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ひとこと通信欄

  • (2018/07/19夜) 「旅へ」も、電子書籍と冊子に切り出そうと画策中です。

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SF「夜景都市」(未完)

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カテゴリー「こぼれ話」の68件の記事

表紙ができたよ♪「旅へ」

「旅へ」については、まだ電子書籍に切り出しておらず、もちろん印刷物の準備もこれからなのですが、先に表紙を作っていただく機会がありました。

ねんねんころり さんというイラストレーターさんに手掛けていただきました。
ありがとうございます!

Photo

空が綺麗で、旅立ちの空気をよく表していると思います……lovely

こぼれ話:「始まりの物語」について

久しぶりの更新になります。
なんだか新しいお話がはかどらないので、横書きの冊子を縦書きに刷りなおしたり、「始まりの物語」を冊子にするべく準備したり、しています。

そして、「始まりの物語」を見直した際、少し前から気になっていた1点を修正しました。
今までは「始まりの物語」の記述において、フルートとフィリシアは1才違いであると明示していたのですが、これは私個人の解釈に過ぎず、シリーズを読まれる方によっては、もう少し年が離れていると考える方もいらっしゃるかもしれない、と。
そう思ったので、フルートのほうが先に生まれたことのみを示し、フィリシアといくつ離れているかは書かないようにしました。

ただ、そうは言っても、「竜王の館」あたりを見ると、フィリシアとゼラルドが共に「竜の年の生まれ」であることがわかるので、フルートとゼラルドがほぼ対等であることからも、「さほど年が離れてはいない」とは、思うのですけれども。

それから、「始まりの物語」を見直しているうちに、アイリーン(フルートのお母さん)マデリーン(フィリシアのお母さん)のお話を、もすこし書きたくなりました。
次に公開するお話は、「北の二人の姫君」になるかもしれません。

気温が上がったり下がったりの季節ですが、皆様もお元気でお過ごしくださいね。
先日地震のあった地域の方も、どうぞ気をつけてお過ごしください。

こぼれ話:勝負しろ

ルークは勝負事が得意なので、近くで賭けがあると、つい首を突っ込んだりします。
ときには、こんなことも。

***

富裕商人の家に泊まったルークとセレンとフィアは、夕食後、遊戯室で談笑し、くつろいだ。違うテーブルでは、商人の息子である三人の少年がカードで遊んでいる。
少年たちはババ抜きをしており、こんなふうに話しているのが聞こえてきた。
「あっちにいる青い髪の女の人、すげー美人だな」
「フィアっていう名前みたいだ。さっき話してるの聞いたもん」
「じゃあ、次に勝ったやつは、あっちのテーブルに行ってフィアの手を握る」
少年たちが「よし」と互いに頷いてカードを配り始めようとしたとき、卓の横にルークが立った。何事かと見上げる子供たちに、まじめな顔で言った。
「俺も入れろよ。勝負しろ!」
「……いいぜ」
その様子を見て、セレンは溜息をついた。
「ルークのやつ、子供相手に何を張り合っているんだか。フィア、そろそろ休んだら」
「いいかしら」
「いいと思うよ」
フィアが退出しても、ババ抜きの4人は真剣だ。子供たちが「もう一回」と叫んでばかりいるのは、ルークが勝ち続けているらしい。セレンは呆れてつぶやく。
「子供相手に本気出すなよ……」

***

ところで、作者は繁忙期がようやく終わりつつあります。
冒険譚も、書き散らさないで、まとまりのあるお話を書きたいなあ。

こぼれ話:「暁に、宙(そら)へ」

 どうしても、この地に残られるのですか。
 共にゆこうと、おっしゃってはくださらないのですか。
 これまで、どのような困難に遭おうとも、姫巫女と私たちとは一つでありましたものを。

 そう言って、聖地メルザリーンに住まう<太陽の民>たちは嘆いた。
 ここは、彼らの国の果てるところ。白き砂漠の始まるところ。
 じき、夜が明ける。彼らはこの暁に、発たねばならない。

 敬愛する姫を伴ってゆきたいという願いは、彼らの総意だった。
 何ひとつ持たずにゆく覚悟を決めた彼らの、唯一あきらめきれない心残りだった。
 誰もが一縷の望みにかけ、ひそやかな声と、うねる思念で、繰り返し呼びかけた。
 われらが姫巫女よ。どうか、われらと共に。今までと同じように、この先も、ずっと。

