2018年7月
1 2 3 4 5 6 7
8 9 10 11 12 13 14
15 16 17 18 19 20 21
22 23 24 25 26 27 28
29 30 31        

ひとこと通信欄

  • (2018/06/14夜) 「始まりの物語・風の贈りもの」を、来月あたり印刷に出そうと思います。

ランキング参加中!

  • 記事がお気に召したらクリックしていただけると、作者の励みになります。(1日1回まで)

    (投票せずに順位を確認したい方はこちらから。)

SF「夜景都市」(未完)

最近のトラックバック

プロフィール

  • 城

    雪村月路
    snow.moon.rainbow☆gmail.com
    (☆を@に変えてください)
    Twitter: @ariadne_maze
    ブログ更新量について
    愛読書100冊

    うちの子同盟 うちの子同盟

無料ブログはココログ

« 予告:「表と裏」 & 地下謎への招待状2017 | トップページ | 表と裏(02) »

表と裏(01)

「このあたりは治安があまりよくなさそうだね」
 ゆうべ泊まった宿に馬を預けたまま、ちょっと町を覗いてみようと二人で歩き出しながら、セレンはいくぶん眉をひそめ、小声で話しかけた。
「ああ。俺たち二人だけで良かったな」
と、のんきな調子でルークが応じた。余計な心配をしなくてすむ、と言いたいのだろう。
 そう話しているうちにも、すれちがいざま、ルークに肩をぶつけて来ようとするガラの悪い男がいる。金髪の若者は何気ないふうに避けようとしたが、男は無理矢理ぶつかって来て、大声を出した。
「おい、気を付けろ。前見て歩けよ」
 ルークは相手にしない。歩き去るその後ろ姿に向かって、男は手をのばし、さらに大声を出した。
「詫びろって言ってんだよ、てめえ」
 ルークの肩をつかもうとしたが、よけられて、たたらを踏んだ。
「このやろう!」
 男はルークの行く手に回り込み、こぶしを握って殴り掛かって来る。ルークは、すいとよけて、体を沈め、一発だけ反撃した。男はグッと呻いて崩れ落ち、それへ、
「失せろ」
と低く一声かけて、ルークは何事もなかったように歩みを進める。
「ルークは――」
と、セレンが、ふと思いついたように言った。
「ん?」
「この旅で、乱暴な言葉や態度に馴染んだせいで、表と裏が逆転するような心配はないの?」
「というと?」
「つまり、王子様の素顔の上にルークという仮面をかぶっているつもりが、いつのまにかルークのほうが素になって、王子様のほうが仮面になってしまったり、しない?」
「そんなワケあるかよ、ばーか」
と、おしのびの王子様は陽気に笑い飛ばす。いや、その笑い飛ばし方を聞くにつけても、セレンは何となく懐疑的になって、本当に大丈夫なのかと問いたくなるのだけれども。まあ、本人がそう言うなら、今はいい。追及しないことにしよう。
 ルークのほうは、笑いながら続けていた。
「だいたい、俺より君のほうが、よほど表と裏があるんじゃないのか?」
「えっ。うーん・・・」
 なるほど。セレンはふだん、王子がルークと名乗るようには一人二役を演じたりしないが、表向きは誰にでも人あたりがよく社交辞令が上手なものの、実のところは相当に神経質で、気のおけない仲間うちでは不満をぶつぶつこぼす。そのことを言っているのだ。
 だが、二人の会話はそこで途切れた。すぐ近くの路地裏から、若い娘の悲鳴らしきものが聞こえたからだ。若者たちは、悲鳴の聞こえた方へ、すばやく駆け付けた。

« 予告:「表と裏」 & 地下謎への招待状2017 | トップページ | 表と裏(02) »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/568827/66126549

この記事へのトラックバック一覧です: 表と裏(01):

« 予告:「表と裏」 & 地下謎への招待状2017 | トップページ | 表と裏(02) »