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2016年11月

忘れられた町(01)

 陽が射したり翳ったりしている寒い日の午後、馬をあやつって4人の旅人が森をくぐり抜けると、視界が開けた先に、町らしきものが見えた。
「おかしいな」
と言って、先頭にいたフルートは、一行に止まるように合図した。すぐ後ろにいたセレンが、友の疑問に応じるように、地図を取り出して確認した。
「そうだね、ぼくたちの地図には載っていないようだ」
 月色の長い髪が風に舞わぬように押さえながら、
「でも、道は合っているようだよ。つまり、今日の目的地はこの先だ。静かに通り過ぎよう」
「そうだな」
と、フルートは同意した。それで、旅人たちは再び馬を歩ませて、まっすぐに進んだ。

 町の入口を示すアーチ型の門に近づいてみると、門の最上部に掲げられている町の名前は、風雨にさらされて読めなくなっている。番人もいない。
 馬のままで門をくぐると、入ってすぐのところは、井戸のある広場だった。人の姿はない。そこから石畳の道が続き、通りに沿ってぽつぽつと家が並んでいるが、やはり人の気配はなく、しんと静まり返っている。
「静かすぎる」
 眉をひそめてフルートがそう言ったとき、
「見て、あそこに男の子が――」
と、フィリシアが言いかけて、声をのんだ。フィリシアの示す方向を見て、他の者たちも気づいた。その「男の子」は、走っている途中のような姿勢のまま彫像のごとく固まっており、ぴくりとも動かなかった。
「変だわ・・・、あのかっこうで止まっていられるはずがないのに」
 姫君が馬から降りようとするのを、ゼラルドが呼び止めた。
「フィリシア。むやみに近づかないほうがいい」
「でも、どうしてあの子が」
「よく周りをごらん」
「え・・・」
 青い髪の姫君は、言われたとおりに観察し、状況を理解して青ざめた。よく見れば、固まっているのは少年一人ではなかった。その向こうの家の玄関前に立っている女性や、道端に座っている犬や、家の屋根に止まっている鳥までもが、作り物のように、動かない。――それでは、町を訪れた何らかの災難は、旅する彼らの上にも降りかかって来るだろうか?
 フルートが、静かに言った。
「急いで通り過ぎてしまおう。もし、この町に対して何かできることがあるとしても、それを考えるのは、無事に通り抜けたあとだ」

予告:「忘れられた町」

静かなお話を書こうと思って、書き始めました。
最後まで静かなお話なのか、それとも後半は動くのか、まだ決めかねていますが…。
全2回だと思います。冬のお話です。
顔ぶれは、ミルガレーテを除いたメンバ4人が揃っています。
そんな感じで、どうぞよろしくお願いいたします。

試し読み用 目次

ブログ連載小説って、読みづらいのですよね。
でも、試しに少し読んでみようかな、と思われた方に、できれば読みやすく読んでいただきたくて、この目次を作りました。

下に挙げる中から、気になるものをお読みいただけたらいいな、と思います。
雰囲気が少しずつ違いますので、できれば二つくらい、どうぞ。
お気に召したものがありましたら、ご感想をいただけたら嬉しいと思いますconfidentheart04

プロローグは、こちらのお話。(2回分をまとめました。)
clover 始まりの物語

王子と王女の、旅の1ページ。(2回分をまとめました。)
clover 風の贈りもの

主人公格の4人が揃っているときの旅の様子。(8回分をまとめました。)
clover 火の鳥

フィリシア姫がメインのお話なら、これとか。(3回分をまとめました。)
clover お姫様と猫

評判が良かったお話。フルートとセレンの少年時代。(6回分をまとめました。)
clover 跳ぶ

ゼラルドに興味があるかたは、このあたりも。(2回分をまとめました。)
clover 泥より出でしもの

準主人公の<光り姫>のことも、ご紹介を。(3回分をまとめました。)
clover 風に揺れる花の中で

こんな感じで一通り試し読みして、もしフィーリングに合うようでしたら、あらためてサイトの中を探索して、他のお話もお試しください。
本来の目次は、お話を発表順に並べてあるので、最初のほうなどは非常に拙くて、恥ずかしいのですけれども…。
お話の発表順と、お話の中の出来事の順番は、あまり関係がなくバラバラなので、気になるものから読んでいただければと思います。

通常版の目次は、こちらになります → 目次(1回刻みにリンク)
読む順番に困ったときなどは、コメント欄などでご相談いただければご案内いたしますので、お気軽にお声がけください。