 東の空は、いよいよ白み始めている。
 砂まじりの風につややかな黒髪を吹かせて、かつて<姫巫女>だった者は、民に微笑む。
 彼女とて、慕ってくれる民との別れは寂しく心細いが、旅立つ者たちを不安にはさせまい。
 燦燦と輝く思念を響かせて、彼女は告げる。

 愛する皆さん。わたくしは<月の民>に嫁いだ身。もはや<姫巫女>ではありません。
 皆さんに為すべきことがあるように、わたくしにも、この地で為すべきことがあります。
 どうか皆さんは、新たな故郷に赴いて、平穏を見出されますように。
 皆さんの幸運と繁栄を、いつも、いつまでも、この地より祈っておりますから。

 さやさやと、民は涙した。そして、ついに射し初めた曙光を浴びて、静かに決意した。
 誰からともなく互いに手をつなげば、人々の輪郭はじわりとほどけ、滲み、融ける。
 それは、<太陽の民>に秘められた姿。皆の想いがひとつに融け合う、金色の雲。
 雲は、砂漠の風に乗り、ふわりと飛び立った。
 さようなら、姫巫女さま、さようなら。私たちは、まだ見ぬ新しい故郷へ向かいます。
 私たちも、空の彼方から、姫巫女さまのお幸せを、永遠に祈り続けましょう――。

 朝日に向かって遠ざかる、きらきらと光る雲を見送りながら、彼女は、ふと思う。
 もしも、彼女が和平のための婚姻を選ばず、<月の民>でなく<太陽の民>のいずれかと結ばれ、為した子も当然に<太陽の民>の一人として、ひとつの<想い>へと融け合う素質を備えていたならば。
 そうしたら、自分も我が子と共に、今日という日にこの地を去り、雲となって彼方を目指していただろうか……。

 きっと、そうなのだろう。だが、現実には、そうはならなかった。
 彼女は<月の民>の王に嫁ぎ、融け合うことのない他者を愛する恐れと喜びを知り、生まれた我が子は術者としての優れた資質を持ちながら、<想い>へと融ける本能を持たない。
 彼女は愛しい幼な子とともに、この地に残り、この地を守ろう。
 たとえ、予知の力をもって、自らの未来がまもなく閉ざされることを知っていても、なお。

 ――我々もおりますよ、姫巫女さま――。
 呼ばれて、彼女は見回した。朝の光にぽつりぽつりと、飛び去らなかった者たちが浮かぶ。
 ひとつに融けあうことを得手としない者や、単に好まない者。
 姫巫女と共にあることを望んだ者。この地に生まれたことの意味を尊ぶ者。
 ――我らは、我らの選んだ道を、生きましょう――。

 朝が訪れる。<月の民>の城で眠る幼い王子も、じきに目を覚ますだろう。
 旅立つ者たちが新しい日を迎えるのと同じように、残る者たちにも新しい一日が来る。
 かつて<太陽の民>の姫巫女であり、いまは<月の民>の王妃である彼女はうなずいた。
 帰りましょう。

 目を上げて、最後にもう一度だけ、旅立つ仲間たちを見送った。
 宙へと遠ざかりゆく金色の雲は、朝日を浴びて、七色に光っている。

姫巫女は、ゼラルドのお母さんです。

こぼれ話:猫を飼う夫人

 まだ社交界にデビューしたばかりの少女だったころ、お城で仮面舞踏会があって、私はたくさんのピンク色の布で、薔薇の花をモチーフにした飾り付けをしてもらった。蝶々をイメージした仮面をつけてお城に行くと、広間は華やかで賑やかで、まるで夢のよう。同じ年頃の子どもたちと、お互い誰だかわからないまま、おしゃべりをした。一人の男の子が、私の髪がほどけかけているのを見つけて直してくれた。
「すこし、じっとしていて。すぐに編めますから……はい、できました」
 男の子なのに私の髪を細い指で編んでくれた彼の、鳥の羽根を模した仮面から覗く優しい瞳は、魔除けの宝石のような緑色をしていて、吸い込まれそうな気がした。仲良くなれたらいいな、と思ったし、なんだか相手もそう思ってくれているような気がしたけれど、
「ごめんなさい、行かなくてはなりません。またお会いしましょう」
 そう言って、男の子は向こうへ歩いて行ってしまった。後ろ姿を、見るともなしに見ていると、彼の向かった先は、驚いたことに王子殿下のところだった。年の近い王子殿下と、とても親しそうにお話ししている……それに、あのさらさらした長い髪。それでは彼は、ディア家のセレン様だったのだ。ふだんなら、とても私が口をきく機会など無い。
 帰りがけ、ふと見ると、そのひとは向こうのほうから、ちょうど私のほうを見ていて、視線が合った。こちらに来ようとしてくれたけれど、私はお辞儀をして、背中を向けて、退出した。親しくなる前に家柄の差がわかって良かった。仮装パーティーだったのも助かった。私のほうは彼が何者であるか見当がついたけれど、彼のほうは、ふだんの私を見かけても、見分けがつかないだろうから。

