来てくださっている方にも、「ささやかな日常のお話」を読んでいただきたかったのです。
この系統のお話も、うちの冒険譚には欠かせない要素だと思っているので…confident
ほっこり感が少しでも伝わっているといいな。

次回のブログ更新では、予告を出せるようにしたいです。
書いては消し、書いては消ししながら、コツコツがんばってますよ~。

ひとやすみ:リアル謎解き迷宮ゲーム~冒険者ギルドの試練~

いま、3DS用ゲーム、「世界樹の迷宮5」を遊んでいます。
これは、自分で地図を作りながら迷宮の探検を進めていくゲーム。
モンスターとの戦闘や、街で受けた依頼をこなすことで、経験を積んでレベルアップ。
迷宮で手に入れたアイテムを街に持ち帰り、ショップで売却すると、新しい武器・防具などが店頭に並びます。
コツコツ地道な遊びが好きなひとには、とても楽しいゲームです。
シリーズはそれぞれ独立したお話なので、興味のある方は今作「5」から遊び始めればよろしいかと。
3DSゲーム「世界樹の迷宮5」の公式サイトは → こちら ですheart04

・・・と、ここまでは、3DSゲームの紹介。
ここからは、リアル謎解きゲームの紹介です。

3DSゲーム「世界樹の迷宮」とコラボして、東京と大阪で、現実に謎解きを楽しむイベントが開催されます。
題して、「リアル謎解き迷宮ゲーム~冒険者ギルドの試練」
公式サイトは → こちら です。
開催期間は、2016/10/15(土)~11/27(日)。
見たところ、初心者でも参加しやすそうなイベントなので、興味のある方は要チェック!
公式サイトには「練習問題」があるので、どんな感じの謎解き(クイズ)なのか、事前にお試しできます。
知らない人と組まないで、個人や仲間同士で参加できるイベントになっていますし、
何より、時間制限がないので、マイペースでゆっくり謎解きできますよ!
前売りチケット(開催期間中有効)は1,200円、当日チケットは1,500円です。

さっそく、前売りチケットを買いました。
参加したら、また感想を記事にしようと思いますnoteshappy01

髪を編む(トーナメント参加用)

 街を案内してくれた娘が、すこし変わった可愛らしい髪型をしていたので、どうやって編んでいるのか教えてもらった。
「そんなこと聞きたがる男の人、初めて会ったわ」
と笑いながら、娘は広場の噴水の前で、うしろを向いて髪を一度ほどき、セレンの目の前で編み直して見せてくれた。
「こうやって、両脇から髪を取ってきて、こんなふうに一度結わえるでしょ。そしたら、ここのおだんごを二つに分けて、ここと、ここをピンで止めて、最後に真ん中をクルッとして、できあがり。わかった?」
「うん。どうもありがとう」
 娘はセレンのほうに向きなおって、興味深そうに、
「自分の髪で編むの?」
「まさか! そんなことしないよ」
「そっか。それじゃ、編んであげたい子がいるんだ」
 娘は笑って、
「でも、ちょっと編んでみたいなあ、あなたの髪」
 セレンの、さらさらした長い月色の髪を、しげしげと眺めて言った。セレンも笑って、
「それなら、三つ編み一本に編んでみる?」
「え、触っていいの?」
「いいよ。はい、お願い」
 セレンがうしろを向くと、娘はそっと彼の髪を手に取って、
「ほんとに、きれいな髪ね」
 ため息をつくように褒めてから、長い三つ編みを編んでくれた。