ひとつでも、ふたつでも、お気に召す物語がありますように。

ひとやすみ:第10回東京蚤の市

全国各地のお店が集結する「東京蚤の市」に、初めて行って来ました。
(ちなみに来月は「関西蚤の市」があるよ。先月は「東海蚤の市」もあったみたい。)

会場が広くて、たくさんお店が出ていて、いろんなものが売られていて、お客さんも賑わっていて、面白かったです。
品物の写真をどれくらい撮っていいのかよくわからなくて、撮って来なかったのだけれど…、
鳥の形をした笛とか、
アンティークのシルバーチャームとか、
小さなお皿とか、
古びたトランクとか、
昭和を感じさせる道具とか、
古書や古着もいっぱい。
見ているだけでも楽しかったです。
一緒に行った友達は、カゴを買っていました。

休憩のときに「北欧市」コーナーで買ったメープルワッフルとコーヒーも、風味が良くて美味しかったよ。

Photo

「東京蚤の市」は2日間の開催で、今日(2016/11/20)もやっています。
最寄駅は「京王多摩川」、改札は「臨時口」。入場料は500円。
公式ホームページには、出店しているお店の情報もあります → こちら
ご興味ある方は、ぶらぶら散歩のつもりで、でも念のためお財布にお金を入れて、お出かけくださいhappy01

進捗状況報告(2016/11/17)&トーナメント結果「竜に乗って」

最新作の「冬の森、ひとやすみ」が、まさかの恋バナ回(と、呼べるかどうかは微妙だけれども)だったので、さて次は何を書こうかしらん。
しーんと静かなお話、とか、書いてみたいな…。全員そろっているのがいいかも…。

「竜に乗って」を出品したトーナメントは、今回は参加者が非常に少なくて4人しかいなかったのですが、初戦敗退しました。
アクセスログを見る限り、中身を読まずに投票している人も多かったようで、いまいち盛り上がりに欠けた回だった模様です。
トーナメント、面白いイベントだと思うのに、なかなか流行らないなあ。残念。

週末は、「東京蚤の市」に遊びに行きたいと思っています。
創作がなかなか進まなくて、すみませんsweat01
(平日は、残業して帰宅して、ごはん食べて寝てしまうし…。
読書もテレビもゲームも、なかなか時間がとれませんweep

ひとやすみ:地下謎への招待状2016!

ちょっと前の休日に、友達と、「地下謎への招待状2016」を遊びに行ってきました。
東京メトロ24時間乗り放題券がセットされた謎解きキットを買って、いざ出発!
最後まで解いて、夕方、無事に正解に辿り着きました。
難易度的には、全体に、去年より少ーし簡単になったかも?

でも、どの謎も洗練されていて、解いて楽しい謎ばかりでした。面白かったnote
友達と私は、途中、謎解きから脱線して、「マリー・アントワネット展」を見たり、のんびりお昼を食べたりしたので、それらの時間を差し引くと、所要時間は5時間くらいだったかな。

謎の難易度と楽しさから考えて、謎解き初級者~中級者に、強くおすすめしたいです。
上級者用の謎解きイベントと違って、時間に追われまくることもないし、知らない人と組む必要もないし。
仲良しと一緒に参加して、助け合いながら、ひらめきの楽しさを存分に味わっていただきたいです!happy01flair

ホシノココさんの個展に行ってきたよ♪

福島県郡山市のギャラリー喫茶ポプラさんで開催されていた、ホシノココさんの個展に、最終日に行って来ました。
ココログ仲間のホシノさんに実際にお会いするのは初めてでしたが、思い描いていたとおりの、優しい素敵な方でしたlovely

会場の雰囲気も、親しみやすくて、あたたかくて。BGMに、モーツァルトのピアノ曲がかかっていました。
原画やポストカードがたくさん置いてあって、ゆっくり拝見しました。
幻想的な青い絵や、かわいらしい猫の絵や、やさしい花の絵や、すがすがしい風景画など…。
なかでも、私が一番好きだったのは、「白い馬」という絵でした。もうお譲り先が決まっているとのことで、その前に原画を見ることができて良かった! 迷わずポストカードをお迎えしました。

「白い馬」

郡山は少し遠かったけれど、夫も一緒に行ってくれたので退屈しなかったし、ホシノさんご夫妻とお話しできて、魅力的な絵をたくさん見られて、アットホームな雰囲気でランチもいただけて、楽しい時間を過ごすことができましたshine
絵って、いいですね。これからもホシノさんを応援します!happy01

