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冬の森、ひとやすみ(01)

 解呪の聖泉<真実の鏡>は、大陸の北東の果てにあり、雪深い冬の晴れた日に、数日間だけ、その神秘の力を発現するのだという。したがって、聖泉を目指す一行は、ついに訪れた冬の中を、寒さに耐えて、北へ、北へと進んでいる。
 今日は、どんより曇った空のもと、冬枯れして寂しい森を通り抜けているところだ。しっかり踏み固められている道があるので、迷う心配は全くないが、とにかく寒い。いまにも雪が降ってきそうだ――などと、言葉にしたら現実になってしまいそうで、誰も口には出さず、黙々と馬を進めた。
 昼を少し回った頃、つめたい小川の流れる近くで、休憩を取ることにした。地味ながら仕立てのよい灰色の外套にくるまったフィリシアは、助けられて馬から下りると、お守り代わりの宝剣を少しだけ鞘から引き出して、呼びかけた。
「ミルガレーテ、よかったら一緒に休憩しない?」
 少し待つと、ふわりと<光り姫>が姿を現した。落ち着いた薔薇色の厚手のドレスに、おそろいのケープを羽織った上から、金色に輝く豊かな髪がゆるく波打っている。
 セレンは、現れ出でた姫君のいでたちを見て、心配そうな顔をした。
「寒くはありませんか、ミルガレーテ」
 そう尋ねると、<光り姫>はきらきらと微笑んで、
「大丈夫よ。私、暑いとか、寒いとか、それほど感じないの」
「少しでも、あなたが寒かったらと思うと、ぼくの気が休まりません」
 言いながら、セレンは自分の着ている青い外套を脱いだ。
「いやでなければ、どうぞ、使ってください」
「え・・・、そうしたらあなたが寒いでしょう?」
「気にしないで。それとも、ぼくが袖を通していたものでは、お気に召さない、かな・・・」
 セレンの声が憂いを帯びたためか、ミルガレーテは差し出された外套を受け取った。華奢な体の上に着込むと、袖も余るし、丈も余るが、
「ありがとう、とてもあたたかい・・・」
 ミルガレーテはしみじみ言って、セレンが急いで広げた敷物の上に、ふんわり座った。それが合図になったかのように、皆も思い思いの場所に席を取った。フィリシアは、ミルガレーテのすぐ隣に。セレンは、姫君たちと会話のしやすいあたりに。フルートは、近くの木から張り出した根に腰かけており、ゼラルドは少し離れた木の陰に座っている。
 宿を発つときに調達した、パンやベーコンやチーズで食事にした。ミルガレーテだけは、例によって果物しか食べたがらなかったので、おやつ用のりんごをセレンが切り分けた。姫君ふたりに渡したぶんには、うさぎの耳の形をした皮が残してあって、姫君たちを喜ばせた。
 幸せそうにシャクシャクとリンゴをかじるミルガレーテを、セレンはうっとりと眺めて、
「それほど美味しそうに食べるなら、ぼくのぶんもあげようか」
と言ったが、ミルガレーテはにっこり笑って、
「いいえ、いいの。ありがとう。美味しいものは、みんなで食べるほうが嬉しいの」

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