 翌朝、身支度を整えたあと、セレンは水汲み場で、偶然のような顔をしてフィリシアに会った。フィリシアの、ゆるく波打つ青い髪は、今朝は頭のうしろで、髪留めで留めてあった。
「おはよう、フィリシア」
「おはよう、セレン。どうしたの、機嫌良さそう」
 フィリシアは無邪気に、にこにこ笑う。セレンも笑顔を返して、
「そう? あのね、フィリシア。君の髪、すこし編ませてもらってもいい?」
「何かの練習台? いいわよ。はい、どうぞ」
 フィリシアは後ろを向いて、髪留めを外した。セレンは、昨日教わったとおりに編んだ。大丈夫、上手に編めた。
「できた。どうなっているか、わかる?」
「え、どうなったの?」
 フィリシアは、そうっと手を伸ばして頭の後ろを触った。
「・・・リボンの形? すてき! どうやったの?」
「もう一人のお姫様を呼んでくれたら、編むところを見せられるのだけれど・・・」
「すぐ呼ぶわ! 一緒に来て」
 フィリシアはセレンを連れて宿の部屋に駆け戻り、荷物から宝剣を出した。剣を少しだけ鞘から抜いて、
「ミルガレーテ? 忙しくなかったら、遊びに来てくれる?」
 フィリシアがそっと呼びかけると、ひと呼吸の間を置いたあと、さらさらと時の砂の流れるような不思議な感覚があって、ふわりと≪光り姫≫が姿を現した。金を紡いだような輝く髪に、雪のような白い肌の姫君は、今日は橙色のシフォンのドレスを着ている。
「なあに、フィル。・・・きゃっ」
 セレンがいるのに気付いて、ミルガレーテはフィリシアの後ろに逃げ込んだ。セレンは内心かなり傷ついたが、相手を怯えさせないように微笑して見せた。フィリシアは笑いながら、
「レッティ、見て、私の髪。セレンが編んでくれたの。あなたも編んでもらったらいいわ。どう?」
「え? あ、これ可愛い・・・」
 ミルガレーテは目を丸くして、フィリシアの髪に触れた。それから、そうっとフィリシアの陰からセレンのほうを見て、
「あの・・・セレン? わたくしもお願いして、よろしいでしょうか?」
「もちろん、かまいませんよ、ミルガレーテ」
 おずおずと近づいてきて後ろを向いたミルガレーテの輝く髪を、大事に掬い取って、セレンは同じように編んだ。隣ではフィリシアが、編み方を覚えている。
「はい、できましたよ、お姫様」
「フィルとお揃い?」
「お揃いです」
 ミルガレーテは振り向いて、花が咲くように笑った。
「ありがとう、セレン」
「どういたしまして・・・」
「ね、レッティ、私、編み方を覚えたから、ちょっとほどいて、私に編ませてくれない?」
「いやよ、せっかくセレンが綺麗に編んでくれたのに」
 女の子たちは、そのまま、きゃらきゃらとお喋りを始めるようだったので、セレンは邪魔をしないように、そっと部屋を出た。
 廊下で、フルートとすれ違った。こちらを見て、おや、と眉を上げ、
「何か良いことでもあったのか?」
 笑って尋ねながら、通り過ぎていく。
「うん、ちょっとね」
とだけ、セレンは答えて、その日はずっと、にこにこ上機嫌でいたのだった。

(完)

第20回 自作小説ブログトーナメントに参加しています。約1,710字。
よろしければご感想をお聞かせください♪

作者より:「竜に乗って」

フルートらしい、ルークらしい、軽快なお話を書きたくて(読みたくて)、書いて、満足です。
少年時代の彼が夢みていた、「山を越えて海を越えて、どこまでも行ってみたい」という言葉を、だぶらせて読んでみていただけると、彼の気持ちを少し近くに感じられるかもしれません。

次回の記事は、月例の自作小説トーナメントへの出品になります。
どれを出すかはまだ決めていませんが、フィリシアかセレンのお話を出そうと思います。

その次の更新のことは、まだ何も。
順番からいったら、ゼラルドの番なのかな。
んー、どうしようかな~。

竜に乗って(03)