竜に乗って(トーナメント参加用)

 走りたがる愛馬を、望むとおりに走らせてやって、草原の真ん中を人馬一体、風になった気持ちで進みゆく。久しぶりに駆け抜けがいのある、広い広い草の海だ。
 とはいえ、どのような海にも、果てはある。緑の絨毯が尽きて岩地へと変わり始めるあたりで、白馬は速度をゆるめ、やがて止まった。
「気が済んだら、帰るぞ」
と、金髪の王子は、鞍の上から馬に声をかける。白馬はブルルと鼻を鳴らす。
 王子は、行く手にそびえ立つ岩山を見やった。
「皆の進路は、こちらを避けて正解だったな。あの岩山を登れる馬は、きっとおまえくらいだ」
 そう言ったとき、視線の先で、岩山の中腹から何か大きなものが飛び立つのが見えた。それは、内陸ではあまり見かけることのなかった生きもの。
「竜までいるのか」
 翼を広げた赤銅色の竜は、どうやら人を乗せているようだったが、羽ばたきながら、どんどんこちらに近づいてくる。
 白馬が神経質に足踏みするのを、どう、どう、と鎮めながら眺めていると、竜は白馬のすぐ横を、かすめるように飛び過ぎて行った。すれ違う一瞬、竜に乗っている若者と、馬上の王子の、視線が合った。
 すると、一度はすれ違ったものの、竜は方向を変え、舞い戻って来た。落ち着かなげな馬の隣に、向きをそろえてバサバサと着地してみれば、竜と馬の大きさは似通っており、乗り手の視線も自然にぶつかる高さだ。竜の乗り手は、栗色の髪をした若者で、こちらを強く見据えており、口をひらいた。
「おい、あんた」
「何だい」
「今、すれちがったとき、俺と目が合ったよな。そいで、俺がもし通りすがりに襲いかかったら、返り討ちにする気だったよな」
「すまない」
と言いながら、王子は――というより、身分を伏せて「ルーク」は――肩をすくめる。
 竜の乗り手は、いくらか慌てたようだった。
「ああ、いや、それを咎めようというわけじゃないんだ。ただ、よそから来た奴なのに、竜の飛ぶ速さを見切っていたから、ちょっとびっくりしてさ」
「ふうん?」
「それで、目がいいところを見込んで、頼んでみる気になった。いやなら断ってくれていいんだけどよ。実は、あの岩山で薬草を探してるんだが、いつも二人で組んでいる相棒がいなくて、難儀してるんだ。あんた、小一時間ばかり、手伝ってくれる気はないか」
「竜に乗せてもらえるなら、いいぜ」
と、ルークは、興味津々に青い瞳をきらめかせて、請け合った。
「ああ、乗せてやるよ。あんたさえ良ければ、1頭任せてやる」
「やった!」
 ルークの弾けるような笑顔につられて、竜の乗り手も笑いながら、念を押すように、
「ただ、その立派な白馬を繋いでおけそうな場所がないけどな。問題ないか?」
「馬を食らう竜でも住んでいない限り、自由に遊ばせておくさ」
「そんな大型竜はこの辺にいないが、繋がずに逃げられても、俺のせいにするなよ?」
「ああ」
 ルークの明るい青い瞳を、しっかりと見つめ返して、竜の乗り手はうなずいた。
「よし、きまりだ。俺はゴウタ」
「俺はルーク」
「よろしくな、ルーク! じゃ、ちょっとだけ待ってくれ」
 竜の首をさわって、一言二言、何か命じるような語気で話しかけると、赤銅色の竜は甲高い声で、ギイイ、と鳴いた。
 呼応するように。前方の岩山から、またしても飛び立ったものがあり、みるみるうちに近づいて来て、風を巻き起こすように着地したところを見れば、こちらは青銅色をした、同じくらいの大きさの竜なのだった。ゴウタは自分の竜からいったん下りて、背負い袋の中から予備の鞍を取り出し、青銅色の竜にしっかりと括り付けた。
「ほらよ、ルーク。乗ってみろよ」
 ルークは白馬から飛び降りて、おそれげなく竜に近づき、しげしげと眺め、竜の首の鱗など撫でてみてから、トンと地を蹴って飛び乗った。
「そう、それでいい。馬と同じさ」
 ゴウタは軽く言って、自分も竜の背に戻った。
「いくらかは言葉も通じるしな。右、左、上、下、進め、止まれ。簡単だろ? あとは、ともかく、落ちなければいいんだ」
「了解!」
 ルークは楽しそうだ。ゴウタは、はは、と笑った。
