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なりゆきの英雄(04)

 ルークは広場を見渡して、軽くうなずき、大きな声で、落ち着いて、続けた。
「ここに、あの花の化け物を叩き斬れる剣がある。見えるか? よし。
 俺はただの通りすがりだけど、これも何かの縁だから、あの化け物を叩き斬る!」
 おお、と広場がどよめく。
「一番でかい花は俺がぶった切るけど、町中に伸びてるツルのほうも、この際いっぺんに始末しちまおうぜ! そっちは、あんたたちが! 男も女も、みんなで! 斧でも包丁でもいいから、一斉に切って、切って、暖炉で燃やしちまえ!」
 おお!と、さっきより大きく、広場がどよめく。
「3人くらいは、俺の手伝いに来てくれ。腕に自信のあるやつ、いるか。
 ありがとう、じゃ、そこのあんたと、あんたと、そっちのあんたに頼む。
 残りのみんなは、さっそく今から、自分ちに陣取っている花のツルを退治しに――」
 このとき、町の鐘が鳴った。ルークは、にこっと笑った。
「行ってくれ! 次の鐘が鳴ったら、またここに集合だ。それまで、みんなで頑張ろうぜ!」
 何人かが「おう!」「よし、やるぜ」と叫んだ。おのずと、広場から拍手が沸いた。ルークは手を振って、木箱を降りた。町の人々も、気合をみなぎらせて散っていく。
 ヒンデンは、降りて来たルークを尊敬のまなざしで見て、
「あんた、このまま、うちの町長にならないか」
「ははっ、悪い。よその町で、もう決まってるんだ」
 ルークが笑うと、納得のいった顔をした。
「そうか。そうなのか。そうだよな。わかる気がする」
「ぶつぶつ言ってないで、行くぞ」
「あ、ああ」
 そうして、ルークとヒンデンと力自慢たちは、道幅いっぱいに花びらを広げているウロコ花を退治しに向かった。といっても、ヒンデンは、少し離れて、馬やロバが襲われないように守る役だったが。
 たいまつも持って行った。うねうねと襲い掛かって来るツルが怯むので、役に立った。ルークが巨大花と戦っている間、力自慢たちは、たいまつをかざしながら片手斧でツルを切り落とした。彼らは、やがて優位に立った。バラバラにちぎれた花の噛み鳴らす口の中から、何か得体のしれない目玉のようなものがニュッと出て来たところを、ルークが叩き斬ったのが、とどめになった。
「あっ」
と、叫んだのは誰だっただろう。それというのも、ルークが化け物の目玉を叩き斬ったとたん、すべての花、すべての葉、すべてのツルが、一瞬にして黒い灰のようなものになり、崩れ去ったのだ。
 振り向けば、家々の屋根に咲いていた紫色の花も。町の人々が切り落として運んでいたツルも。すべては、黒い灰となって次々に崩れてゆくところだった。
 町の鐘が鳴った。
「もうそんな時間か。ギリギリだったな」
と、ルークは言いながら、手の甲で額の汗をぬぐい、ほっとした笑顔になった。

 広場で、町の人々は皆、拍手していた。ルークは再び、木箱の上に立った。
「おつかれさん! あんたたちも俺も、よくやったよな!」
 歓声。おつかれさま! ありがとう!
「俺は通りすがりだから、もう行くけど。この剣は、こいつに預けて行くから!」
 こいつって? ヒンデン? なんで? ざわざわ…。
「2、3日、様子を見て、何事もなければ、みんなで祝ってくれよな! じゃ!」
 降りて来たルークから、ヒンデンは大剣を受け取った。
「行っちゃうのか? 泊まって行かないのか?」
「ああ、まだ明るいから。馬、見ててくれて、ありがとな」
「明日とか、あさってとか、でかい花がまた出たらどうしたらいい?」
「出ないさ。もし出たら、今日と同じようにやればいい」
 ルークは、なんでもないことのように言って、馬に飛び乗り、馬上で笑った。
「だいたい、もし明日もあんなのが出たとして、俺を当てにするのは勘弁しろよ。俺はただの通りすがりで、化け物をやっつけたのは、なりゆきだったんだからさ」
「なりゆきでも、英雄だ」
 ヒンデンは真面目に言ったが、ルークは笑って取り合わず、
「じゃあな!」
と言って、町の皆に見送られながら、去って行った。