 数年後、私は、親に言われるまま、家柄の釣り合う相手に嫁いだ。ささやかな幸せを望んだ私に、けれど夫は興味を持たなかった。夫は、よそに好きなひとがいて、逢引きを繰り返した。落ち込む私に、友人たちは、犬か猫を飼ったらどうかと勧めてくれた。そうね、気晴らしになるかもしれない、猫を飼うことにした。猫のいる暮らしは、思ったよりずっと楽しかった。夫が振り向いてくれなくても、猫がいればいいわ。
 ある晩、夫とパーティーに行った先で、夫のほうはすぐに愛人のもとへと去ってしまい、私は誰か友人を探したが、たまたまその日は仲の良い人が見つからなかった。また、人の輪の中心にはディア家のセレン様がいて、今は婚約者がいらっしゃるはずだけれど、私にはやっぱり眩しい方で、遠巻きにうっとりと眺めていて――なんだか悲しくなった。結婚したとは名ばかりの、ひとりぼっちの私。いいえ、猫がいるけれど。
 人のいないバルコニーに逃れて、夜風に当たることにした。
 そうして、気が付いたら、私のすぐそばに、かのひとが立っていた。
「すこし、じっとしていて。髪飾りがゆるんで……はい、どうぞ」
 にこ、と笑いかけてくれた。あのときと同じだったが、お互いに仮面がない。どきどきして口がきけなくなっている私に、
「以前どこかでお会いしましたね。またお会いできて嬉しいです」
と言う。いいえ、いいえ、きっと誰にでもおっしゃっているのだわ。婚約者がいらっしゃるのに、こんなところで人妻と二人きりになって、口説くようなことをおっしゃって、よろしいのですか――と、心の中では思うのに、のどにつかえて出て来ない。
 狼狽したあげく、やっと私の口から出た言葉はと言えば、
「猫が……」
「猫?」
「猫が、待っているので、帰ります……」
 かのひとは、ふふ、と笑った。
「ぼくは、あなたにとって、猫ほどの価値もありませんか」
「猫は、素晴らしいです。私を慰めてくれます……」
 ふわり、と良い匂いに包まれた。何が起こったのかわからない私の耳元で、優しい甘い声がした。
「では、せめて貴女が泣き止むまでのあいだ、こうしていましょう」
「……」
 涙はなかなか止まらなかった。猫が、とは、もう言えなかった。

 急に「子供が欲しい」と言い出した私に、夫は当惑したようだった。だが、「そうだね。そういうことも、そろそろ考えないといけないかもしれない」と言って、応じてくれた。
 やがて、すこやかな赤ちゃんが生まれてみると、意外なことに、夫は非常な子煩悩だった。愛人のところに行くことはなくなり、家にいる時間はほとんど、坊やと遊んで過ごすようになった。
「男の子は母親に似るというのは、本当だねえ。きれいな優しい顔をしているじゃないか」
と、そんなことさえ言った。
 夫と子供と猫に囲まれて、私は申し分なく幸せな暮らしぶりになった。とりわけ、息子を見ていると、気持ちが安らいで、生きていてよかったと思える。私と同じ亜麻色の髪。私と同じ緑色の瞳。いいえ、私よりも息子のほうが、綺麗な目をしている。
 それはまるで魔除けの宝石のような、吸い込まれそうに優しい、緑色の瞳。

こぼれ話:「鬼」「節分」

「鬼」という500字くらいの掌編を書いたことがあって、
冒険譚とは関係ない話のように思いつつ、どことなく主人公がセレンに似ているので、
迷ってそっとしておいたのですが。

先日の節分で、続きを思いついて、これも500字ほどのお話ですが、
「和風な雰囲気で読んだほうが、しっくり収まりそう」と思ったので、
やっぱり冒険譚とは関係ない話なんだ、と思いつつ、せっかくなのでここに置きます。

* * *

 