「じゃあ、出発だ!」
 ゴウタが竜の脇腹を軽く蹴ると、赤銅色の竜はバサリと翼を広げる。ルークも真似をして、二頭の竜は一緒に飛び立った。心なしか恨めしそうな顔で見上げる白馬に、ルークは「また、あとで」と声をかけた。赤銅色の竜が上昇すると、青銅色の竜も、後を追って上昇した。
「すごいな!」
と、ルークが声を弾ませる。
「ゴウタ、もしかして、宙返りは?」
 ゴウタは返事の代わりに、ひゅるる、と口笛を吹いた。赤銅色の竜はゴウタを乗せたままクルリと一回転した。へへ、と自慢げにルークを振り返ったゴウタは、ルークが同じように口笛を吹いたので、目を丸くした。青銅色の竜は、ルークを乗せたままクルリと一回転!
「おいおい、怖いものしらずだな!」
 ゴウタが呼びかけると、
「手本を見せてもらったのに、怖いはずがあるか」
と、ルークは朗らかに笑う。そんなに簡単なはずはないのだが、とゴウタは苦笑しながら、この頼もしい即席の助っ人に、本来の目的を思い出させることにする。
「さ、目的地に着くぞ! 白い花を探してくれ、ルーク」
 ゴウタが竜の速度を緩めると、ルークの竜もそれにならう。ゴツゴツした山肌に沿って、二頭の竜は、ゆっくりと回りを巡るように飛んだ。
「見つけたら?」
「竜を近くに止めて、花びらだけ採ってくれ。この季節にこの山で咲く白い花は、他にない。細くて小さくて見つけづらい花だが、よろし――」
「よし、下へ。そう、止まれ」
 ゴウタの話が最後まで終わらないうちに、ルークは竜を止めていた。青銅色の翼がバサバサとたたまれて、ルークは鞍に乗ったまま身を乗り出すように、見つけた白い花の花びらを採っている。ありあわせの布を出して包み、ゴウタのほうを見上げ、大声で、
「どれだけ必要なんだ?」
 尋ねて来るので、ゴウタのほうも叫び返す。
「10本分くらいだ。採りすぎないようにな!」
 聞いて、ルークは再び竜を飛び立たせ、少しずつ下に移動しながら、小刻みに竜を止めては、花を探しているようだ。
 ゴウタも1本見つけた。岩の影になる場所に、ひっそりと、山肌にへばりつくようにして咲いている、小さな白い花。よく効く熱さましの薬。竜から下りて花びらを採り、また竜の鞍に戻ったところに、ルークの竜が上がって来た。
「終わったぞ、ゴウタ」
「ええっ」
 耳を疑うゴウタに、ルークは不思議そうな顔をして、
「それとも俺、間違えたか? 確認してくれ」
 布の包みを放り投げて来るので、ゴウタは受け止めて、そっと中を覗いた。間違いない。小さな花びら、10本分。
「合ってる。すげえな、ルーク。じゃあ、せっかくだから、山の頂上に降りてみるか?」
「ああ!」
 二人は上昇し、山頂近くに竜を止めた。ルークは、竜を降りると頂上に駆け上がり、ぐるりを見渡して、ひゅうっと口笛を吹いた。嬉しそうに遠くを見て、指さした。
「海が見える!」
「ああ。たまに、あの海の上を飛ぶこともあるんだぜ」
「いいなあ!」
「何人かで隊を組んで、港に寄りながら、行き帰りでひと月くらいの旅をするんだ。今度、連れて行ってやろうか?」
 こぼれた言葉に、ゴウタは自分でびっくりした。ついさっき会ったばかりの余所者だぞ?
 ルークは、海に向けていた視線を、傍らのゴウタに移した。きらきらする目で、笑った。
「俺が二人いたら、一人は喜んで連れてってもらったな!」
「?」
「でも、俺は一人しかいないからさ。残念だ」
 二人は竜の背に戻り、飛び立った。翼を並べるようにして、ルークのいた草原に戻った。
「じゃあな、ルーク。おかげで助かった。ありがとな!」
「こっちこそ、すごく面白かった。ありがとう」
 ルークは竜を降り、青銅色の鱗を撫ぜてから、白馬の傍らへ。
 ゴウタと竜たちは飛び立って、やがてその後ろ姿は遠ざかり、見えなくなった。
 白馬はブルルと鼻を鳴らした。
「そうだな、帰ろう」
 そう言って、鞍に乗ったルークは、もはや「ルーク」ではない。
「すぐ戻ると言ったのに、遅くなった。セレンに叱られるぞ」
 笑いながら、金髪の王子は、愛馬の脇腹をトンと蹴って、草の海に馬を走らせる。
 旅の仲間たちのもとへと。

