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髪を編む(トーナメント参加用)

 街を案内してくれた娘が、すこし変わった可愛らしい髪型をしていたので、どうやって編んでいるのか教えてもらった。
「そんなこと聞きたがる男の人、初めて会ったわ」
と笑いながら、娘は広場の噴水の前で、うしろを向いて髪を一度ほどき、セレンの目の前で編み直して見せてくれた。
「こうやって、両脇から髪を取ってきて、こんなふうに一度結わえるでしょ。そしたら、ここのおだんごを二つに分けて、ここと、ここをピンで止めて、最後に真ん中をクルッとして、できあがり。わかった?」
「うん。どうもありがとう」
 娘はセレンのほうに向きなおって、興味深そうに、
「自分の髪で編むの?」
「まさか! そんなことしないよ」
「そっか。それじゃ、編んであげたい子がいるんだ」
 娘は笑って、
「でも、ちょっと編んでみたいなあ、あなたの髪」
 セレンの、さらさらした長い月色の髪を、しげしげと眺めて言った。セレンも笑って、
「それなら、三つ編み一本に編んでみる?」
「え、触っていいの?」
「いいよ。はい、お願い」
 セレンがうしろを向くと、娘はそっと彼の髪を手に取って、
「ほんとに、きれいな髪ね」
 ため息をつくように褒めてから、長い三つ編みを編んでくれた。

 翌朝、身支度を整えたあと、セレンは水汲み場で、偶然のような顔をしてフィリシアに会った。フィリシアの、ゆるく波打つ青い髪は、今朝は頭のうしろで、髪留めで留めてあった。
「おはよう、フィリシア」
「おはよう、セレン。どうしたの、機嫌良さそう」
 フィリシアは無邪気に、にこにこ笑う。セレンも笑顔を返して、
「そう? あのね、フィリシア。君の髪、すこし編ませてもらってもいい?」
「何かの練習台? いいわよ。はい、どうぞ」
 フィリシアは後ろを向いて、髪留めを外した。セレンは、昨日教わったとおりに編んだ。大丈夫、上手に編めた。
「できた。どうなっているか、わかる?」
「え、どうなったの?」
 フィリシアは、そうっと手を伸ばして頭の後ろを触った。
「・・・リボンの形? すてき! どうやったの?」
「もう一人のお姫様を呼んでくれたら、編むところを見せられるのだけれど・・・」
「すぐ呼ぶわ! 一緒に来て」
 フィリシアはセレンを連れて宿の部屋に駆け戻り、荷物から宝剣を出した。剣を少しだけ鞘から抜いて、
「ミルガレーテ? 忙しくなかったら、遊びに来てくれる?」
 フィリシアがそっと呼びかけると、ひと呼吸の間を置いたあと、さらさらと時の砂の流れるような不思議な感覚があって、ふわりと≪光り姫≫が姿を現した。金を紡いだような輝く髪に、雪のような白い肌の姫君は、今日は橙色のシフォンのドレスを着ている。
「なあに、フィル。・・・きゃっ」
 セレンがいるのに気付いて、ミルガレーテはフィリシアの後ろに逃げ込んだ。セレンは内心かなり傷ついたが、相手を怯えさせないように微笑して見せた。フィリシアは笑いながら、
「レッティ、見て、私の髪。セレンが編んでくれたの。あなたも編んでもらったらいいわ。どう?」
「え? あ、これ可愛い・・・」
 ミルガレーテは目を丸くして、フィリシアの髪に触れた。それから、そうっとフィリシアの陰からセレンのほうを見て、
「あの・・・セレン? わたくしもお願いして、よろしいでしょうか?」
「もちろん、かまいませんよ、ミルガレーテ」
 おずおずと近づいてきて後ろを向いたミルガレーテの輝く髪を、大事に掬い取って、セレンは同じように編んだ。隣ではフィリシアが、編み方を覚えている。
「はい、できましたよ、お姫様」
「フィルとお揃い?」
「お揃いです」
 ミルガレーテは振り向いて、花が咲くように笑った。
「ありがとう、セレン」
「どういたしまして・・・」
「ね、レッティ、私、編み方を覚えたから、ちょっとほどいて、私に編ませてくれない?」
「いやよ、せっかくセレンが綺麗に編んでくれたのに」
 女の子たちは、そのまま、きゃらきゃらとお喋りを始めるようだったので、セレンは邪魔をしないように、そっと部屋を出た。
 廊下で、フルートとすれ違った。こちらを見て、おや、と眉を上げ、
「何か良いことでもあったのか?」
 笑って尋ねながら、通り過ぎていく。
「うん、ちょっとね」
とだけ、セレンは答えて、その日はずっと、にこにこ上機嫌でいたのだった。

(完)

第20回 自作小説ブログトーナメントに参加しています。約1,710字。
よろしければご感想をお聞かせください♪

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コメント

カワイイお話ですね
髪を編むセレンが見えますhappy01
いいなあ・・・。

kayokoさん、
コメントありがとうございます♪

おお、セレンの姿が見えますか、嬉しいです!
このお話の時点では、彼がミルガレーテを想っていることについて、まだフィリシアあたりは気づいていないんですよ~。

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