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2017年12月

こぼれ話:月の綺麗な夜

冒険譚の本編は、ここのブログに載せたあと、別のところにも載せていますが、でも、「最初に載せるのは、本拠地である、このブログ」と決めています。

が、別のところで「お月見」というお題で短い文章を書いたとき、冒険譚のこぼれ話になったことがあるのを失念していて、つまり、こちらのブログにまだ載せていない「こぼれ話」を発掘したので、今日はそれを載せることにしました。
雑談も書こうとしていましたが、それはまた今度。

***

『お月見』

昼食の時にフィリシアは、妖精の国に住む友人を呼び出した。空気から溶け出すように現れたミルガレーテは、
「今日は暦でいうと、月が綺麗に見える日ね」
と微笑んだ。
「そうですね」
うっとりとセレンが答え、その隣で金髪の王子が、
「月? いつ見ても同じだろう?」
と言う。セレンは友を軽く睨んでから、
「ミルガレーテ。よければ今夜、一緒に月を見ませんか」
「すてき。晴れますように」
と、姫君ははにかみながら答えた。少し離れた所で夜の天気を占った黒髪の若者が、物憂げな瞳をあげて何か言おうとしたが、やめて、口をつぐんだ。

果たして、夜は雨になった。セレンはひどくがっかりしたが、案に相違して、ミルガレーテは姿を現した。驚くセレンに微笑みかけて、
「一緒に月を見ると、約束しましたから」
姫君が手を組み合わせて雨空に祈ると、驚いたことに、雨はやみ、雲が晴れ、月が顔を出した。姫君は嬉しそうだ。
「綺麗…」
「あなたのほうが」
と、つい言いかけて、セレンは慌てて月を見上げ、
「そうですね」
と言った。
二人はしばらく、幸せそうに月を眺めていた。

***

それでは皆様、良いお年をお迎えください。
いつも、気にかけていただけることに励まされ、感謝しています。ありがとうございます!

作者より:「表と裏」

「04」の回が長めになりましたが、最後まで書けました。
年内に終わらせられて、よかったです。
最初、いつもの「完」を付けるのを忘れていて、すみませんでした。
あとから付けましたcoldsweats01

今年の冒険譚本編更新は、おそらく、ここまでです。
あんまり書けない1年でしたthink
来年はどこかで、解呪のお話を書いてしまおうか、と考えています…。

明日から年末年始休暇なので、年内、雑談記事を1個書くと思います。
が、年賀状もこれから作るし、大掃除もこれからだし、手が回らなかったらすみませんー。

表と裏(04)

 夢を見た。
 屋敷の一室で、ディア家当主である父の代理として、会議に出席していた。
 父の考えを述べた。自分の意見も述べた。どちらも取り上げられ、話し合われて、その一部が採用された。解散したが、仕事は終わりではない。他の出席者たちと談笑し、如才なく話を合わせ、情報を集め、代わりにこちらからも情報を与え、相手の喜ぶ顔を見て「良かったな」と思い、そうこうするうち散り散りになって、自分ひとりになった。
 自分は誰かの役に立っているだろうか。これで本当にいいのだろうか。ぼんやりと屋敷の中を歩いているうち、裏庭に出た。そのまま歩き続けて、気が付けば、森の中。王家の森だ。まっすぐ行けば<天馬の泉>。友に初めて会った場所。
 もっとも、王子のほうは、もう「ルーク」でいたときのことは全て忘れてしまったのだ、と、セレンは思い出す。初めて会ったときのことも、都の仲間たちと過ごした日々のことも、積み重ねた交流と冒険のことも。忘れても別にかまわない。かまわないけれど、ほんの少し、寂しくないといったら嘘になる。
 泉に着いた。セレンの他に、誰もいない。水面に、木漏れ日が揺れている。木々の枝葉がさやさやと鳴っている。静かだ。
 ・・・帰ろう。
 きびすを返したところで、足を止めた。
「よう、セレン」
 目の前に、彼が立っていた。ルーク、と呼びそうになって、セレンは口をつぐみ、フルート、と言い直そうとしかけて、なんだか違う気がして、頭の中がぐるぐるした。
「ははっ、どっちだっていいのに、何を迷ってんだよ」
 おかしそうに笑われた。
「・・・ルーク」
「うん。けど、言葉遣いが悪いと、君が心配するんだったな。って、おい、どうしたんだよ」
 セレンは気が付いて、手の甲で涙をぬぐった。ルークはやや狼狽した顔をしている。そういえば、この友には意外と泣き落としが通用するのだ。泣くのはもっと、ここ一番のときに取っておかないと。
 ルークは軽く片眉をひそめた。
「セレン、いま何か、わるいこと考えただろ」
「うん、でも、聞いて」
「ん?」
「名前なんて、どちらでもいいんだ。言葉遣いだって、どうだっていいんだ。表とか裏とか、どうでもよくて、どこから見た君も全部、君という一人なんだ」
「ん? 当たり前だよな?」
「ちゃんと伝えられてなかった」
「そうか?」
 ルークは釈然としない顔をしているが、セレンは満足した。言えて良かった。
 目が覚めた。