 数日後、何も起こらなかったので、町ではちょっとした宴をひらいた。
 次の朝、ヒンデンは大剣を持ち、町から少し離れた、例の白い石碑まで出かけて行った。
 くり抜かれたような形になっている石碑に、大剣をあてがって押し込むと、剣はすぐに石と同化して、何事もなかったかのように石碑の一部となった。どこをつかんで引っ張っても外れなかったし、外れたことがあるというのが嘘のようだった。
 それでも、町の住人たちの記憶の中には、「みんなで斧や包丁や松明を持って戦い、町中を覆いつくしていた化け物を倒した」ことが、誇らかに刻まれた。そして、そののち長く語り継がれたこの事件は、このようにして締めくくられることになるのだった――「こうして、通りすがりの、なりゆきの英雄さんは、みんなと一緒に、あっというまに化け物を倒して、あっというまに去って行きましたとさ」。

(完)

長くなりました。お待たせしました~。

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コメント

あっ! ルークは名前告げていかなかったんですね~なるほど~

「なりゆきの英雄さん」っていうフレーズいいですね~♪
自分達も戦ったからこそ語り継がれていくのかもしれませんね!
長い間語りつがれていくと伝説の人になりそう~(^o^)♪

ワクワクして楽しかったです♡

わぁ~~(*´▽`*)☆
ルークの人心掌握の魅力、
勇気と落ち着き、それに
これだけのことをして
さっと去る爽やかさ♡
素敵です。
何事もなかったように
また石化した剣、
神秘的☆
素敵な物語をありがとうございました♪

そしてこの場をお借りして、
ホシノのブログにコメントを
ありがとうございます(*^-^*)
励みになります。
これからも創作をがんばっていきたいですね♪

まぽんさん、
コメントありがとうございます♪

冒険譚の舞台になっている世界では、各地に、「なりゆきの英雄さん」の残した伝説がいくつも散らばっているような気がします。
そして後世、民話の研究をしていた雪村という人が、世界各地の民話に共通点を見つけて、「きっと同じ人なんだわ」とかなんとか思って、想像をふくらませた結果、このような冒険譚シリーズを書き始めてしまった…
…という設定で、いかがでしょうかhappy01note

ホシノさん、
コメントありがとうございます♪

てきぱきしたルークの性格を、うまくお伝えできていればよいのですが。
作者はいつも、ぽやっとしてるか、うーんと考えているかで、てきぱきした行動を苦手としているので、ルークのことを書くときは、ちゃんと書けるかしらと心配しながら書くことが多いです。

ホシノさんの絵に、私も励まされます。
自分の世界を大切に築こう、大切に磨こう、大切に表現しよう、って思いますconfidentheart04

月路さん今般は〜。
先日はお忙しい所コメントを有難うございました。
小説リリースは、最終校になかなか行き着かずずれ込んでいます^^;

気分転換にスカッと小気味よいルークの活躍を
楽しく拝読しました(*^^*)

英雄というものは、道すがら歩いた道に
無自覚に小さな奇跡を振りまいて歩くものなのでしょうね…

しかも当人は、主たる目的以外の小クエストは
雑事の如く成り行きの瑣末な事のようにクリアして…

異伝によると風の便りで、白い石碑は後世

悪しき花の蔓再び乱れし時 何処より 名も無き強者来たりて
魔剣『チョッキリ包丁』を引抜きて魔を払わん
我は見届けし者 ヒンデン

と書き足されていたようですw

花に魔が宿る時、カオスの闇を祓う為
石の大剣に破邪の力が宿るようコズミックバランスが
調整してるのかなぁ?

光と闇のプリンセスの、それぞれのこの先のお話
物語の進展も心トキメキますね!

ではまた

とり3さん、
コメントありがとうございます♪

いろいろな異伝があったらいいなと思います。ワクワクします。
作者の思惑としては、お話の最後のほうで、もう少しヒンデン君に頑張ってもらって、できればヒンデン君に「なりゆきの英雄」になってほしかったのですが、私の頭の中のヒンデン君が、「無理、無理無理無理」と言って青くなって逃げてしまったので、こんなふうなクロージングになりました。

とり3さんも、お忙しいところ、いつもお言葉をかけていただき、ありがとうございます。
オリジナル小説、のんびり楽しみにしていますねhappy01

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