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旅へ(03)

 さて、フィリシアは、旅に連れて行く侍女を誰に決めたら公平だろうかと考え始めたものの、すぐに違和感に気づくことになった。というのも、フルートとセレンは、まず間違いなく、他に従者など連れて来ないだろう。彼ら自身も自由闊達な気性と見えたし、リーデベルクの現国王とクルシュタインの現国王が、若き日に二人きり、はるばるイルエンまで旅したことを知っているのだから、なおさらだ。それなのに、フィリシアは一人、侍女を連れて馬車に乗り、警護の者たちに守られていなくてはならないのだろうか?
 そもそも、フィリシアがフルートと、思いがけなくも互いを友人と認め合うことになったのは、あの夏の日にクルシュタインの城下町で鉢合わせたとき、フルートが「ルーク」で、フィリシアが「フィア」だったからだ。あのとき、二人の間で瞬時に通じ合った理解を思えば――、それに、旅の道中で目立たぬように気を付けるなら――、フィリシアは身分を隠し、「フィア」として徒歩か馬かで移動するほうが良く、侍女も警護も必要はない。そのほうが速く移動できるし、貴人を狙う賊に襲われる危険も減るのではないか。
 馬車も供もいりません、と娘から相談された王と王妃は、驚いたようだった。しばらく考え込んだあと、王が言った。
「・・・そう望むなら、それも良いだろう」
「まあ、陛下、フィリシアは非力な若い娘です。何かあったら――」
 王妃が憂えるのに向かって、王は微笑んだ。
「姫には弓があるよ、マデリーン。あなたと同じだ」
「弓では心もとなく思います。身の回りの世話をする者だって必要です」
「おや? あなたはふだん、身の回りのことは自分でできると誇っていたのではなかったかな。私たちは子供たちのことも、そのように育てて来たはずだ。そうだろう?」
「それは、そうですけれども」
 王妃は、夫から娘へと視線を移して、心配そうな顔をした。胸のうちに様々な不安がよぎった。ただ、ひとつひとつ考えると、そのどれもが、供を付けて小さな馬車を仕立てたくらいで解決はしないのだった。賊に狙われる可能性の他にも、たとえば、隣国の王子と共に旅することで噂が立つかもしれなかったが、馬車を仕立てたところで同じことだろう。
 フィリシアの弟のリュシオンが、もう少し年齢を重ねていれば、姉を守って同行してくれたでしょうに。と、王妃は思っても仕方のないことを思ったあと、尋ねた。
「フィリシア。ひとりで寂しくはありませんか」
「ひとりではありませんもの、お母さま」
 フィリシアは落ち着いており、にっこりと応じた。
「レティカの宝剣を持って行きますから、妖精の国のお友達と会うこともできます。もし、それでも寂しくなったら、行く先で同行者を探すこともできます」
「そう。そうね。私も、もしあなただったら、同じことを言ったかもしれない・・・」
 王妃は心を決めて、うなずいた。
「わかりました。リーデベルクに伝えておきます。少しでも、楽しい旅になりますように」

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コメント

雪村さんの作品は
とても丁寧に人物の心理描写もされていて、
また、
キャラ設定がしっかりとされているので
読んでいてイメージがありありと
わいてきます☆

ホシノさん、
コメントありがとうございます♪

お部屋の中での出来事を書きつつ、お部屋の様子(調度品とか)について書かなかったので、人物はイメージできても、絵としてはイメージしづらいかも…。
と思いつつ、ホシノさんの感性で、素敵なお部屋のワンシーンを想像していただけたら嬉しいですshine

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