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旅へ(02)

「当時、イルエンに集められていた多くの魔法使いと、聖なる術を使う人たちが、できる限りの力を尽くしてくれましたけれど、この呪いを解くことはできませんでした。それでも、ひとつだけ、未来において呪いを解く方法が判明しました。
 それは、生まれて来るあなた自身が、しかるべき時に、イルエンよりもさらに北、世界の果てにあるという、解呪の聖泉、<真実の鏡>を訪れること。そうすれば、泉から、呪いを体現する何かが現れるのだと聞いています。鍵か、鎖か、蛇か、何かそのようなものが。それを打ち滅ぼせば、あなたの呪いを解くことができるのです。
 私は、我が子がいつ旅立つべきかを知るために、魔法のナイフを1本授けられました。生まれたあなたの髪一房を切り落としたそのナイフの、鏡のように磨かれた表面が、血のように赤く染まったならば、次の誕生日を迎える前に、あなたはこの城を出なければなりません。そのナイフが、昨夜、まさに血のように赤く染まったので・・・、今日、こうしてお話をしています。
 いまは冬。あなたが誕生日を迎える夏までに、少しの猶予があります。まずは十分に準備をして、雪が溶けたら、聖泉を目指して出発してください。長い道のりになります。なるべく目立たぬほうが良いでしょう。連れて行きたい侍女を、ひとりかふたり、選んでおきなさい。警護の者については、陛下と私が、信じられる者を数名、選んでおきますから・・・」
 王妃は、話しているうちに零れてしまった涙をハンカチで拭い、言葉を続けた。
「そして、隣国リーデベルクの王妃となった、私の従姉のアイリーンが、かねてより、そのときが来たら息子を旅に同行させると言ってくれています。直系の王子は1人しかいないのだから、断ろうとしたのだけれど、どうしても、と。昨夏、あなたの誕生日のお祝いにいらしてくださった、フルート王子殿下を覚えているかしら? 気の合う様子に見えましたが、もし、あなたが嫌だったら、そう言ってお断りします。どうしましょうか」
 フィリシアは、ここまでの話を驚きとともに受け止めていたが、問いかけられて、トクンと胸が鳴った。昨夏、王子とその友セレンと仲良くなって共に城下町を散策したことや、王子が「旅をしたい」と言っていたことが、昨日のことのように鮮やかに思い出される。
 あの金髪の王子はきっと、理由がどうあれ、旅に出られる千載一遇の機会を逃したくはないだろう。フィリシアが断ったら、ずいぶん恨まれそうだ。そもそも、同行してもらうのは、少しも嫌ではない。昨夏と同じようにセレンも来るとして、二人とも、共に過ごした時間こそ短いが、もうフィリシアの友達だ。むしろ、そう・・・楽しみになるくらいだ!
「お申し出、ありがたいと思います」
と言って、フィリシアが微笑んだので、王妃も安心したように笑った。
「そう、良かったわ。お若いながら、剣術・馬術に優れていると評判の高い方ですから、きっと頼りになると思います」
 王妃は、もう一度だけ涙をぬぐい、優しい笑顔で言った。
「もう隠さなくて良いのだと思うと、胸のつかえが下りる気持ちです。悲しまないでくれて、ありがとう、フィリシア。あなたの旅の無事を、心より願っています」

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コメント

とても真摯に読まさせていただいています・・

うさパンさん、
コメントありがとうございます♪

王妃マデリーンの話に耳を傾けているうさパンさんは、物語の中に入って、フィリシアになってくださっているのですねconfident
親しく読んでくださって、ありがとうございますshine

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