(完)

約3,300字。第22回 自作小説ブログトーナメントに参加しています。
よろしければ、ご感想をお聞かせいただけたら嬉しいです。

ひとやすみ:ホシノココさんの個展に行くよ♪

ココログ仲間で、画家のホシノココさんが、福島県郡山市で個展を開催中です。
なんとか都合をつけて、会期中に見に行くんだ!(11/12までです。)

ホシノさんのブログの関連記事は こちら

個展会場であるギャラリー喫茶ポプラさんのホームページは こちら

福島民友社さんの新聞には、「幻想的なアクリル画」として、カラー写真で記事が載ったそう。

ホシノさんの絵を生で見るのは初めてなので、とても楽しみです!happy01heart04

作者より:「冬の森、ひとやすみ」

ざっと書いて2ページと半分になったものを、2ページに切り詰めるか、増やして3ページにするか、どちらにするか迷いながらあれこれするうち、2ページに切り詰める結果となりました。
ふだんは増やす方向に修正することが多いのですが、今回のお話は雑談回、と思ったのが影響したようです。
どうかなあ、少し切り詰めすぎたかなあ。もともと余白多めのお話作りをしているので、切り詰めすぎると、「あらすじ書きました」みたいな硬さになっちゃうのですよね…。
書いた直後はあまり客観的に見られないので、また日を置いて見直してみようと思います。

蓋を開けてみれば、セレンとミルガレーテ中心の話になりました。でも、みんないるよ、と思いながら書いたお話です。
フルートとゼラルドは、今回セリフが少ないですが、「いる」と「いない」では大違い、と作者は思っています。そのへんの空気感、うまく伝えることができていれば良いのですが。

次の作品は、順番で行くとフィリシアの話になるのかな。でも変わるかも。
月例のブログ村自作小説トーナメントは、「竜に乗って」か「三本角の怪物」の、どちらかを出品しようと思います。

冬の森、ひとやすみ(02)

「そう・・・そうだね。リンゴひとつだけでなく、もっと果物があれば良かったのにね」
 セレンが残念そうに言って、ミルガレーテはリンゴを食べ終え、ふと、誰かに呼ばれたかのように小川のほうを振り返った。どうしたの、とフィリシアが尋ねると、
「森の精霊が、私に・・・」
 言いながら立ち上がり、両手を小川のほうへと差し出した。ほどなく、空中から、ころん、ころんと、いくつかの赤い果実がこぼれて、<光り姫>の手のひらに乗った。
「ありがとう!」
 ミルガレーテは笑顔で礼を言い、彼女にしか見えていない精霊が立ち去るのを見送った。視線を戻せば、赤く熟れたスモモが、ちょうど5個、白い手のひらに乗っているのだった。
 外套を引きずってしまうミルガレーテの代わりに、フィリシアがスモモを配った。みんなで、季節外れのスモモを食べた。ミルガレーテの口元に赤い果汁が残ったのを見て、セレンは手を伸ばし、姫君の口元を指でぬぐって、その指をぺろりとなめた。ミルガレーテは、きょとんとした顔をしてセレンを見たが、すぐに、くすっと笑って、
「あなたもね、セレン」
 やさしい手を伸ばして、セレンの口元を指でぬぐい、その指をぺろっとなめた。
 セレンは驚いたが、同じくらいにフィリシアも驚いた。
「ね、レッティ。もしかして・・・もしかして、セレンのことが好き?」
「好きよ」
「ええとね、どういうふうに好き?」
「どういうふうって? フィルがセレンを好きなように、私もセレンが好きよ」
 ミルガレーテがそう言ったのと同時に、金髪の王子が「えっ」と言ってフィリシアを見た。黒髪の王子も、木の陰から顔を出して、フィリシアのほうを窺がった。そのフィリシアは、
「そう・・・そうよね、そういう意味よね」
と、ひとりで得心したあと、周りの視線に気づいた。
「・・・え? ・・・ええっ? ち、違うわ。そういう意味って、そうではなくて。お友達というか、仲間というか、そういう意味で。セレンのことも、フルートのことも、ゼラルドのことも、もちろんレッティのことも、みんな大切で、みんな好き・・・大好きだから」
 言ってから、ぽうっと赤くなった。
 しばらく、あいまいな沈黙が落ちて、それからゼラルドが、ためらいがちに、
「フルート?」
と、促すように声をかけた。金髪の王子は、はっと我に返った。
「ああ、そろそろ出かけようか」
「いや、そうじゃなくてさ」
と言ったのはセレンだった。ゼラルドも、憐れむような顔をした。が、当のフィリシアが、
「そうね、行きましょうよ」
 ほっとしたように言ったので、なんとなく「まあいいか」という空気になった。
 <光り姫>は、外套を脱ぎ、「ありがとう」とセレンに返した。セレンは、うやうやしく受け取って、姫君のぬくもりの残る外套を着こんだ。
 <光り姫>が姿を消し、一行は馬上に戻って、旅を続ける。
 解呪の聖泉を目指して。