『鬼』

野宿は避けたいが、さて、人家は見つかるだろうか。と、心配していた若者は、暗くなった頃、一軒の明かりを見つけた。近づいてみると、平屋だが、大きな家だ。
若者は近くの木に馬をつないで、家の戸を叩いた。しばらくして、戸の向こうで、女性の細い声がした。
「どなた?」
「旅の者です。一晩、屋根を貸していただけませんか」
戸が開いた。美しい娘が、虚ろな瞳で若者を見て、言った。
「屋根。雨露をしのぐだけなら、入って、好きにしたらいいわ」
それだけ言って、ふらふらと中へ歩み去る。
ためらった後、中に入って、若者ははっとした。娘の向かう先に、一体の骨があった。見るからに古い骨。娘は骨の横にうずくまり、されこうべを抱えて丸くなり、動かなくなった。
若者は迷ったが、結局、部屋の端に毛布をひいて横になり、一晩を過ごした。あまり眠れなかった。

翌朝早く、若者は起き出して、そっと家を出た。背後から細い声が聞こえた。
「さようなら、旅の人」
「ありがとうございました」
礼を述べて去った若者は、道すがら考えた。美しい娘の額にあった二本の角と、あの骨について。

* * *

 

『節分』

朝から山に入っていたが、もう昼を過ぎた。諦めて帰らなければ。
だが、もう少しだけ。歩き出した足の先に、ひっそりと建つ屋敷が見えた。見つけた。

戸を叩けば、見覚えのある娘が姿を現す。若者は静かに言う。
「下の里の者たちが、節分の日、鬼を倒すために山を探すそうです。あなたのことでしょう」
「……」
娘は黙って、自分の額に生えている角をさわる。若者は頷く。
「一年前、僕は道に迷って、あなたに助けられた。今度は僕が助けたい。節分は明日。まず、ちゃんと食べて、そして逃げて」
背負った籠を下ろし、捕らえておいた狐を娘に差し出すと、娘は狐を受け取って口を開いた。
「逃げません。返り討ちにするわ」
「それは困る。僕は里にも恨みはないんです」

翌日、里の者たちが山奥で、鍬や鉈を振り上げながら屋敷の戸を叩くと、中から現れたのは人間の若者だった。
「騒がしいな。鬼? いいえ、僕の家だ」
里の者たちは首をひねりながら、安堵して山を下りて行った。
「もう来ないといいね。帰ります。元気で」
若者が去った後、娘は座敷で、愛しい古いされこうべを抱きしめて眠る。

* * *

 

それでは、また。
次回、いつ更新できるか分かりませんが、ゆるゆると気長にお待ちいただければ幸いです。

今年もよろしくお願いします & こぼれ話:ユリアの髪型

遅ればせながら、あけましておめでとうござしいます。
本年もよろしくお願いいたします!

お正月休みも今日で終わり。
あれこれ用事で忙しくて、そんな中、姪っ子にあげたプラバンがこちら。
(このまえの、CHARATさんで作成したキャラデザを使っています。見たくない人がいるかもしれないので、小さい画像にしておきます。クリックすると大きくなります)

Photo

CHARATさんの説明を見ると、身の回りの人にあげるくらい(10個程度)なら、こういうグッズを作ってもよいとのこと。
「本のおまけとして配ってはいけませんか?」と、いま問い合わせ中です。OKが出たら、次に本を出すときにご案内しますね。

***

こぼれ話、もうひとつ埋もれていたので、載せておきます。
ゼラルドの義妹の、ユリア姫のこと。
「ぱっつん髪」というお題で書いた短文です。

***

 儀式などが何もない平穏な日は、昼下がりになると、妹が彼の部屋を訪ねて来る。取り次ぎを通さず、いきなりドアを開けて「ごきげんよう、お兄さま!」とニコニコ入って来る妹を、彼は少なからず迷惑に思っていたが、静かに二言三言たしなめたくらいでは、彼女の態度を改めさせることはできないのだった。
 が、その日は、いつもと少し様子が違っていた。許可なく入って来るのは常のとおりだったが、
「あのう、お兄さま。ごきげんよう…」
 おずおずと呼びかけられて、彼は机のそばで振り返った。女性の服装や髪形には疎かったが、妹のいでたちが、ふだんと異なることには気がついた。
 まず、つややかな黒髪の、結い方が違う。頭の上のほうでまとめて下に垂らす、見慣れた妹の髪型ではなく、両横でゆるく結って、あとは全部髪をおろして、優しげだ。前髪も違う。昨日まで彼女の目を半ば隠していた前髪が、今日は、眉のところでふっつりと切りそろえられている。服も、なんだか感じが違って……。ともかく、全体の印象として、彼女は昨日よりも明るく、かつ、愛らしく見える……ような気がする。
「侍女たちが、こちらのほうが似合うだろうと言ったから」
 もじもじと言う妹は、彼の視線の先で、赤くなって俯いている。
 迷ったあげく、彼は控えめに肯定した。
「……そうだね。似合うと思うよ」