 安宿の、カーテンもない窓から、陽の光が差している。
 見ると、隣の寝台で、友は体を起こして、苦しそうに額を押さえていた。
「具合悪いの?」
「・・・気分悪い」
「吐く?」
「や、平気。ふつかよいに似てるけど、違うな。俺、きのう何も飲んでないよな?」
「・・・ルーク」
「ん?」
「思い出したんだ?」
「何を? あれ? そうだな、だいたい思い出した。あれ?」
 ルークは額から手を離した。
「治った。なんだったんだ。言葉遣いは、ほどほどに気を付ける」
「え。うん。ほどほどに・・・」
「じゃ、とっとと支度して出ようぜ!」
 本当にそれで気を付けているつもりなのか? と思ったが、セレンは苦笑しただけで、言わずにおくことにした。
 表とか裏とか、つい気になるのは、どちらも見えている贅沢な立場にいるからだ。
 必要に迫られるまで、わざわざ片方を隠すことなどない。
「そうだね、行こう」
 今は、自由な旅の空なのだから。

(完)


(完)を忘れててすみませんでした…。

表と裏(03)

 もとの行程では、その日のうちにすぐ移動する予定だったのだが、若者たちは二人で相談し、1日延期することにした。もし、記憶を封じる魔法を使っていた女性、もしくはその娘に再会できれば、フルートが抱えてしまった混乱について、何か役立つ情報が得られるかもしれないからだ。
 親子に会った路地などに目を配りつつ探したところ、夕方、娘のほうに会うことができた。セレンが娘に気づいたのと同時に、娘のほうも若者たちに気づいて、呼ぶまでもなく近寄って来てくれた。
「旅の人だと思ってたけど、まだいたのね。今日はありがとう」
 助けてくれたフルートに向かって嬉しそうに笑うのへ、横からセレンが話しかけて、
「あのね、実は少し、教えてもらいたいことがあって、君を探していたんだ」
 詳細は伏せたまま、フルートの一部の記憶が抜け落ちていることを説明すると、娘は表情を曇らせた。
「そんなことが。ごめんなさい。でも、母さんが言ってたけど、魔法は完成していなかったから、止めに入った人に大した影響はないだろう、って。ただ、ちょっとの間クラクラするはずだから、その間に急いで逃げたんだ、って。万一、めまい以上の影響があったとして、元に戻せと言われても出来ないし、放っておけばそのうち治るんだからね、って」
 ふむ、と考えてから、セレンが思いついて尋ねた。
「君がお母さんの魔法で忘れさせられるところだった人は、何という名前なの」
「関係あるかしら。ルークっていうの」
 ああ、それでか。合点がいく。これで、知りたいことは全て聞けたように思う。
 セレンは、娘のことも気遣った。
「それで、君のほうはお母さんと仲直りできたの」
「ええ、頭が冷えたみたい。あたしの話を聞いて、考え直してくれたわ」
「それは良かった」
「ええ。忘れたくない人だったから」
「いろいろ教えてくれて、ありがとう」
 いくらか会話したあと、娘と別れて、若者たちは、顔を見合わせた。
「さてと。要約すると・・・」
 セレンが言いかけたのを、フルートが引き取って、淡々と言った。
「未完成の魔法だった。偶然の一致によって、予想外に大きな影響が出た。放っておけば治る見込みもある。だが、保証はないな」
「うん、そんなところだね。・・・どう、大丈夫そう?」
 心配するセレンに、金髪碧眼の王子は、にこ、と屈託なく笑って、澄んだ瞳で答えた。
「仕方ないさ。記憶が戻るまでは、君のことも、ゼラルドやフィリシアのことも、ところどころ思い出せないが、許してもらうしかない」
「・・・うん」
「明日は町を出て、次の目的地に向かおう」
「そうだね」
 その晩、二人は相部屋だったが、フルートは普段通り、くうくうと眠った。セレンのほうは、ゼラルドやフィリシアと合流したらどのように説明したものか、等について、あれこれ思い悩んでなかなか寝付けなかった――が、変わらずにこうして信頼してもらえているのだから、王子の仮面であるところの「ルーク」がしばらく戻って来ないことくらい、別に何ということはあるまい。セレンとしては、あの娘の友達だか恋人だかが「セレン」という名でなかったことで、ひとまずは良しとすべきなのだ。そう結論付けて、夜明け近く、うとうとと眠りに落ちた。

