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冬の森、ひとやすみ(02)

「そう・・・そうだね。リンゴひとつだけでなく、もっと果物があれば良かったのにね」
 セレンが残念そうに言って、ミルガレーテはリンゴを食べ終え、ふと、誰かに呼ばれたかのように小川のほうを振り返った。どうしたの、とフィリシアが尋ねると、
「森の精霊が、私に・・・」
 言いながら立ち上がり、両手を小川のほうへと差し出した。ほどなく、空中から、ころん、ころんと、いくつかの赤い果実がこぼれて、<光り姫>の手のひらに乗った。
「ありがとう!」
 ミルガレーテは笑顔で礼を言い、彼女にしか見えていない精霊が立ち去るのを見送った。視線を戻せば、赤く熟れたスモモが、ちょうど5個、白い手のひらに乗っているのだった。
 外套を引きずってしまうミルガレーテの代わりに、フィリシアがスモモを配った。みんなで、季節外れのスモモを食べた。ミルガレーテの口元に赤い果汁が残ったのを見て、セレンは手を伸ばし、姫君の口元を指でぬぐって、その指をぺろりとなめた。ミルガレーテは、きょとんとした顔をしてセレンを見たが、すぐに、くすっと笑って、
「あなたもね、セレン」
 やさしい手を伸ばして、セレンの口元を指でぬぐい、その指をぺろっとなめた。
 セレンは驚いたが、同じくらいにフィリシアも驚いた。
「ね、レッティ。もしかして・・・もしかして、セレンのことが好き?」
「好きよ」
「ええとね、どういうふうに好き?」
「どういうふうって? フィルがセレンを好きなように、私もセレンが好きよ」
 ミルガレーテがそう言ったのと同時に、金髪の王子が「えっ」と言ってフィリシアを見た。黒髪の王子も、木の陰から顔を出して、フィリシアのほうを窺がった。そのフィリシアは、
「そう・・・そうよね、そういう意味よね」
と、ひとりで得心したあと、周りの視線に気づいた。
「・・・え? ・・・ええっ? ち、違うわ。そういう意味って、そうではなくて。お友達というか、仲間というか、そういう意味で。セレンのことも、フルートのことも、ゼラルドのことも、もちろんレッティのことも、みんな大切で、みんな好き・・・大好きだから」
 言ってから、ぽうっと赤くなった。
 しばらく、あいまいな沈黙が落ちて、それからゼラルドが、ためらいがちに、
「フルート?」
と、促すように声をかけた。金髪の王子は、はっと我に返った。
「ああ、そろそろ出かけようか」
「いや、そうじゃなくてさ」
と言ったのはセレンだった。ゼラルドも、憐れむような顔をした。が、当のフィリシアが、
「そうね、行きましょうよ」
 ほっとしたように言ったので、なんとなく「まあいいか」という空気になった。
 <光り姫>は、外套を脱ぎ、「ありがとう」とセレンに返した。セレンは、うやうやしく受け取って、姫君のぬくもりの残る外套を着こんだ。
 <光り姫>が姿を消し、一行は馬上に戻って、旅を続ける。
 解呪の聖泉を目指して。

(完)

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