2017年4月
            1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30            

ひとこと通信欄

  • (2017/4/29朝) そして、3月に続いて4月もまた、溶けるようにして消え去って行くのであった…。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 旅へ(03) | トップページ | 旅へ(05) »

旅へ(04)

 そして、いつしか、雪の溶ける季節が巡り来た。
 早春の日差しが柔らかに降りそそぐある日、城の裏門から、ひとりの乙女が、ひっそりと馬に乗って出た。目立たない旅装に身を包んだ、青い豊かな髪の乙女こそ、もちろん、親しい人たちにしばしの別れを告げたフィリシア姫その人だった。
 隣国リーデベルクの国境までは、騎士2名と侍女1名が供をすることになっており、彼らもまた、素性の知れないように、ごく普通の装いで後に続いた。一行は数日をかけ、安全を確かめながら、流れゆく様々な旅人たちと同じ道を進んだ。
 侍女がいてくれると確かに心強い、ということは、フィリシアも早々に認めざるをえなかった。騎士たちは顔見知りだったが、フィリシアにとって打ち解けて話せる相手というわけではなかったからだ。いっそこのまま侍女を連れて行こうかと思いもしたが、フィリシアは心の中で首を振った――連れて行けば、少なくとも1年以上、故郷に帰れなくなる。しかも、もし解呪が成らなければ、私の命の失われるさまを見せてしまうかもしれない。大丈夫、フルートとセレンが相手なら、私だって対等に口がきけて気安いし、友達として信頼しているから、それほど心細くはならないと思う…。
 数日後、国境の森林地帯に着いた。ぽつぽつと商隊などが行き来しているその森の入口に、金髪の王子が、これも地味な旅装で、白馬を連れて立っていた。これを遠目に見た騎士のひとりが、「輝くばかりの白い馬では、目立ちすぎるのではないだろうか」とつぶやき、もうひとりが、「噂に聞く駿馬だ。仕方あるまい」とたしなめた。
 王子の近くまで来て、一行は馬を降り、供の者たちが当然のように膝を折ろうとしたが、
「そのまま、立っていてくれ。人目を引きたくはない」
と、フルートが穏やかに言った。フィリシアにとっては、懐かしい声だ。仰せのとおりに、と答えた騎士たちと侍女は、直立不動となり、礼を失しないように目を伏せる。フルートは、澄んだ青い目でフィリシアを見て、笑いかけた。
「お久しぶりです、フィリシア姫。お元気そうで良かった」
「お世話になります、フルートさま。どうぞよろしくお願いいたします」
 王子はうなずいて、騎士たちと侍女に向かって言った。
「あなたがたの大切な姫君は、我が命に代えてもお護りしよう。何か申し述べたいことは?」
 騎士のひとりが答えた。
「誠におそれながら。噂に名高いその剣を、我らにも受けさせてくださりませぬか」
「いいとも」
 フルートは気さくに答えた。少し離れた場所に移動して、騎士たちは順番に王子に挑み、いずれも王子に敵わなかった。騎士たちは、顔を見合わせて、うなずいた。そして、王子と、敬愛する姫君に、深々と頭を下げたあと、侍女を連れて去って行った。
「では、ぼくたちも行こうか、フィア」
「ええ、ルーク」
 こうして、身分を伏せた王子と王女は、共に旅へと踏み出したのだった。

まだ続きます。

« 旅へ(03) | トップページ | 旅へ(05) »

コメント

フィリシア姫の心優しく清らかな性格、
その描写で
美しくて
澄んだ肌の青い髪の姫が
目に浮かびます☆

ワクワクして読んでいます。

ホシノさん、
コメントありがとうございます♪

ホシノさんのように美的センスのあるひとに思い浮かべていただけて、フィリシアも喜んでいると思います。
読んでくださる方が想像の翼を広げて、魅力ある人物を思い描いてくださるのは、作者の私にとって、とても嬉しいことです。ありがとうございますshine

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/64838629

この記事へのトラックバック一覧です: 旅へ(04):

« 旅へ(03) | トップページ | 旅へ(05) »