あと1回あります。年内に書き切ります。

表と裏(02)

 暗く狭い路地裏では、若い娘と、その母親くらいの年恰好の女性が向かい合っていた。娘のほうは地べたに座り込んでおり、長いスカートの裾から見えている両足首のあたりに、赤い煙でできた輪のようなものが嵌まっていて、そのせいで動けなくなっているようだった。
 娘は、目の前に立ちはだかる母親らしき女性に向かって、必死に叫んでいた。
「やめて! やめて、母さん、お願い! わたし、あのひとのことを忘れたくないの!」
 母親のほうは、ぶつぶつと、しきりに何かの呪文を唱えながら、指で円を描くような動作をしている。状況から察するに、何かを忘れさせる術をかけようとしているのだろう。
 母親が娘のほうへ指を突き付けたそのとき、さっとルークが親子の間に割りこんだ。
「よせ!」
 母親は、思いもかけないことだったらしく、ひっと言って手をひっこめ、慌てた口調で、
「な、何をするんだい。あたしは知らないよ。何もしてないよ」
 逃げるように走り去った。娘のほうは、足首から赤い輪が消えて、立ち上がり、
「助かったわ、ありがとう!」
 瞳に感謝をたたえてルークにお辞儀をすると、これも走り去って行った。
 セレンは親子の後ろ姿を見送って、軽くルークを咎めた。
「怪しげな魔法に無理やり割り込むなんて。危ないじゃないか」
 ルークは、セレンのほうに視線を向けた。戸惑った顔をして、
「ぼくは・・・」
「うん?」
「君は・・・、ぼくを知っているのか」
「・・・えっ」
 セレンは固まったが、幸い、友はすぐに言葉を継いで苦笑した。
「ああ、すまない。少し混乱した。君はセレンだ。ぼく自身のことも思い出した」
 どうやら、記憶をあやつる魔法の影響を、いくらか受けてしまったようだ。そのせいか、言葉遣いも素に戻って、「ルーク」というより「フルート」王子の話し方だ。こうしてみると、ついさっきまでセレンが感じていた、粗雑な「ルーク」としての振舞いのほうが素顔になりはしないか、という心配は、考えすぎだったのだろう。
 王子は視線を落とし、片手を腰に当て、何かを考えこんだ。セレンが黙って待っていると、やがて視線を上げたが、言い迷っているようなので、セレンのほうから尋ねてみた。
「思い出せないことがあるの?」
「ああ。君のことも、曖昧にしか。君の様子からして、相当に親しい友人なのだろうに」
「・・・うん。では、たとえば、最初にどこで知り合ったか、覚えている?」
「君の13歳の儀式のときか。違うな。どこだっただろう」
 そう来たか。待てよ、それでは、もしかして。
「ルークのことは、覚えている?」
「ルーク。聞き覚えのある名前だ。・・・ぼくのことなのか」
 王子が眉を寄せる。思い出そうとすることに苦痛を伴うらしい、と、セレンは気が付いた。できるだけ、のんびりと言った。
「無理に思い出さなくていいよ、フルート。とりあえず一日、様子を見てから考えよう」
「そうだな」
と、あっさり決めるあたり、彼らしさは少しも失われていない。セレンに対して信頼も寄せてくれているようだ。それならそれで、いくらでも対応のしようはある、とセレンは思う。少しでも覚えていてもらえて、よかった。

