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お祝いのお菓子(02)

 さて、陽光色の髪をした王子様のほうはと言えば。盛夏には自分の誕生日が来る、ということなど、もちろん、きれいさっぱり忘れていた。したがって、いつものようにセレンとふたりで地図を見ながら予定を計画しているとき、さりげなく、こう指摘されることになった。
「その行程だと、君の誕生日は、一日中、移動日になりそうだね?」
「誕生日。そうだな。不都合か?」
 フルートは、思ってもみなかったことを言われて、そう聞き返した。セレンは微笑して、
「そういう日くらい、のんびりしようよ」
「農村しかないぞ」
「それでも。ただでさえ全体としては強行軍なのだし、毎日暑くてたまらないし。お姫様を休ませてあげない?」
「わかった」
 フルートは素直に了承した。いつもセレンは、行程が厳しいものになりすぎないように調整してくれている。フルートも、気にかけているつもりではあるのだが、時々うっかり、気がせいて、自分の体力を基準にしてしまうことがあり、反省しなければいけないと思う。
 かくして、王子様の誕生日の当日は、姫君の誕生日がそうだったのと同じように、のどかな農村で迎えることになった。気のいい村人たちは、寝泊りできる場所を快く貸してくれて、払った代金以上に牛乳も卵もたっぷり譲ってくれて、フィリシアが台所を使わせてほしいと頼んだときも、昼間のうちなら好きなだけ使っていいよと、笑顔で応じてくれた。フィリシアは張りきって、腕まくりした。
「お祝いにお菓子を作るわ。お昼に食べましょう。でも、作るところは覗かないでね」
 いたずらっぽく、きらきらと笑う姫君は、とても楽しそうだ。
「出来上がったら呼びに行くから、それまで遊んでいてね!」

 と、いうわけで、「遊んでいて」と言われた若者たちは、しばらく村はずれの空き地で剣の稽古などしていたものの、日が高く昇るにつれて暑くなったので、嫌になったセレンが、「こう太陽の照りつける日に鍛錬しても体を壊すだけだ」と強硬に主張して、じきに三人、大きな木の陰で思い思いにくつろぎつつ、ぽつぽつと会話を交わすことになった。
「フルート、君さ」
と、木の幹にもたれて座っているセレンが話しかける。
「うん?」
と、金髪の王子は、仰向けに寝そべって目を閉じたまま、先を促す。セレンは、さらさらと長い月色の髪を結わえ直しながら、
「どう思っているの。優しいお姫様が、君のためにお菓子を作ってくれることについて」
「みんなで食べるために、だろう。ぼくのためではないさ」
 フルートは淡々と指摘する。ゼラルドは木の反対側にもたれて、黙って聞いている。

続きます…。

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