2017年8月
    1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31    

ひとこと通信欄

  • (2017/8/13朝)創作活動が進みません~。少しばかり夏休みをいただきます~。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

読者アンケート実施中♪

  • 所要時間は5分くらい?
    個人情報の入力はありません。
    よろしくお願いいたします。
    こちらから。

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 旅へ(06) | トップページ | 旅へ(08) »

旅へ(07)

 もともとフィリシアは、恋愛や結婚に対して、それほど甘い幻想を抱いてはいなかった。いずれは政治的な理由によって、年の離れた王や王子とめあわせられるのだろうと思っていたし、夫となるひとが誰であろうと、その長所を見出して好きになれたらいい、と、まっすぐに思っていた。だが、恋人でも夫でもない人に一方的に唇を奪われるのは、年頃の乙女として、傷つかずにいられない出来事だった。しかも、恋愛感情とは何の関係もなく、「その場しのぎ」のために奪われたのだ!
 黙々と道を進むうち、やがて、森の尽きる場所に着いた。そこには月色の長い髪をした若者が待っていて、フィリシアのそばに来ると、馬から下りるのを手伝ってくれた。
「お久しぶりです、フィリシア姫。・・・どうしたの、涙が。フルートに何か言われた?」
「いいえ、何でもないの。久しぶりです、セレン・レ・ディア」
 フィリシアは、ハンカチで涙をぬぐい、無理やり微笑んだあと、気付いた。もう一人、誰かいる。少し離れた木の下に、黒い馬を連れた、黒髪に黒い目の若者が、冷めた表情で、静かに立っている。
「あちらの方は・・・?」
「フルートから聞いてない?」
 セレンは、物問いたげな視線をフルートに投げた。王子は、きまり悪そうに、
「すまない、まだ何も。それより、気になることがある。一緒に来てくれ、セレン」
「え?」
「ケビンをだまして置いて来た。今頃、悪者連中から責められているかもしれない」
「え?」
「詳しくは道中話す。ゼラルド、少しの間、フィリシアを頼む」
 フルートは、セレンを連れて、行ってしまった。
 フィリシアは、半ばあっけにとられて、心の中でフルートを恨んだ。初対面の人がいるなら、教えてくれれば良かったのに。そうしたら、みっともない泣き顔で挨拶しなくて済むように、がんばって、どうにかして泣き止んでおいたのに。
 「フィリシアを頼む」という言葉から考えるに、相手には、私が誰であるかを知らせてあるのだろう。王女は姿勢を正し、なんとか笑みらしきものを作って、挨拶をした。
「初めてお会いするのに、見苦しいところをお目にかけて申し訳ありません。フィリシアです」
「ゼラルドです。途中まで同行します」
 相手はそっけなく言ったきり沈黙し、話をつないでくれる気配はみじんもない。それどころか、フィリシアが話題を探して、
「今日は雨が降らなくて何よりでした」
と話しかけると、「別に」と無愛想に応じて、
「ぼくのことは、いないものと思ってもらって結構だ」
と、取り付くしまもなく、会話は終了だと言わんばかりの態度なのだった。

« 旅へ(06) | トップページ | 旅へ(08) »

コメント

私は神秘的なセレンのファンなので、
登場にうれしくなってしまいました。

「月色の長い髪」という表現のなんて美しいこと・・
うっとりと
想像してしまいます。

ホシノさん、
コメントありがとうございます♪

セレンが神秘的かどうかは、さあ、どうなのでしょう?
でも、優しい彼のことを、好きと言ってくださる方が何人かいらっしゃって、うれしく思っています。
今回の場面は、初めて4人がそろった場面で、旅立ちらしくなってきました。
もう一息、がんばって書ききりたいと思います。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/64880102

この記事へのトラックバック一覧です: 旅へ(07):

« 旅へ(06) | トップページ | 旅へ(08) »