「おいおい、怖いものしらずだな!」
 ゴウタが呼びかけると、
「手本を見せてもらったのに、怖いはずがあるか」
と、ルークは朗らかに笑う。そんなに簡単なはずはないのだが、とゴウタは苦笑しながら、この頼もしい即席の助っ人に、本来の目的を思い出させることにする。
「さ、目的地に着くぞ! 白い花を探してくれ、ルーク」
 ゴウタが竜の速度を緩めると、ルークの竜もそれにならう。ゴツゴツした山肌に沿って、二頭の竜は、ゆっくりと回りを巡るように飛んだ。
「見つけたら?」
「竜を近くに止めて、花びらだけ採ってくれ。この季節にこの山で咲く白い花は、他にない。細くて小さくて見つけづらい花だが、よろし――」
「よし、下へ。そう、止まれ」
 ゴウタの話が最後まで終わらないうちに、ルークは竜を止めていた。青銅色の翼がバサバサとたたまれて、ルークは鞍に乗ったまま身を乗り出すように、見つけた白い花の花びらを採っている。ありあわせの布を出して包み、ゴウタのほうを見上げ、大声で、
「どれだけ必要なんだ?」
 尋ねて来るので、ゴウタのほうも叫び返す。
「10本分くらいだ。採りすぎないようにな!」
 聞いて、ルークは再び竜を飛び立たせ、少しずつ下に移動しながら、小刻みに竜を止めては、花を探しているようだ。
 ゴウタも1本見つけた。岩の影になる場所に、ひっそりと、山肌にへばりつくようにして咲いている、小さな白い花。よく効く熱さましの薬。竜から下りて花びらを採り、また竜の鞍に戻ったところに、ルークの竜が上がって来た。
「終わったぞ、ゴウタ」
「ええっ」
 耳を疑うゴウタに、ルークは不思議そうな顔をして、
「それとも俺、間違えたか? 確認してくれ」
 布の包みを放り投げて来るので、ゴウタは受け止めて、そっと中を覗いた。間違いない。小さな花びら、10本分。
「合ってる。すげえな、ルーク。じゃあ、せっかくだから、山の頂上に降りてみるか?」
「ああ!」
 二人は上昇し、山頂近くに竜を止めた。ルークは、竜を降りると頂上に駆け上がり、ぐるりを見渡して、ひゅうっと口笛を吹いた。嬉しそうに遠くを見て、指さした。
「海が見える!」
「ああ。たまに、あの海の上を飛ぶこともあるんだぜ」
「いいなあ!」
「何人かで隊を組んで、港に寄りながら、行き帰りでひと月くらいの旅をするんだ。今度、連れて行ってやろうか?」
 こぼれた言葉に、ゴウタは自分でびっくりした。ついさっき会ったばかりの余所者だぞ?
 ルークは、海に向けていた視線を、傍らのゴウタに移した。きらきらする目で、笑った。
「俺が二人いたら、一人は喜んで連れてってもらったな!」
「?」
「でも、俺は一人しかいないからさ。残念だ」
 二人は竜の背に戻り、飛び立った。翼を並べるようにして、ルークのいた草原に戻った。
「じゃあな、ルーク。おかげで助かった。ありがとな!」
「こっちこそ、すごく面白かった。ありがとう」
 ルークは竜を降り、青銅色の鱗を撫ぜてから、白馬の傍らへ。
 ゴウタと竜たちは飛び立って、やがてその後ろ姿は遠ざかり、見えなくなった。
 白馬はブルルと鼻を鳴らした。
「そうだな、帰ろう」
 そう言って、鞍に乗ったルークは、もはや「ルーク」ではない。
「すぐ戻ると言ったのに、遅くなった。セレンに叱られるぞ」
 笑いながら、金髪の王子は、愛馬の脇腹をトンと蹴って、草の海に馬を走らせる。
 旅の仲間たちのもとへと。

(完)

竜に乗って(02)

「ああ、乗せてやるよ。あんたさえ良ければ、1頭任せてやる」
「やった!」
 ルークの弾けるような笑顔につられて、竜の乗り手も笑いながら、念を押すように、
「ただ、その立派な白馬を繋いでおけそうな場所がないけどな。問題ないか?」
「馬を食らう竜でも住んでいない限り、自由に遊ばせておくさ」
「そんな大型竜はこの辺にいないな。でも、繋がずに逃げられても、俺のせいにするなよ?」
「ああ」
 ルークの明るい青い瞳を、しっかりと見つめ返して、竜の乗り手はうなずいた。
「よし、きまりだ。俺はゴウタ」
「俺はルーク」
「よろしくな、ルーク! じゃ、ちょっとだけ待ってくれ」
 竜の首をさわって、一言二言、何か命じるような語気で話しかけると、赤銅色の竜は甲高い声で、ギイイ、と鳴いた。
 呼応するように。前方の岩山から、またしても飛び立ったものがあり、みるみるうちに近づいて来て、風を巻き起こすように着地したところを見れば、こちらは青銅色をした、同じくらいの大きさの竜なのだった。ゴウタは自分の竜からいったん下りて、背負い袋の中から予備の鞍を取り出し、青銅色の竜にしっかりと括り付けた。
「ほらよ、ルーク。乗ってみろよ」
 ルークは白馬から飛び降りて、おそれげなく竜に近づき、しげしげと眺め、竜の首の鱗など撫でてみてから、トンと地を蹴って飛び乗った。
「そう、それでいい。馬と同じさ」
 ゴウタは軽く言って、自分も竜の背に戻った。
「いくらかは言葉も通じるしな。右、左、上、下、進め、止まれ。簡単だろ? あとは、ともかく、落ちなければいいんだ」
「了解!」
 ルークは楽しそうだ。ゴウタは、はは、と笑った。
「じゃあ、出発だ!」
 ゴウタが竜の脇腹を軽く蹴ると、赤銅色の竜はバサリと翼を広げる。ルークも真似をして、二頭の竜は一緒に飛び立った。心なしか恨めしそうな顔で見上げる白馬に、ルークは「また、あとで」と声をかけた。赤銅色の竜が上昇すると、青銅色の竜も、後を追って上昇した。
「すごいな!」
と、ルークが声を弾ませる。
「ゴウタ、もしかして、宙返りは?」
 ゴウタは返事の代わりに、ひゅるる、と口笛を吹いた。赤銅色の竜はゴウタを乗せたままクルリと一回転した。へへ、と自慢げにルークを振り返ったゴウタは、ルークが同じように口笛を吹いたので、目を丸くした。青銅色の竜は、ルークを乗せたままクルリと一回転!

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