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2017年8月

軽薄な石像(01)

 草ぼうぼうの荒れ野の中に、かろうじて道とわかる程度の頼りなさで、細い線が伸びている。夏の太陽の照り付ける下を、陽光色の髪をした若者と、青い豊かな髪の娘が、馬に乗って進んでいる。
 娘のほうは、大きな麦わら帽子をかぶっているけれど、うつむきがちで、元気がないようだ。若者のほうも、それに気づいているらしく、ときどき案じるように振り返ったり、休む場所を探すように辺りを見回したりしているが、あいにく適当な場所を見つけることができないでいる。
 ・・・いや。道の先のほうに、ようやく、小さな木陰と、石のベンチらしきものが見えて来た。白っぽい人影が二人、腰をかけているようだが、席をつめてもらうか、譲ってもらうかして、フィリシアだけでも馬から降ろして休ませてやることができたら。
 さらに馬を進めて、石のベンチの近くまで来ると、なんと、ベンチに座っている二人は石像だった。昔の石工が演劇の一場面でも彫ったものだろうか、風雨にさらされた石像たちは、古風な服装の若い男女をかたどったものだ。女のほうはベンチの端で、振り返って何かに気を取られている様子。隣にいる男のほうは、女の片手を押しいただいて、その指にキスをしている。そのさらに隣に、ようやく人ひとり座れる場所があり、フルートはフィリシアを馬から降ろし、石が熱くなっていないことを確認したうえで、そこに座らせた。フィリシアは、ぐったりと石像に寄り掛かった。
 フルートは、フィリシアの荷物から、ぬるくなった水を取り出して渡してやった。フィリシアが少しずつ飲んでいる間に、さらに周りを見回してみると、ちょうど、石像の女が振り返って気を取られている方角に、井戸らしきものが見える。あの井戸は生きているだろうか。もしそうなら、少しは冷たい水が汲めるだろうか。
 あたりには、見渡す限り、人の気配も、獣の気配も、魔物の気配もない。すぐに戻るから休んでいるように、とフィリシアに言い聞かせて、フルートは井戸のほうに向かった。

 さて、フィリシアが、石像にもたれかかって、ぬるい水を飲みながら、ぼんやりとフルートを待っていると、かすれた小さな声が、何か言ったような気がした。フィリシアは少し体を起こしたが、風が草を揺らす音を聞き違えたのだろうと思って、また石像にもたれた。石像の形が、いくらか変わったような気もしたが、気のせいだろうと思った。
 再び、ひそひそと声がした。今度は、言葉が聞き取れるくらいの大きさだった。
「お嬢さん、驚かないでくださいね」
 ゆっくりと石像が動きだしたので、姫君は驚いて体を離し、まじまじと石像の男を見つめた。白い石像は、目の前で薄く色づきながらフィリシアのほうを振り返り、髪はうっすら栗色の巻き毛、気取った形の羽つき帽子と、ゆったりしたローブはうっすら朱色。フィリシアと向き合うと、石像の瞳は明るい茶色になり、じっとフィリシアの目を見つめながら、言葉を続けた。
「隣に美しい女性が座ってくださるときだけ、わずかな間、動くことができるのです」

予告:「軽薄な石像」

すこし夏休みをいただいていましたが、何か軽いお話を書きたくなりました。

フルートとフィリシアのお話で、「軽薄な石像」、全2回かな?を書こうと思います。

あさって載せるつもりではいますが、遅くなったらごめんなさいsweat01

***

先日、浅草のお店で、冷たい鯛茶漬けというのをいただきました。

冷たいお茶漬けって初めて食べたけど、さっぱりして美味しかったです。

写真ピンボケですみません。薬味を乗せてから撮れば良かったかな?

Photo

ひとやすみ:おくすり手帳

創作活動を少しお休みしています。
暑いからなのか、なんなのか、お話の芽が育たない…。

* * *

ふだんからお薬のお世話になることが多いため、前からほしかった、「医療系雑貨生みたて卵屋」さんの「おくすり手帳」を購入しました。
贅沢品だと思って我慢していたけど、よく使うものなので、具合の悪いときも少しハッピーになれたらいいな、と思って。

写真が下手で申し訳ありませんが、下のような感じです。青いのは一緒に買ったミラーです。サイズ感をお伝えするため、文庫本を右に置いています。
お薬手帳を使っているご家族やお子さんに、プレゼントしても良いかもしれません。

Photo

「生みたて卵屋」さんの通販サイトは滅多に開いていませんが、「Tetugakuya」さんの通販サイトでも購入できるようです。

「生みたて卵屋」さんのホームページは → こちら
「Tetugakuya」さんのホームページは → こちら

物語を感じさせてくれるアイテムが色々あるので、商品ラインナップを見ているだけでも楽しいんですよ~lovely

作者より:「お祝いのお菓子」

「冷たいクリーム」とは、つまるところ、牛乳と卵のアイスクリームです!
フィリシアが、氷よりも冷たく冷やしてもらったボウルで、一所懸命に混ぜて、混ぜて、混ぜて作りました。
「アイスクリーム」と書いたら、人によっては世界観に合わないと感じるかも?と思ったので、お話の中では「冷たいクリーム」とさせていただきました。

フィリシアの祖国は、農業の盛んな地方を多く抱えているためか、夏の贅沢なお菓子として、アイスクリームを食べます。
フルート&セレンの祖国は、氷の彫刻が盛んで、それと関係あるのかどうかわかりませんが、アイスクリームではなく、かき氷を食べる文化です。盛り付けは山型でなく、浅めの器に、平らにならして出てきます。
ゼラルドの祖国でも、アイスクリームではなく、かき氷を食べます。深めの器にふんわり入って出てきますが、日本で昨今流行りの、ふわふわ系のかき氷な気がします!