(完)

冬の森、ひとやすみ(01)

 解呪の聖泉<真実の鏡>は、大陸の北東の果てにあり、雪深い冬の晴れた日に、数日間だけ、その神秘の力を発現するのだという。したがって、聖泉を目指す一行は、ついに訪れた冬の中を、寒さに耐えて、北へ、北へと進んでいる。
 今日は、どんより曇った空のもと、冬枯れして寂しい森を通り抜けているところだ。しっかり踏み固められている道があるので、迷う心配は全くないが、とにかく寒い。いまにも雪が降ってきそうだ――などと、言葉にしたら現実になってしまいそうで、誰も口には出さず、黙々と馬を進めた。
 昼を少し回った頃、つめたい小川の流れる近くで、休憩を取ることにした。地味ながら仕立てのよい灰色の外套にくるまったフィリシアは、助けられて馬から下りると、お守り代わりの宝剣を少しだけ鞘から引き出して、呼びかけた。
「ミルガレーテ、よかったら一緒に休憩しない?」
 少し待つと、ふわりと<光り姫>が姿を現した。落ち着いた薔薇色の厚手のドレスに、おそろいのケープを羽織った上から、金色に輝く豊かな髪がゆるく波打っている。
 セレンは、現れ出でた姫君のいでたちを見て、心配そうな顔をした。
「寒くはありませんか、ミルガレーテ」
 そう尋ねると、<光り姫>はきらきらと微笑んで、
「大丈夫よ。私、暑いとか、寒いとか、それほど感じないの」
「少しでも、あなたが寒かったらと思うと、ぼくの気が休まりません」
 言いながら、セレンは自分の着ている青い外套を脱いだ。
「いやでなければ、どうぞ、使ってください」
「え・・・、そうしたらあなたが寒いでしょう?」
「気にしないで。それとも、ぼくが袖を通していたものでは、お気に召さない、かな・・・」
 セレンの声が憂いを帯びたためか、ミルガレーテは差し出された外套を受け取った。華奢な体の上に着込むと、袖も余るし、丈も余るが、
「ありがとう、とてもあたたかい・・・」
 ミルガレーテはしみじみ言って、セレンが急いで広げた敷物の上に、ふんわり座った。それが合図になったかのように、皆も思い思いの場所に席を取った。フィリシアは、ミルガレーテのすぐ隣に。セレンは、姫君たちと会話のしやすいあたりに。フルートは、近くの木から張り出した根に腰かけており、ゼラルドは少し離れた木の陰に座っている。
 宿を発つときに調達した、パンやベーコンやチーズで食事にした。ミルガレーテだけは、例によって果物しか食べたがらなかったので、おやつ用のりんごをセレンが切り分けた。姫君ふたりに渡したぶんには、うさぎの耳の形をした皮が残してあって、姫君たちを喜ばせた。
 幸せそうにシャクシャクとリンゴをかじるミルガレーテを、セレンはうっとりと眺めて、
「それほど美味しそうに食べるなら、ぼくのぶんもあげようか」
と言ったが、ミルガレーテはにっこり笑って、
「いいえ、いいの。ありがとう。美味しいものは、みんなで食べるほうが嬉しいの」

予告:「冬の森、ひとやすみ」

きらきらふわふわ系を目指そうと思っていたのに、また「雑談してる系」のお話になりそう…coldsweats01

でも、ミルガレーテのお供に誰を付けようか迷った結果、5人全員出して「みんなの話」にするよ!

「全員そろってるときの雰囲気が好き」という方に(私も好き)、楽しんでもらえたらいいな。

タイトルは、「冬の森、ひとやすみ」。全2回になると思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

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