表と裏(01)

「このあたりは治安があまりよくなさそうだね」
 ゆうべ泊まった宿に馬を預けたまま、ちょっと町を覗いてみようと二人で歩き出しながら、セレンはいくぶん眉をひそめ、小声で話しかけた。
「ああ。俺たち二人だけで良かったな」
と、のんきな調子でルークが応じた。余計な心配をしなくてすむ、と言いたいのだろう。
 そう話しているうちにも、すれちがいざま、ルークに肩をぶつけて来ようとするガラの悪い男がいる。金髪の若者は何気ないふうに避けようとしたが、男は無理矢理ぶつかって来て、大声を出した。
「おい、気を付けろ。前見て歩けよ」
 ルークは相手にしない。歩き去るその後ろ姿に向かって、男は手をのばし、さらに大声を出した。
「詫びろって言ってんだよ、てめえ」
 ルークの肩をつかもうとしたが、よけられて、たたらを踏んだ。
「このやろう!」
 男はルークの行く手に回り込み、こぶしを握って殴り掛かって来る。ルークは、すいとよけて、体を沈め、一発だけ反撃した。男はグッと呻いて崩れ落ち、それへ、
「失せろ」
と低く一声かけて、ルークは何事もなかったように歩みを進める。
「ルークは――」
と、セレンが、ふと思いついたように言った。
「ん?」
「この旅で、乱暴な言葉や態度に馴染んだせいで、表と裏が逆転するような心配はないの?」
「というと?」
「つまり、王子様の素顔の上にルークという仮面をかぶっているつもりが、いつのまにかルークのほうが素になって、王子様のほうが仮面になってしまったり、しない?」
「そんなワケあるかよ、ばーか」
と、おしのびの王子様は陽気に笑い飛ばす。いや、その笑い飛ばし方を聞くにつけても、セレンは何となく懐疑的になって、本当に大丈夫なのかと問いたくなるのだけれども。まあ、本人がそう言うなら、今はいい。追及しないことにしよう。
 ルークのほうは、笑いながら続けていた。
「だいたい、俺より君のほうが、よほど表と裏があるんじゃないのか?」
「えっ。うーん・・・」
 なるほど。セレンはふだん、王子がルークと名乗るようには一人二役を演じたりしないが、表向きは誰にでも人あたりがよく社交辞令が上手なものの、実のところは相当に神経質で、気のおけない仲間うちでは不満をぶつぶつこぼす。そのことを言っているのだ。
 だが、二人の会話はそこで途切れた。すぐ近くの路地裏から、若い娘の悲鳴らしきものが聞こえたからだ。若者たちは、悲鳴の聞こえた方へ、すばやく駆け付けた。

予告:「表と裏」 & 地下謎への招待状2017

お待たせしております~。

セレンとフルートのお話を書いているので、予告を出しておきます!
タイトルは、いいのが思い浮かばなくて、とりあえず『表と裏』としました。将来変わるかも。
お話の長さは、全3回くらいと予想。年末につき、連載速度が遅くなりそうですが、年内には終わらせたいと思っています!

***

さて、それはそれとして、東京メトロの謎解き「地下謎への招待状2017」に行って来ました。
友達と二人で、1日乗車券と謎解きキットがセットになったものを1個ずつ購入し(単価は税込 2,160円)、1日かけて解きました。途中でお茶しつつ(写真とるの忘れちゃった)♪
もう何年も続いている謎解きイベントだけあって、安定の面白さでした。
わくわくする仕掛けがいっぱいで、楽しかった!happy01

謎解き初心者さんは、家族やお友達等と一緒に参加すると、ワイワイ知恵を出しあいやすくて、おすすめです。
友達と私は謎解き中級者。最終問題以外はヒントなしで、ちょうどいい難易度でした。
謎解き上級者さんなら、一人でチャレンジしてもスイスイ解けるのだろうなと思います。

「地下謎への招待状2017」は1月いっぱいまで開催中。
公式サイトは→ こちら です。ご興味のある方は、ぜひどうぞ!
(ただ、途中に階段の上り下りがあったので、足腰の弱い人はご注意ください。)

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