***

というお話でした。その後、ユリアがこの前髪を維持したかどうかは、よくわかりません。

春まで仕事が忙しい予定なので、今から溜息が出てしまいますが、体に気をつけながら創作も頑張りたいです。
昨年よりは、たくさんお話を仕上げられる年にしたいな。

こぼれ話:月の綺麗な夜

冒険譚の本編は、ここのブログに載せたあと、別のところにも載せていますが、でも、「最初に載せるのは、本拠地である、このブログ」と決めています。

が、別のところで「お月見」というお題で短い文章を書いたとき、冒険譚のこぼれ話になったことがあるのを失念していて、つまり、こちらのブログにまだ載せていない「こぼれ話」を発掘したので、今日はそれを載せることにしました。
雑談も書こうとしていましたが、それはまた今度。

***

『お月見』

昼食の時にフィリシアは、妖精の国に住む友人を呼び出した。空気から溶け出すように現れたミルガレーテは、
「今日は暦でいうと、月が綺麗に見える日ね」
と微笑んだ。
「そうですね」
うっとりとセレンが答え、その隣で金髪の王子が、
「月? いつ見ても同じだろう?」
と言う。セレンは友を軽く睨んでから、
「ミルガレーテ。よければ今夜、一緒に月を見ませんか」
「すてき。晴れますように」
と、姫君ははにかみながら答えた。少し離れた所で夜の天気を占った黒髪の若者が、物憂げな瞳をあげて何か言おうとしたが、やめて、口をつぐんだ。

果たして、夜は雨になった。セレンはひどくがっかりしたが、案に相違して、ミルガレーテは姿を現した。驚くセレンに微笑みかけて、
「一緒に月を見ると、約束しましたから」
姫君が手を組み合わせて雨空に祈ると、驚いたことに、雨はやみ、雲が晴れ、月が顔を出した。姫君は嬉しそうだ。
「綺麗…」
「あなたのほうが」
と、つい言いかけて、セレンは慌てて月を見上げ、
「そうですね」
と言った。
二人はしばらく、幸せそうに月を眺めていた。

***

それでは皆様、良いお年をお迎えください。
いつも、気にかけていただけることに励まされ、感謝しています。ありがとうございます!

こぼれ話:もうすぐ7周年

このブログの最初の記事である「このサイトについて」の日付は、2010年12月5日です。
ということは、もうすぐ7周年。
この7年で、じわじわ約90個のお話を書いて、いくつかのお話はA5版の本にして、旅物語の前半部分はおおよそ埋まってきた今日このごろ。

あと3年経って、サイト10周年を祝う頃には、100編ほど書いてあるのだろうな。
そのころには、旅物語の後半も埋まっているのだろうな。
そしたら、10周年の記念には、100編を集めて1冊の本にしてみたいな。

まとめ本を作っても、ブログでの公開はこのまま継続したいので、A5版の本を作るときお世話になっている同人誌出版社さんで、A5版の本と同じノリで、10周年記念としてハードカバーの単行本にして、ちんまり100部くらい、刷れたらいいなと思います。
今まで描いてもらった表紙絵も全部再録できたら嬉しいけど、そこは各イラストレーターさんとの契約条件が関係するので、できるかどうかわからないけど…。

と、未来のことをほわほわ語りつつ、それはそれとして、次のお話を書き始めますね。
次か、その次には、予告編を書きます。年内にもう1編くらいは書きあげたいですもんね。
たぶんセレンとフルートの話になります。
しばしお待ちくださいませ。

こぼれ話:CHARATでキャラクターメイキング

CHARAT  というサイトさんで、冒険譚の登場人物たちの似顔絵を作ってみたよ。
例によって、小さいサイズにして置いておくので、見てみたい人だけ、クリックして拡大して見てみてね。

「こんなんじゃないもん!」と思っていただくのは、まったくかまいません。むしろ嬉しいです。
読者の皆様が思い描いてくださる姿は、どれもみな正しいのですから!lovely

フィリシア、フルート、セレン、ゼラルド、ミルガレーテの順番で並べておきますね。

フィリシアフルートセレンゼラルドミルガレーテ

どうかしら。繰り返しますが、異論は認めます、ぜんぶ認めます、すみません!

より以前の記事一覧