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冥婚騒動(02)

 分厚いカーテンが引かれているせいで、真昼だというのに、部屋は薄暗かった。加えて、部屋のどこかで焚かれているらしい紫色の煙がもやもやと立ち込めており、いっそう視界を悪くしていた。煙はほのかに、悲しげな甘い匂いがした。
 目をこらすと、板張りの床の真ん中には寝台がひとつ置いてあり、月色の髪をした若者が、倒れこむような形で横たわって眠っていた。そのすぐ手前の床に膝をついて屈みこんでいる老婆は、枯れ木のような手に握った白いチョークで、怪しげな図形を熱心に描き広げており、振り返ってゼラルドを認めると、手をかざしてキイキイと喚いた。
「これこれ、入って来るんじゃないよ。うう、まぶしい。あんたの炎は青白い割に、なんだかずいぶん強く光るじゃないか? 後生だから、この婆の目をつぶさないでおくれ。あたしは謙虚な仲人に過ぎないし、人と人を結ぶ縁を邪魔するのは、野暮というものだろうに」
「・・・」
 ゼラルドは、冷静に観察した。床の図形は見たことのない形だが、何らかの儀式を執り行うためのものに違いない。セレンは穏やかな表情で眠っているだけのように見える――が、寝台の向こうにぼんやりと、煙に包まれて立っている長身の人影は、セレンにずいぶん似ているような・・・。その隣にもうひとつ、寄り添うように立っている人影は、シルエットから見て、晴れ着に身を包んだ見知らぬ娘のような・・・。
 老婆は、輪郭のはっきりしない娘のほうに向き直り、猫なで声で呼びかけた。
「さあさあ、ともかく、これでもう寂しくはないだろう、カチュア。早いところ婿殿を連れてお行き。そして二度と戻るんじゃないよ。そりゃあ、あんたは可愛い可愛い孫だけんど、もう向こう側に渡った人間だものさ」
 娘はうなずいて、隣に立つ「婿殿」の腕に手を添えた。「婿殿」は、こちらも輪郭がぼやけているが、抵抗することなく連れて行かれようとする。
「待て、セレン」
と、ゼラルドはあわてて呼んだ。長身の影は振り返った。顔立ちははっきりしなかったが、セレンの魂に何か関係のあるものに違いなかった。とはいえ、呼び止めたものの、何をどう話せばよいのだろう。ゼラルドは困惑し、つい、思ったことをそのまま言葉にしてしまった。
「美女ならば死霊でもかまわないのか。節操がないにも程があるだろう」
 言ってから、あまりにもくだらないことを口にしてしまったという思いで、軽い自己嫌悪に陥った。いや、それというのもセレンのせいだ。いっそ、このような軽薄な愚か者など、引き留めずに黄泉路へと送り出してしまえばよいのではないか。
 返事があるとは思っていなかったが、驚いたことに、人影は、さやさやと囁いた。
「寂しいと思う誰かが、寂しくなくなるのなら、それでいいから・・・」
 ゼラルドは、はっとした。何かが「ああ、そうか」と腑に落ちた。落ちたけれども、それではどう応対したらよいのかといえば、余計にわからなかった。

のびました。あと1回あります。

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