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旅へ(09)

 姫君は、ぽかぽかと温まったことに力づけられて、聞いてみた。
「どうして、私にこの飲みものを分けてくださったの」
 黒髪の若者は、ちらりとこちらを見て、
「妹が」
と、言いかけて、黙った。フィリシアが待っていると、先を続けた。
「泣いているとき、これを飲むと落ち着くようだったから。それはそれとして」
「はい」
「あなたが尋ねないでくれている、ぼくの出自については、おそらく、あなたの考えるとおりだと思う」
 フィリシアは、はっとした。そう、白い肌、黒い髪、黒い瞳は、ローレインの民の特徴だ。そして、ゼラルドという名は、その王家の――。
「それでは、はるか東のローレインから来たとおっしゃるの。そして、私の旅に同行してくださるとおっしゃるの。いったい、どうして」
「人にはあずかり知れない、神々の計らいによって」
「妹さんは?」
「出奔したのは、ぼく一人だ。彼女はローレインに在って、いずれ王位を継ぐだろう」
「そうなの・・・」
 妹姫は寂しく思っているだろう、というのが、フィリシアの最初に思ったことだったが、口に出さないだけの分別はあった。このひとだって、何か事情があって、親しい人たちと別れて来たのだ。故国を出なければならなかった、何か深刻な理由があるのだ。
「あなたが、あなたの目指すものを、手に入れられますように」
 フィリシアが言うと、ゼラルドはまた、謎めいた瞳でフィリシアをじっと見た。それから、ふと首を巡らせて違うほうを見るので、フィリシアがその視線を追ってみると、フルートとセレンが馬に乗って戻って来たのだった。
「待たせてすまない!」
と、フルートが言って、馬から飛び降りた。ゼラルドとフィリシアを見て、
「自己紹介は終わったのか?」
と言う。聞きようによっては無責任な言葉だったが、フィリシアは違うことに気を取られていて、耳に入っていなかった。
「フルート、あなた、怪我をしているわ!」
「怪我? ・・・ああ、これか。怪我のうちに入らないさ」
 肩の外側に傷があるらしく、服が汚れて、血が赤くにじんでいる。フィリシアは、手当てしようと駆け寄った。セレンは、ゼラルドに向かって文句を言った。
「かすり傷ではあるけれど。でも、君の言う『危険はない』は当てにならないな」
「姫君が合流するまでのことを占っただけだ。そのあとのことは関知していない」
と、黒髪の若者は少しも動じない。

あと1回かな、たぶん。

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コメント

読んでいて
ゼラルドの謎めいた瞳に
すっかり惹き込まれそうになります。
表現が繊細で
想起させてくれるのです。

ホシノさん、
コメントありがとうございます♪

いえいえ、私の書く文章は、どちらかというと、おおざっぱですよ~。
それを繊細と感じてくださるのは、ホシノさんの想像力が、それだけ豊かなのだと思います。
そういうふうに読んでいただけて、作者も幸せです。ありがとうございますheart

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