更新間隔が長くなっていて、すみません。
暑くて少しバテています。皆様も、水分補給はしっかりと!

お祝いのお菓子(05)

 それからしばらく、みんなでクリームとパンケーキを食べながら、故郷での誕生日の慣習について話した。境遇が似通っているから、感想が似ている点もあって、パーティーでふだん会えないひとに会えて嬉しいという話や、初対面の人を覚えるのに苦労するという話や、一方で、王子と王女ではもらえるプレゼントがだいぶ違っていたり、お国柄によっても風習が異なっていたり・・・。
「でも、こういう誕生日は、初めてだ」
と、フルートがしみじみ言った。
「心を許せる友人たちとだけ、静かに過ごせる誕生日など、今年だけだろうな」
「そうね。私も、一生忘れないと思う。今年の私の誕生日のことも、今日の、あなたの誕生日のことも」
「! ごめん、いやなことを思い出させたか」
 フルートが、あわてて言った。フィリシアの誕生日には、悪しき魔女の亡霊が現れ、忌まわしき呪いを発動させている。
「え?」
 フィリシアは、きょとんとして、それから、こちらもあわてて、
「いいえ、ちがうわ。旅先の静かな村でケーキを焼いたり、そこに住む人たちにお祝いの歌を歌ってもらったり、そういうこと」
「そうか。フィリシア、ぼくは」
 フルートは、つい言いかけて、口をつぐんだ。来年も、こんなふうに共に過ごせたらいいのに、という願いは、向こう1年、姫君の呪いが解けなければいいという願いに等しく、言葉にするわけにはいかなかった。
「なあに、フルート?」
「・・・とても美味しかった。ごちそうさま」
「ふふ、喜んでもらえて良かった! 作った甲斐があったわ」
 フィリシアは上機嫌で、済んだ食器を回収する。
「バスケット、持つよ」
「ありがとう!」
 王子と王女は、仲良く語らいながら、立ち上がって、一緒に歩き出す。
 セレンは二人を見送って、自分も立ち上がり、服に付いた草を手で払いながら、ぶつぶつ言った。
「・・・ああいうときはさ。旅が終わっても一緒にいてくれないか、とか言えばいいんだ。そうじゃない?」
「提案があるなら、ぼくではなく、フルート本人に言いたまえ」
 ゼラルドも、立ち上がりながら、冷ややかに言う。セレンは愚痴っぽく、
「そこまで親切に教えてやるのも、なんだか癪に障るんだよね。あの優しいお姫様は、ぼくの誕生日にも、手づからお菓子を作ってくれるかなあ」
「要望があるなら、ぼくではなく、フィリシア本人に言いたまえ」
 歩き出すゼラルドを、セレンは、じろりと睨んだ。隣に並んで歩きながら、
「わかってないな! こういうのは、言わなくても作ってくれる、というところに意義があるんだ」
「君にとっての意義など、知ったことか」
 夏の日差しは空高くから照り付けるけれど、旅する仲間たちにとって、今日という一日は、平穏で、特別で、貴い。

(完)

お祝いのお菓子(04)

 青い髪の姫君は、仲間たちに無邪気な笑顔を向けて、
「お待たせ! すぐに配るから、待っていてね」
 そう言って、自分も木陰に座り、バスケットの中身を出し始めた。
 ふたつのバスケットのうち、ひとつめの中には、重ねた皿と、重ねたパンケーキが入っていた。姫君がそれを配分して、みんなのお皿に2枚ずつ、きつね色のパンケーキが乗っかった。
「まだ食べないでね」
 いそいそとふたつめのバスケットを開けると、大きなボウルにいっぱいの、白っぽいクリームが入っている。
「おさじで食べてね」
 姫君は木べらで思い切りよくクリームを掬い、たっぷり大きな塊で、めいめいのパンケーキの上に盛り上げた。
「はい、どうぞ」
 若者たちにパンケーキの皿を手渡したあと、自分のぶんも手に取って、姫君はとても満足そうだ。
 フルートが聞いた。
「食べていい?」
 フィリシアは、にっこりと答えた。
「どうぞ召し上がれ! お誕生日おめでとう、フルート!」
「ありがとう」
 フルートも笑顔で答えて、スプーンでクリームをすくい、口に入れて――目を丸くした。
「ん!」
 ごくんと飲みこんで、驚いたようにフィリシアの顔を見直した。フィリシアは目をきらきらさせて、
「どう?」
「つめたい! 美味しい! 何だい、これ。初めて食べた」
「え、初めて?」
「うん」
 フルートはセレンのほうを見る。セレンもひとさじ、すくって食べる。
「美味しい! 本当だ。つめたくて、気持ちいいね。どうやって作ったの?」
「ゼラルドに頼んで、ボウルを氷よりももっと冷たくしてもらったの。その中で、材料を混ぜて、混ぜて、混ぜて、作ったの。お城で作ってもらったのを思い出したから。リーデベルクのお城では、魔法で冷やして、何か作らないの?」
 フルートが、クリームを食べながら言った。
「毎年、氷を作って細かく削って、シロップをかけてくれるよ」
 セレンも、クリームを食べながら言った。
「うん。混ぜたりしないから、すぐだよ。作るところは見せてもらえないけれど」
「そうなのね。氷も作ってもらえるし、大好き。でも、冷たいクリームも、すごく好き!」
 言いながら、フィリシアも、自分のぶんをスプーンですくって食べる。にこにこして、
「おいしくできて、よかった! ゼラルド、あなたの好みに合うかしら」
「ああ」
 黒髪の若者はそっけない。が、そのぶん嘘はつかない性格だから、フィリシアは安心する。

すみません、あと1回。

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